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アッパーカット!

 日曜日、祐二は昨日に続き病室を訪れていた。本来高校生の休日というものは部活動に精を出すのが普通だがそのような活動はしていない(名前だけは囲碁・将棋部)彼は暇を持て余している。先週の地点では舜と上原でカラオケに行くつもりだったので、時間を空けておいた(外す予定もないが)結果である。それでも誰かがいるだろうと思ってこの病室を訪れた。

(・・・・・・)

が、そこにいるのは寝たままの舜だけで誰もいなかった。というのも面会時間が始まるよりも早く病院に着き、開始と同時に入ったので当たり前ではあるが。

(・・・・・・)

10分ほど経ったがまだ人が来るような気配は無い、祐二はぼーっとしていたが、ふと昨日の出来事を思い出した。

『今舜ちゃんは闘ってるんだよ?』

 というミキの言葉が浮かんできた。かなり臭い台詞だと思った。その時は彼女の気迫に押されて考えている余裕が無かったが、

(臭い、臭すぎる。あらかじめ考えていたのか?そうでなかったらかなりの・・・・・・)

 と考えてしまうが、

『俺はこいつの彼氏なんだよ!』

 と、祐二が担任こと原田に放った台詞も思い出す。

(これも相当痛いぞ・・・・・・せめて敬語にしとけば・・・・・・昨日会ったときにニヤニヤしてたのはこれのせいか?)

「うああああ・・・・・・」

 頭を抱え込んだ。この事だけは舜には知られたくない。絶対に。

 ベットの方を見る。そこにはいろいろな機械やらにつながれている少女がいる。顔色は悪くは無いが、いつもより白めで笑ってもなく怒ってもいない表情をしている。

「あ、グフン」

傍らにパイプ椅子を引きずり、座る。

 祐二は少し姿勢を良くし、舜の閉じた目を見て口を開く。

「あー、舜チャン。俺、祐二だけど、わかる?」

 こういう状況になった時、何をするべきかという問いに対してまず思い浮かんだのは「話しかける」ということだった。ドラマとかでもよく目にする光景だと思う。自分もとりあえず実践することにした。

(・・・・・・)

 しかし返事は無かった。でも続ける。

「んー、何を話そうか・・・・・・んあー」

 詰まりながらも昨日あった文化祭の報告を一通りした。

「おはようございます」

 誰かが後ろから入ってきた。振り向くと看護士さんだった。

「あ、どうも」

 軽く頭を下げてまたベッドの方を向いた。何を話そうか、考え始めるとそういえば文化祭の後には定期テストがあると言うことを思い出した。

「あー、そういえばもうすぐテストだったなぁ。まぁお前はどっち道受ける必要は無いだろうが・・・・・あぁ、だりーなぁ、こんな時に」

 頭を掻いて半開きの目を見る。


(あ・・・・・・)

「あ、あの!看護婦さん!」

「どうしました!?」

 血相を変えて立ち上がった祐二の声に振り向き、大事に備え表情が引き締まる。

「目が、っ、半開き」

 引きつっている祐二の横から手を伸ばし、舜の手首を持ったり回りの機械やらを見る看護士。

「大丈夫ですよ。なんともありませんから」

 とやさしい笑みを浮かべた。

「きっと、あなたの声に反応したんだと思いますよ。確実に回復に向かっています」

(回復・・・・・・?)

 イメージとは少し違った。突然意識を取り戻したりするのが普通だと思っていた。

「おいおい、全く心配させんなよー、てっきり逝っちまったと・・・・・・」

 なんだかネジが外れてしまったようにへらへらと笑い始めてしまった。よかった、本当によかった。半開きだった目はもう閉じていた。


 


午後になった。午前の面会時間は結局他に誰も来なかった。また「目が半開き騒動」以外特に何も起こらなかった。今日は1日いるつもりなので、コンビ二に行って食べ物を買った。

そして再び病室へ戻る。

「お、上原じゃん」

 午前中は部活があったという上原、普段の彼ならまっすぐ帰宅してゲームでもしている事だろう。そんな彼もしばしば病室を訪れている。

「よぉ」

 ジャージのままの上原はドアの横の壁に寄りかかっていた。

「なんだよ、中に入んないの?早く行こうぜ」

 病室は目の前だというのに変な奴だ。腕を掴んで病室へ引きずり込もうとする。

「おいバカ、まだ駄目なんだよ」

 祐二はドアを開いた。脇にある椅子に買ってきた食糧を置こうとしたとき、不意に何かが視界に入ってきた。その瞬間鳩尾に激痛。

「うっ」

 何かをまともに喰らい、その場にしゃがみこんだ。呼吸が困難になりゴホゴホと咳き込む。さらに何かに肩を蹴られ病室の外へ出された。ピシャリとドアがしまった。

「ゴホ、ゴホ、ゴホ・・・・・・」

 (何だ?一体・・・・・・)

 病室に入ったら何者かに襲撃された。攻撃の威力からして男か?しかし他に出入りする男なんてタンバくらいだ。ヤツはこんな乱暴なことはしないはずだ。

「バカだなお前」

 上原に笑われた。一体何がおかしいのかわからないが、こいつは何か知っているようだ。

「一体、何事だっ」

「中の様子はどうだった?見えたか?」

「は?」

 見えた?

 ドアが開いた。中から出てきたのはミキだった。

「お待たせ、終わったよ。入ってよし」

「よっしゃ」

 待ってましたとばかりに上原は病室へ入っていった。

「全く。よいしょと」

 ミキはうずくまった祐二をそのまま病室へ転がした。そしてしゃがみこんで言う。

「見たの?」

「はい?」

「だから、見たかっていってんの」

「意味がわからん。俺は食いモンを置こうとしてだな」

 真実を伝えようとしたがどうやら信用していないようだ。ミキは自分のバッグを拾って振りかぶった。

「待ってって!ほらこのとおりだ」

(全くなんで俺が土下座をしなくちゃいけないんだ)

 しかしこれ以上痛い目には遭いたくない。ここは我慢だ。

「はは、冗談だよ」

 ミキは笑って振り上げたバッグを下ろした。

「でも女の子の着替え中に入り込んで覗こうとするだなんて、許しがたいことだけどなぁ」

 やっと状況が理解できた。どうやらミキが着替えをしていたようだ。しかしだなぁ・・・・・・

「こんなとこで着替えるほうが悪いだろ、ここはあんた・・・・・・あなたのお部屋ではないと思いますが」

 まぁ、ミキちゃんのヌードに興味が無いわけではない。乳もデカいし・・・・・・いやいや。

ミキは不機嫌そうな顔をしている。普段見ている彼女はこんな性格じゃないし常識くらいはわきまえているはずだが。

「着替えてたのは私じゃないよ」

「え?じゃあ誰だよ」

「舜ちゃんに決まってるじゃない!不意打ちは良くないんだぞ」

(不意打ちしてきたのはどっちだよ、っていう)

 で、舜は無抵抗なわけだから覗き魔を退治したと。でも俺の立場上アリといえばアリなのでは?

(くそ、そうだと知っていればぜひ拝んでおきたかったな!)

「上原君、ちゃんと言わなかったの?」

 超不機嫌そう中で上原を睨みつけた。ヤツも何か絡んでいるのか?

「いや、こいつが勝手に入っただけだって。俺は止めようとしたから」

(そういえば待てとかいってたな)

「はぁ・・・・・・」

「俺は悪くない」

「以後、気をつけるように」

 どうやら許してもらえたようだ。それにしてもミキは舜のことになるとやたらと熱くなる。「闘っているんだよ」発言にしても、誰よりも病室を訪れていることにしろそうだ。益々その真相について知りたくなった。

「あ、病室でお菓子を食べちゃいけないぞ」

 ミキは祐二と上原の手から袋を取り上げた。

 

 

お、おひさしぶりです。

早く続きを書こう書こうと思っていたらいつの間にかこんなに時間が経ってしまって・・・・・・

しかし!時間が空いてしまった分続きもかなり先の方まで出来上がっていたりするんですよ(ホント)

あとはPCの前にどれだけいられるか、が問題ですね(^^;)

久しぶりなので誤字脱字があるかも・・・・・・

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