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【食と私】

翌日、リアリナが朝食を食べに来ないので母親が部屋に向かいました。

部屋の椅子にリアリナは座っていました。

母親は、叱りました。

「リアリナ、何があったの?何を聞いても答えない。それに、食事も食べない!学校で何かあったの?」


リアリナは「ううん」と言うだけ。


母親は頭にきてしまいます。

「いい加減にしなさい。ほら、学校に行っといで!」


すると、リアリナは急に泣き出しました。


「いや!いや!いやー!!」


母親は驚きます。

しかし、リアリナは泣き叫び「学校に行きたくない」と、訴えるのです。


父親は仕事に行って居ないため、母親は狼狽してしまいます。

とにかく、リアリナを落ち着かせようと「ごめんなさい。そうね、辛いんだから休みなさい」と、軽はずみな言葉を言ってしまいました。


すると、今まで泣きわめいてたリアリナが一瞬で静かになりました。

シクシクと静かに泣いています。


母親は、安心しました。

「朝食、持ってくるわね」と、母親が言いました。


すると、リアリナが怒鳴りました。


「いらない!!」


母親は、リアリナの急変に驚き怖くなってしまいます。

逃げるように部屋から出ていってしまいました。


リアリナは、泣きながら鏡に話しかけます。

「何かが、おかしいの」


「頭が爆発しそうよ」


「私が悪いって分かってる」


「性格が悪くなるだけ」


「何にも無い、才能なんてある訳ない」


言い終え鏡をふせ、またリアリナは泣くのです。


ついに、リアリナは夕食も食べなくなりました。


母親が父親に事情を説明するのですが、父親は「子供の事は、お前に任してる」と、役に立ちません。


母親が意を決して部屋に向かうと、リアリナが中から鍵をかけていました。


母親は「リアリナ、夕食を食べなさい」と、声をかけます。


リアリナは「いらない!」と怒鳴るのです。


母親には、どうする事もできません。

再度、父親に説明し助けを求めました。

父親は面倒くさそうに立ち上がり、リアリナの部屋の前に立ち言いました。

「リアリナいい加減にしろ。母さんも困ってるぞ!開けなさい!」


しかし、無反応です。

父親は何回も呼びかけるのに、反応がないリアリナに腹が立ってきました。

「リアリナ!鍵を開けないと、扉を壊すぞ!!」


すると、鍵の開く音がしました。

父親が部屋に入ると、顔色が悪く赤く目を腫らしたリアリナが立っていました。まるで生気を感じません。


母親もリアリナの姿を見ました。

「なんて事…。リアリナ顔色が悪すぎるわ」


父親はリアリナに言いました。

「食事を抜くからだ。さぁ、夕食を食べろ」


すると、リアリナに泣きわめきました。

「いや!いや!いやー!!」


父親はリアリナの様子に戸惑い、母親は怯えています。

父親はリアリナに聞きました。

「何が嫌なんだ?」


リアリナは父親を睨み答えます。

「全てよ!食事なんて、特に要らないわ!」


父親は動揺しながらも問います。

「死にたいのか?ちゃんと食べないと体に悪い」


この問いにリアリナは叫びました。

「死にたいわよ!!!」


両親は驚きました。

リアリナは叫びます。

「こんな私、死んだらいいのよ!死にたい!!!」


父親は唖然としてますが、母親は違いました。


リアリナに駆け寄り、思わず頬をぶってしまいました。

泣きながら母親は叱りました。

「親に向かって、そんな恐ろしい言葉を言うんじゃない!絶対に駄目よ!食べなさい!」


母親は、リアリナの腕をひっぱりました。

リアリナは泣きわめいていますが、母親は無視をし食事の用意された部屋へ連れてきました。


リアリナは泣いてばかりで、食事には手をつけません。


「なんで、なんで…」

リアリナは、ずっと同じ言葉を言っています。


母親は聞きました。

「私が聞きたいわ。なぜ食べないの?」


リアリナは答えました。

「美味しくないから」


母親は、傷つきましたが我慢し聞きました。

「では、何なら食べるの?」


リアリナは答えました。

「ジュースとスープだけなら食べる」


母親と父親は「飲み物は食べ物じゃない」と思いましたが、何でも良いので食べさせたかったのです。

母親が笑顔で答えました。

「では、スープを作るから待ってなさい」


リアリナは、悔しそうな顔ですが頷きました。


母親は、できるだけ栄養をとらせようとミルク粥を作りました。

そして、米が入っているのがばれないよう丁寧にすり潰しリアリナに持っていきました。


リアリナは躊躇していましたが、一口飲み「おいしい」と言いました。


母親と父親は、安心し涙が出そうです。


リアリナは、すぐに全て食べました。

「これなら、毎日食べる」


リアリナはミルク粥を気に入ったようで、母親は「分かったわ。毎日作るわね」と笑顔で答えました。


父親も笑顔で「とにかく、食事だけはとりなさい」と言いました。


リアリナは頷くと、すぐに部屋に戻ってしまいました。


部屋に戻ったリアリナは、すぐに鏡の前にいきました。

「よかったわ、太ってない」


「今、直せるものは真ん丸の顔だけ」


「頭も顔も性格も悪いんだから、何か一つでも直さないと」


「1番、簡単なのわ。痩せることよ!」


「痩せたら才能があるわ、駄目だったら才能はない」


リアリナは、鏡に映る自分に語りかけ続けました。


その日から、リアリナはミルク粥だけを食べるようになり、他は決して食べませんでした。


学校にも行くのですが、性格が変わりすぎたので、友達も距離をおいています。


お弁当もミルク粥を筒にいれ、ジュースのように飲むのです。

周りは驚きましたが、すぐに慣れました。


「リアリナは変わっている」

皆は、口々に悪口を言いました。


更に、どんどん痩せていくリアリナを見てると不安になります。

友人が「体調悪いの?」と、聞いても「ううん」と、リアリナは答えるだけです。


学校が終わり、家に帰ると鏡の中の自分と会話です。

「痩せてるわ!真ん丸が少しマシになった」


「今日は、学校で体調の事を言われたの」


「それって、痩せてるって事よね!?」


「人から見ても痩せてるのよ」


「よかった、少しは才能あるみたい」


リアリナは、笑顔で会話をします。


毎日、毎日、繰り返します。

何か、一つでも才能が欲しいと、鏡に語るのです。

リアリナが15才になっても、鏡への語りかけは続いていました。


リアリナは、がりがりに痩せ「何か病気か?」と、心配されます。


その度に、リアリナは「痩せて見えるということね」と、喜ぶのです。


両親も、心配して体調を聞きますが、リアリナにとっては褒め言葉に聞こえます。


リアリナは、すぐに鏡に報告します。

「よし、太ってないわね。でも、顔が丸い…」


「今日は、6人の人に心配されたの」


「それって、痩せたって事よね」


「でも、気を抜いちゃ駄目よ」


「私には、これしか才能がないんだから」


リアリナは、鏡の中の自分に注意します。

毎日、毎日、飽きもせず。


リアリナは、体は骨と皮だけなのに、顔だけは丸いのです。

それが、リアリナの悩みです。

ミルク粥の量を半分にしても、顔は丸いまま。

リアリナは、丸い顔に苛立ちました。

服を着込むと、太ってみえるからです。

薄着だと痩せてると言われるのに、顔が丸いから太ってみえるのです。

リアリナは「呪われた顔だわ」と、自分の顔を酷く嫌っていました。


そんなある日、リアリナは目眩を感じ倒れてしまいます。

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