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暗い廊下でのこと

ピンポンパンポーン......

 『下校の時間となりました。まだ校内に残っている生徒は静かに下校してください』

 

 下校の放送が鳴り、ハッとして身を起こす。

 もしかして、寝てしまっていたのだろうか。周りを見渡すが教室には誰も居なくて、私だけが一人取り残されたようだった。

 誰か起こしてくれれば良かったのに...とブツブツ呟きながら身だしなみを整え、教室の鍵を閉める。

 

 ふと窓の外を見ると、もう辺りがすっかり暗くなっていて、光っているのは月と蛍光灯だけ。

 .....なんだかお化けでも出てきそうだ。

 そう思ったら途端に怖くなり、早足で教室を去ろうとしたその時。

 

 「お~い」

 

 ...........い、今なんか声が聞こえたような.....。

 ....き、気のせいだよね。気のせい、気のせい.........。

 

 「おーい!」

 

 「.........気のせい気のせい。幻聴が聞こえるなんて私もう歳かなー」

 

 「おいってば!」

 

 「....気のせい気のせ.....ヒッ!!」


 突如背後から聞こえた声に、思わず止まりかけた足を必死で動かそうとしていると、肩をグワシと掴まれた。


 ......掴まれた?


 ......掴まれた。


 ................。


 「いやああああああああああああああああああああ!!!」


 未だかつてない程の大絶叫を上げ、恐怖のあまり目を瞑って鞄を振り回す。


 「え、ちょっ「無理無理無理無理!私本当に怖いのダメだから!!マジで止めてそういうの!私なんかの所に来ないでよ!もっと度胸がある人の所に行ってこい!!」


 「うわっ、ちょっと君、なんか勘違いしてるっ!っていうかこの子ホントに怖がってんのっ!?鞄がビュンビュンって唸ってるんだけ、グボァ!」


 手応えを感じ、閉じていた目を開けると、そこには


 鳩尾を手で抑えて蹲る美青年が居た。


 「うっ....痛.......。鳩尾入った.........。あ、君やっと止まってくれたね」


 「......................す」


 「.............す?」


 不思議そうに首を傾げるお化け.....もとい美青年。

 格好いい......じゃなくて。

 取り敢えず手と足に力を込める。


 「すいませんっしたあああああああああああああああああ!!!」


 「えええええええええええええええええええええ!!?」


 勢い良く廊下でジャンピング土下座をかまして、足やら手やらの痛みなど気にせずに頭を廊下に擦り付ける。

 だって美青年だよ?めっちゃキラキラしてるよ?


 「わっわた、私、後ろからお化けが来たのかと思って.....。だから鞄を...!」


 「い、いや....俺も行き成り肩掴んじゃったし........」


 「いいえ滅相もない!!私の鞄が貴方のそのお綺麗な顔を傷つけたかもしれないと思うと......本当にすみません!」


 もう一度丁寧に頭を下げる。よりにもよってこんな美しい顔を傷つけそうになるなんて.........一生の不覚!!

 

 これはもう許されるレベルじゃないよな.....と思いながら頭を下げ続け、暫く経った。

 ふと、頭上から楽しそうな笑い声が聞こえた。

 不思議に思って上を見上げると、美少年が笑っている。いや、笑っているというより爆笑してるに近い。

 .....私の土下座がそんなに面白かったのだろうか。

 それでもイラッと来ないのがイケメンクオリティ。畜生イケメンめ。

 というか笑顔が眩しいんですが。何W出てるのこれ。駄目だ、直視できない。目が潰れる。


 一頻り笑い終わったのか指で涙を拭い、私を見て微笑む美少年。

 視力が悪くなるんで止めてくださいお願いします。 


 「そんなに謝らなくても大丈夫だよ。ほら、顔も怪我してないし」


 「で、でも」

 

 「はい、その話は終わりね。でさ、君の名前教えてくんないかな」


 「な、名前!?そ、そんな.....。美少年さんに名乗れるような大層な名前ではないですから!!」


 「そこまで畏まられてもなあ......。でも俺、君に興味持っちゃったから」


 「ええ!?」

 

 「だから教えてほしいな」


 光り輝くイケメンスマイルでそんな事を頼まれたら、断り切れる筈がない訳で。


 「………九条菖蒲くじょうあやめです」


 美少年は、今までで1番綺麗な笑みを浮かべて言った。


 「俺は、市原藤哉いちはらとうや


 忘れ物を取りに来たという彼は、私から教室の鍵を受け取ると爽快に去っていった。

 残された私は呆然と目を見開いたまま、ポツリと呟いた。

 

 「いちはら、くん」

 

 高鳴った胸に気づかないまま。 

気のせいがゲシュタルト崩壊しました。

こんな小説を最後まで見てくださりありがとうございます。

時間があったら続きも書こうと思っているので宜しくお願いします。

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