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暗い通路でのこと
偶然、教室に忘れ物をした。
偶然、教室の前で女の子を見かけた。
偶然、その子に声をかけた。
偶然、お化けと間違われた。
偶然、鳩尾に鞄がめり込んだ。
偶然、女の子にジャンピング土下座された。
偶然、女の子の名前を聞いた。
偶然、.........恋をした。
人に土下座してまで謝る女の子は初めて見た。
ここまで感情を素直に表現する女の子も初めてで。
そんなあの子が面白そうだと思った。
このまま関係を終わらせるには勿体無い気がしたから。
つい、名前を聞きたくなった。
「九条、菖蒲です」
そう言ってふんわりと微笑んだ彼女に、心臓の鼓動が速くなったのを感じた。
俺も自分の名前を名乗り、一息で事情を話して彼女から鍵を受け取る。
教室まで早足で歩き、即座に鍵を開けて中に滑り込む。
「はああぁぁぁぁぁ」
思わず溜息。
「反則だろ......」
そう、反則だ。
あの笑顔は反則だ。
あんな笑顔を見せられたら、好きになるしかないじゃないか。
市原くんのキャラが行方不明です
更新頑張ります