17/61
【回る回る】
いつもの場所から見下ろす景色が赤く染まる。
そろそろあの時期だ。
僕は家の中から籠を取り出して穴が空いてないか転がしてみる。
うん、大丈夫そうだ。
籠を背負い森へ入る。
赤が舞う。
地面の赤を払い、僕は木の実を背中の籠にほいほい入れる。
背中はずんずん重くなる、ずんずんずんずん重くなる。
この重さは彼も手伝ってくれているに違いない。
籠は一杯になった。
振り返るとやっぱりそこには彼がんーっと立っていた。
僕は木の実を回す、それを興味なさげに見つめる彼。
僕はまた木の実を回す。
なんで回すか、そこに木の実があるからじゃなくて…
家に戻って、木の実を置いて。
扉からそっと外を見ると…
彼が逆立ちして回ってる。
楽しそう。




