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【無と私】

帰り道、リアリナは緊張しながら待ちました。

「どうしよ!?ついに、この時が来たわ」


「全く、好みじゃなかったら…」


「大丈夫よね、友達もいるし!」


リアリナは一人、たくさんの事が頭に浮かんできて苦しみました。



友達が「来た」と言いました。

リアリナは、飛び上がりそうになりました。

友達は「よし、一人ね」と、何だか楽しそうです。


リアリナの好きな男の子は、一人で歩いていました。


友達がリアリナの手を引き「行くよ」と、スタスタ歩きだしました。

リアリナも手を引かれ、ついていきました。


「神様、どうか助けて!」


リアリナは、好みを聞くと自分で言ったのに逃げ出したくて仕方ありません。


リアリナは、目を閉じながら歩いています。

友達が急に立ち止まったので、思いっ切り友達にぶつかってしまいました。


リアリナは目を開けると、目の前に男の子がいます。

友達が口を開こうとした瞬間、男の子が言いました。


「不細工。邪魔だから退けろよ」


リアリナは、時間が止まりました。


友達は、怒って何か言っていますが耳に入ってきません。

リアリナの好きな男の子は、無視して帰っていってしまいました。

友達が「だから嫌いなのよ!性格悪い!」と言っています。

しかし、リアリナは無言です。

友達が、そんなリアリナに気づき「気にしちゃ駄目」と励まします。

しかし、リアリナは無言で一点を見つめています。


友達は、リアリナの手を引き家まで連れていってあげました。


両親はリアリナの様子をみて心配します。

リアリナは、繊細で傷つき易い心の持ち主だと分かっていたからです。

子猫が死んだ時も、ひどく落ち込みました。

その時は数日後には元気になったので今回も大丈夫だろうと、両親は安易に考えてしまいます。


しかし、リアリナは子猫が死んだ時とは違う性格も形成されていたのです。


それは、頑固さ。


落ち込んだら、とことん落ち込み、そこで止まったまま戻れない性格なのです。


両親は、そうとも知らず呑気に構えています。


リアリナは、周りの声を完全に消しました。

自分の世界に入りこみ、絶対に抜け出さないと無意識に決意したのです。


リアリナは、部屋に入りました。

机に座り鏡を見ます。

「不細工…確かに不細工だわ」


「目が小さい、鼻が大きい、口も大きい」


「何より、太っている」


「真ん丸な顔…」


「美貌すらない、才能もない」


鏡に呟き、リアリナは泣きました。

猫が死んだ時も、リアリナは鏡に助けられたのです。

本音を吐き出し、泣くことで以前は乗り越えました。


ただ、今回ばかりは上手くいきませんでした。

翌日、学校に行く時間だというのにリアリナが朝食を食べにきません。

母親は心配し、リアリナの部屋に行きました。

すると、リアリナはベットの上にいます。

母親が「体調でも悪いの?」と聞きました。

リアリナは「とても、辛い」と言いました。


母親は、急いで病院に連れていきました。

しかし、何も病気に罹っていないと言われました。


母親は帰り道、リアリナを少し叱りました。

「今日は学校を休んでも良いけど、明日は行きなさい!」


リアリナは「はい」と小さく答えました。


家に着くと、リアリナは部屋に行ってしまいました。

母親が、部屋まで朝食を持っていくと「いらない」とリアリナが言いました。


リアリナが、食事を食べない事なんて今まで無かったため母親は急に心配になります。

しかし、リアリナは「一人にして」と母親に冷たく言いました。


一人になったリアリナは、椅子に座り鏡をみます。

「私は、どうしてこんなに醜いの」


「見た目だけじゃない、性格まで最悪」


「直せる所は、ある?」


「直さないといけない所ばかり」


「何にも無い、才能もない」


リアリナは泣きだし、鏡をふせました。


翌朝、リアリナの友達が迎えに来てくれました。

友達は昨日、リアリナが休んだので心配だったのです。

リアリナも、何とか学校に行く用意をしました。

母親は、少し安心し「家にいるよりは良いでしょ」と考えました。


リアリナと友達は一緒に学校へ向かいます。

友達が話しかけても、リアリナは「うん」「ううん」この二つしか反応がありません。

友達も呆れて「落ち込みすぎだよ。あんな奴、どうでもいいじゃない」と言いますが、リアリナは「うん」と無表情で返事をするだけです。


学校の授業中も、お昼も、帰りも。

リアリナは「うん」と「ううん」だけしか言いませんでした。


家に着くと、すぐに部屋に入ります。

そして、鏡に語りかけるのです。

「今日は学校に言った」


「学校には行きたくない」

「こんな辛い状況なのに、学校なんて無理」


「頭も悪いし、運動もできない」


「何の才能もないの」


そして、泣くのです。

リアリナは、毎日が辛くて仕方ありませんでした。

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