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摩擦係数

作者: 雪つむじ

触れる。

擦れる。

重なり合う。


二つの気持ちが。

隣の気持ちが。


並びあって。

徐々に近付き。


ぶつかる瞬間。

熱を持つ。


地面につけた、足の下。

踏みしめる大地の重力を。


手に持った、マグカップの。

ミルクがその縁を乗り越える様を。


僕と、君が。

その頬に伸ばした手が、互いに感じた温度の分を。


擦れあった、時。


ようやく、僕は、知ることができる。


触れなければ、知らない。

擦れなければ、わからない。


ただ。


触れることは、怖いことだ。

擦れることは、痛いことだ。

止まっている方が、楽なことを、僕は知っている。

止めてあったものを、動かすことが。

どれだけ、苦痛か、知っている。


だから、僕は、温度を見る。

触れた部分が、赤くなる。

徐々に、白くなっていく。


滑り出した。

ブレーキは、無い。

もう、止まらない。


止められない。

どんどん、低くなって。

もう、冷やせない。

我慢できない。

僕はもう。

0%の。

摩擦係数。

臆病な人、こんにちは。

怖がりの人、こんにちは。

僕は、きっと、世界一の、怖がりです。

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