月島叶恵――ってか、諦めていいの? アンタの夢。
アンタの夢、もう諦めていいの?
あんなに汗流して……。
あれだけ歯くいしばって。
あんだけ肩を張って努力してたのに!!
もう、諦めちゃうの……?
絶対に叶えたいんじゃなかったの?
マジでなりたいんじゃなかったの!?
どこに行ったのよ!? あのときの、アンタの目の煌めきはッ!!
もう一度頑張りなさいよ!!
私だって応援してるんだから!! アンタの夢を、心から!!
それを裏切るの!?
あれだけ熱弁して語ってたのに!?
自分の気持ちに、素直になりなさいよ!!
……はぁ?
そんなこと、私に言われる筋合いはないですって……?
……へぇ~。
……それが今の、アンタの素直な気持ちなのね……。
呆れたわ……。
……良いこと、教えてあげるわ。
夢ってね、一人で叶えようとしたら、ダメなのよ?
何でかって?
じゃあ書いてみなさいよ。夢の隣に、にんべん一つ……。
ねぇ?
『儚』になるでしょ。
一人で夢なんて追ったり、仮に一人で叶えたって、夢は儚いものになって、全然笑ってない未来のアンタが待ってるだけなのよ?
そんな夢、私は叶えてほしくない……。
じゃあどうすればいいかって?
決まってんでしょ!?
私にも、応援させることよ!!
だから、アンタは諦めるな!!
夢はね、本人と応援者、最低二人いれば、必ず輝くんだから。
理由だってあるわよ!
ほら、また書いてみなさい。今度は夢の隣に、にんべん二つ!
ほらね。
『イイ夢』
――つまり、良い夢でしょ?
夢はね、一人の所有物なんかじゃない。
一人より多い二人、または三人や四人、それ以上や数えきれないほどだって構わない。
夢っていうのは、みんなの力で、たくさん視聴してもらうことで叶えられる、ノンフィクションドラマなのよ?
――世界にたった一つだけの、アンタが主人公の物語なんだから。
私は、アンタが夢を諦めたりしたら、絶対に許さないんだからね……。
応援者として、絶対に、よ。
ほら、いつまで寝てんの!?
とっとと起きて、さっさと再開するわよ!
私たちの夢は、まだプロローグから脱け出したばっかりなんだから!!
――副キャプテン ピッチャー兼センター 月島叶恵。背番号1