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【悪戯の代償は】
ふと思う、そして後悔する。
やらなければよかったと…
ある日僕は鳥を焼いていた。
彼が森の方から歩いてくる。
てくてくてくてくてくてくてくてくてく、ずぼっ
僕は彼を指差して笑った。
彼は、んーとは言わずに僕の作った落とし穴に身体半分はまった状態で動かない。
身動きしない彼が心配になって近づくと、
ポーンと音を立てて穴から森へ飛んでいった、その日彼は姿を見せなかった。
次の日、崖の上でお日様に向かって、んーってしている彼に近づくと、
プイッと横を向く、向いた方に進むとまたプイッと違う方を向いてしまう。
怒っているんだ…
『ごめんね、ごめんね』
謝ってはプイッと向きを変え、謝ってはプイッと向きを変えるのを暫らく繰り返していると彼は森の方へ滑るような速さで移動していく。
急いで追いかける、一歩、二歩、三歩、四歩、五…ずぼっ…
身体半分埋まった僕の前で彼は「んー、んー、んー」と誇らしげに立っている。
もう、怒ってないみたい。だってすぐに僕を穴から引っ張りだしてくれたからね。




