東條菫――生活は、全て家族から。
君は今、どんな生活を送っているかな……?
大切な愛人と出会って、毎日が楽しいかな?
親友と約束をして、明日が待ち遠しいのかな?
たくさんの仲間たちに迎えられて、生きていることが幸せかな?
それとも、
一人寂しく、苦しんでいるのかな……?
ゴメンね、変なこと言って……。
あたしは君を、傷つけてしまったかもしれない。
でも、嘘をつくのもつかれるのも嫌いなあたしは、君に言いたいことがある!
一人はやっぱ、寂しいよね?
七人家族の長女やってるあたしには、痛いほどわかるよ。
だって考えられないもん、大切な家族のもとに、自分がいないことなんて……。
想像だってしたくないよ……。
だから……、
だから今もいるなら、
君にも家族を大切にしてほしいんだ。
人間は生まれたとき、誰しも必ず赤ちゃんなんだよ。
小さなお腹をすぐ空かせて、
夜泣きばかり繰り返して、
疲れたら勝手に寝てしまう。
そんな身勝手でワガママだったあたしたち。
気づいたら、いつの間にか立つことができているし、こうやって思い通りに言葉まで話せるようになってるんだ。
それってさ、
家族があたしたちを、生かしてくれたからだと思うんだ。
人ってね、生まれるのは簡単なんだ。
そして、死ぬのも簡単……。
じゃあ人生って楽ばっかりなのかっていったら、君の思ってる通り、簡単なものではない。
――人はさ、生き続けることが、一番難しいんだ……誰しも、必ずね。
生まれたばかりの人は皆、とてもか弱いから。
五年十年成長しても、まだまだ大人にはなれないのだから。
それは君だって同じで、一人になっては生きていけない。
だから今も、
またこれからも、
君を懸命に育ててくれた家族を第一に、心から大切にしてほしいな。
家族がいたから、君は今こうして生きていられるんだから。
君の人生の出発点にいたのは、家族以外他にいなかったんだからさ。
――大切な家族を傷つけないためにも、君は生きてね。
……もしも、
……もしも、家族が亡くなってしまっていたら、君自身は望んでいない、どうしようもない一人の場合だってあるよね?
そんな君には、本当に傷つけてしまったと、言ったあたしは思ってる。
本当に、ゴメンね……。
その代わりって言ったら変だけどさ、
あたしたちも、仲間になろうよ。
理由? そうだな~……。
君があたしの話を、我慢して最後まで聞いてくれたから。
苦しみ悩む君を、あたしは絶対に一人にはさせたくないもん。
それにこれは、君を傷つけた、あたしの責任なんだ。
だからあたしに、取らせてね……?
――ショート 東條菫。背番号6