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つきづき!(仮)  作者: 春雨
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2章⑭

「やっと来た!遅いよ将也!」

 昼食を持って仁美たちの元へ戻ると、仁美は開口一番そう宣った。こいつ…

「仕方ないだろ。ちょっと混んでたんだから。成瀬さんもごめんね遅くなって」

「そんなことないわ。お昼買ってきてくれてありがとう」

 なんて優しい子なんだ…!それに比べて仁美は…

「美月ちゃん優しいねー。将也にはこれくらいがちょうどいいんだよ!」

 こいつ…

「そうなの?覚えておくわ」

「成瀬さん!?そこは覚えちゃダメだよ!?」



「さーて。いよいよお待ちかねの時間がやってきたよ!」

 昼食タイムを済ませ、人心地ついていると仁美がそう切り出した。

「…なんの話だ?それより、昼からどうs「罰ゲームだよ!」

 ッチ。忘れてなかったか。

「…仁美さんや。この遊園地には罰ゲームより楽しいことがいっぱいあるのですよ?」

「将也の罰ゲームをするより楽しいことなんてないよ!」

 こいつは…というか罰ゲームの対象は俺だけじゃないんだからな?

「成瀬さんもいるんだから無茶なことはさせるなよ?」

「大丈夫!将也だけならともかく美月ちゃんにそんなひどいことさせるわけないでしょ!」

 俺一人だったらどんな仕打ちを受けていたんですかねぇ…

「大丈夫よ。何でもするって取り決めで勝負して負けたんだから、何でも言って」

 成瀬さんが男前すぎる!!!

「さっすが美月ちゃん!将也もこれぐらいの男気を見せてもらいたいね!」

 ぐうの音も出ねぇ…

「よし!じゃあ罰ゲームの内容なんだけど…滝本君!私に任せてもらってもいい?」

「どうぞどうぞ」

「おい光希!お前が最後の砦なんだぞ!」

「三枝が考えた方が面白くなりそうだから任せるよ」

 もうだめだ…味方がいない…仕方ない、覚悟を決めるか…

「んで…?何をやらせる気なんだ?」

「じゃあ発表します!…将也と美月ちゃんは二人で、戦慄!恐怖の館を攻略すること!」

「それって…」

「あそこか~」

「き、恐怖の館?」

 成瀬が怪訝そうに聞き返す。

「それって何かしら…?」

「この遊園地にあるお化け屋敷だよ!」

 そう、戦慄!恐怖の館とはこの遊園地のお化け屋敷だ。ファミリー向けの遊園地だからお化け屋敷も大したことないだろと侮るなかれ、基本的にこの遊園地は子供向けなんだけど、このお化け屋敷はなぜか、大人でもビビるくらいに怖い。ちなみに俺は一回も入ったことはない。過去に遊びに来た時、仁美に連れて入らされそうになったことがあったが、全力で拒否した。仕方なく他の友達と入っていった仁美が、出てきたときに涙目になっていたのがすごく印象に残ってる。仁美は基本そういうのに物怖じしないんだが。それを見て、当時の俺は一生入らないことを心に誓った。

「俺も一回だけ入ったことがあるけど、結構怖いよな」

光希は入ったことあるのか。流石だな…

「さてはお前、あのとき俺が入らなかったことを根に持ってるな…?」

「そんなことは思ってないよ??私が体験した恐怖を将也が体験してないなんて納得いかないなんて思ってないよ??」

 なるほど、そう思ってたんですね?

「まあでも、仁美にしてはまともな罰ゲームだな」

 てっきり俺は、遊園地のど真ん中で校歌を全力で歌えとか、そういう辱め系の罰ゲームが来ると思ってたよ。

「美月ちゃんもいるのにそんなことさせられるわけないでしょ?」

 ナチュラルに心を読むのやめてくれませんかねぇ!

「まあ、了解した。成瀬さんと二人で行ってくればいいんだな?」

「そうです!」

 分かったぜ仁美さん。これは、仁美さんのお膳立てなんだな?罰ゲームの体で二人きりで行動して仲良くなれってことなんだな?

 仁美に目で語ると、仁美は力強く頷いた。

 了解だ!昔の俺はビビッて一生入らないとか言ってたけど、流石に高校生だし大丈夫だろ!成瀬さんに冷静沈着な俺を見せつけてやるぜ!

「ということみたいなんだけど、成瀬さんはどう…、な、成瀬さん?」

 いけそうか確認しようとした俺は、成瀬さんの様子がおかしいことに気づいた。一点を見つめて微動だにしない。

「成瀬さん?」

「…」

「な、成瀬さーん」

「…」

「成瀬さん!」

「…あ、な、何かしら?」

 今気づいたという風にこちらを見る。様子がおかしい。ただでさえ白い肌が一層白なってる気がする。もしかして…

「もしかして…」

「な、何?」

「成瀬さんって、お化け屋敷とか苦手「いえそんなことないわ」

「い、いや別に怖いなr「全然怖くないわ」

「顔が青白くなっt「熱中症よ」それはそれでマズいからね!?

 全部食い気味に否定されてしまったが、そんなあからさまな態度をとられてしまうと誤解のしようもない。成瀬さんこういうの苦手なのか。

「おお、これは美月ちゃんにもちゃんと罰ゲームになってるみたいだね!」

「言っている意味が分からないけど。それが罰ゲームならはやく済ませてしまいましょう土屋君」

「お、おう…」

 いつも落ち着いていて淡々としている印象だが、今はいつにもまして感情が見えてこない。大丈夫か…?

「よし!じゃあ早速罰ゲームいってみようか!レッツゴー!」

 一抹の不安を覚えつつも、仁美の掛け声とともに俺たちは目的地に向かうことにした。

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