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土の126号  作者: はぐれSS
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【何をしてるでしょうか】

その日の朝は様子がおかしかった。誰のって…


彼の…



いつもの家の前の広場には彼特製四角い小さな家がたくさん並んでいる…


彼はどんぐりの帽子をちょこんとのせて、小さな家に折りたたまれた葉っぱを配っている。



ん、よくみると葉っぱを入れる家と入れない家がある。


暫らくすると彼は森の奥に去っていった。


と、思ったらまた戻ってきて、今度は数件から回収していった…




彼は帽子を被らずに戻ってくると


『んー』


と両手を珍しく横に広げた。

…解らない…彼がこういうことをするときはクイズ的な何かの場合が多い…が、よく解らない。




一生懸命考えるがどうにも解らない…



その様子をみた彼は突然後ろ向きに転がっていく。


また、どんぐり帽子を被って彼がやってくる。


一軒の家の扉の前で『んー』

次の瞬間、家の入り口側に帽子なしで入れ替わり葉っぱの畳んだものを受け取る。


それを広げて目の前に持ってきて『んーんーんー』と万歳しながら喜んでいるようだ。


また、シュッと場所が入れ替わりどんぐり帽子を被って颯爽と去っていった。




また彼は帽子を被らずに戻ってくると


『んー』


と両手を横に広げた。




…でもやっぱり解らない…



その日の夕食時、彼は一冊の本を頭に乗せてなぜか家の中からでてきた。


『もうすぐご飯できるよ』

『んーんーんー』


本を開いてその手を上下させる。


そこには、紙に何かを書く人。

それを赤い箱に入れる人。

それを帽子を被った人が違う人に渡している。


そして、受け取った人はとても嬉しそうだ。


『今日はこれをやっていたんだね』

『んー』


『でも、僕には紙を届ける人も居ないし、僕に紙を送ってくれる人も居ないから…』



『んーんーんー』

ご飯のなべをペシペシして、両手を上げている。


『焦らなくても、焦げてないよ』

彼がどこからか持ってきた、チーズとお米を煮たものをおわんに取り分ける。


かなり熱いのに彼はいつものダイビングスタイル…


顔を上げる彼にチーズが細く糸を引く。


『美味しいね』

『んー』


次の日の朝、窓からどんぐり帽子を被った彼の後ろ姿が目に入る。


入り口を開けると大きめの葉っぱに小さな穴が綺麗に並んで空いているものが置いてあった。


『ありがとう』

僕の声に振り返らずに彼は背中越しに片手を上げて森に消えていった。


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