【包まれる】
彼が葉っぱを持ってくる。
次から次へと持ってくる。
どこから持ってきたのか小さな小箱に入れている。あっ、一枚棄てた。
どうやら形が気に入らなかったらしい。
やがて小箱は葉っぱで一杯になった。
彼は箱をよじ登り、葉っぱの中に入っていく。
ゴソゴソゴソゴソゴソゴソ、時たま頭や、足や手が見える。
やがて彼は仰向けに箱の中央に寝そべっている。
包まれている彼はいつもと同じ顔をしているが満足気だ。
次の日、同じ小箱につるつるした丸っこい石を次から次へと運んでくる。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ、昨日よりやや動き難そうだ。
彼は早々に箱から出てきた。
いまいちだったようだ。
石を一個ずつ、ペシッ、ペシッ、ペシッ…
最後の一個までペシ飛ばした。
僕も何かに包まれてみたいなって思った。
僕の身体を埋めるほどの葉っぱは用意できないし、とりあえず布団に潜ってゴソゴソして顔を出してみた…
普通に寝るときとそんなに変わらない…
ちょっと悲しくなった。
ペシペシ
『んー』
僕の肩をやさしく叩き、僕を外へ誘う。
大きな鳥をペシペシしながら
『んーんーんー』
両手を上げて、僕を見る。
僕は嬉しい気持ちで鳥を料理する。
彼の優しさに包まれているのが解ったから。




