3/61
【ある1日】
今日も家の外に出る。
『今日も平和でありますように、この世に光が満ち、皆が幸せでありますように』
いつもと同じようにしていると、足元に彼がいた。
眼下の森に目もくれず昇る光に向かって「んー」と口を突き出している。
『珍しいね、こんなに早くに来るなんて』
彼は微動だにしない…暫く見ていたが動きそうになかったので朝ごはんの用意を始めた。
彼の5倍ほどの卵を丸い入れ物に入れてぐるぐるかき混ぜる。
鳥の油を鍋に敷いて…塩を入れて、混ぜた卵を流し込む。
気がつくと鍋を見上げている彼…
ふわふわになった卵を取り出す。彼には卵と油を出す為に使った鳥の皮を…
いつの間にか自分用の葉っぱを用意した彼は興味無さそうに立っている。
『どうぞ』
彼は動かない、僕は気にせずに食べ始める。
彼は葉っぱを用意した姿のまま立っていた…葉っぱの上には何も無い。
でもね、食べたのはわかる。その薄い口元がてかっているから…