篠原柚月――だから乗り越えようよ。
ケガしたって、
絶望したって、
私たちはね、再生できるの。
人間だから。
弱くても、二本の足で立てる生き物だから。
だから諦めないよ、少なくとも私は。
このケガだって、今の絶望にだって、絶対に屈したりなんかしない。
だからアンタも、ガンバって。
アンタが負うものはさ、たぶん身体的なケガじゃなくて、心の傷だと思う。そのくらい、私にはわかってるよ。
でもあれってさ、なかなか治らないんだよね……。
時間が経てば治るものでもないし、薬とか飲めば鎮まるものでもないし……。
じゃあ、どうやったら治るんだろう……?
考えてみたの。
そしたらさ、答えっぽいものが、近くで見つかったんだ。
心の処方箋――それはね、誰かの真心籠った声なんだと思うの。
ガンバれ!!
とか、
負けるな!!
とか。
短いけど、その声たちには人の優しさや温かさが詰まってるの。
それが心の傷を埋めて、アンタを立ち直らせてくれるのよ。
声ってスゴいのよ?
見えない心を言葉として表し、相手へ素直に伝えることができるんだから。
アンタがたいへんのは、見ててわかってる。痛いほど、聞いてるコッチが苦しいほどに。
だからこそ、聞いて?
アンタも、諦めちゃダメよ。
アンタ以上に、悲しんでる人がいるから。アンタよりも、辛いのに努力して生きようとしている人だっているんだから。
もう俯くな。
ほら、顔を上げて。
前を向いて、立って。
いっしょに、歩いてあげるからさ。
だから乗り越えようよ。今の絶望を、共に。
――マネージャー 篠原柚月。 背番号12