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広がる溝

うまくいっているかのように見える2人の仲。しかし別々のクラスになってしまっている以上2人が共に時間を過ごす時間は少なくなっていた。新しい環境は2人の間の溝を少しずつ広げていた。

 5月の中旬を過ぎ、暑さを感じる日が多くなった。生徒たちのほとんどが、Yシャツ姿でいるように

なり、白が行き交う校内は以前より明るくなったように感じられる。

(あと5分・・・・・・)

 居眠りから覚め時計を見ると、終業の5分前だった。舜は担当教師の出張で自習になったと聞いて、心おきなく顔を伏せたのだった。

(今日は部活無し・・・・・・祐二と帰ろ)

 最近は高校総体に向けた練習で、滅多に休みがなかった。そのため祐二と時間を過ごすことはほとんどなく、加えて祐二も祐二で、新しいクラスメイトと昼食を食べたりすることが増え、日課だった中庭での食事も無くなっていた。つまりは以前より2人の距離は遠くなっている。

「あー、やっ・・・と終わった」

 逆に最近時間を共にすることが多くなった上原。休み時間はだいたい彼かミキと過ごしている。

「さぁ、今日は部活がないからもう帰れるんだよね」

「クッソー、うらやましいぜ」

「今日は祐二と帰ろうかな」

「祐二?あいつ確か誰かと遊びに行くとか言ってたはずなんだが」

「そなの?まぁ、ウチは駅までだから来てくれるよ」

 祐二の自宅は駅の向こう側、支障はない。

「だな、じゃぁ俺は部活へいってくらぁ」

 重い足取りで歩きだす上原を見送り、舜は靴箱の方へと歩き出した。

 一足早く靴箱に着いたので、そこで祐二を待つことにした。

(あ、来た)

 階段から祐二が降りてきたのが見えた。何人かの友人も連れている。そのまま向ってきたので、舜は

手を振って気付かせようとする。

「・・・・・・」

 無視された。

(こういうのって恥ずかしいのかな・・・・・)

 昇降口で彼女に待っていてもらう。こういった場面を人に見られるのはやはり恥ずかしいのかもしれ

ない。1人になったところに行くのがよさそうだ。

(・・・・・・まだ?)

 駐輪場で祐二が1人で来るのを待っていたのだが、なかなか来ない。待たれていることがわかってい

るならば、すぐに来るはずである。おそらくそのことに気づいていないのだろう。

(しょうがないなぁ)

 舜は祐二のクラスの駐輪エリアへ向かう。そこに祐二はいたが、その周りにはまだ友人たちが残って

いた。

「祐二、ねぇ」

 自転車を寄せながら話しかける。しかし、またも無視をされた。

「おい祐二!」

 今度こそ無視されないよう背中を突いてみる。さすがに気づいたようだ。

「よぉ、舜チャン」

「ん、一緒に帰ろうよ」

 今までと変わらない誘い方。今までと同じ答えに期待する。

「あ、悪い。今日はゲーセン行くから」

「え・・・・・・」

「おや、この子が例の子?」

「かわいいじゃん」

 舜の存在に気づいた友人たちは彼女に注目する。

「まぁそんなとこだ。で、ヤツはまだ来ないのか?」

「さっきはいたんだけどなぁ」

 まだ1人いない者がいるらしい。しかしそんなことは関係なかった。今、祐二の気持ちは彼女には向けられていない。

「・・・・・・じゃぁね」

 舜は駐輪場を後にした。上原、タンバ、ミキは共に部活。1人だった。部活のある日も帰宅は1人だが今は1人で帰ることに孤独感を感じている。

(ま、そういうこともあるって)

 しばらくすればテスト週間になり部活は無くなる。その時誘えばいいのだ。そう思うも孤独感は消えない。真っ赤な夕日が一層それを強くした。


「うふふ、また悩み事のようねぇ」

「げっ、ジジイ。相変わらず勘の良さ」

 リコの件といいこういうことに関してはよく首を突っ込んくる”暫定の”神様。

「自分より友達を優先された。そのことがショックだったのね・・・・・・」

「違うもん」

「全くぅ。素直じゃないわねぇ。顔に出てるのに」

「だけど断り方ってもんがあるでしょ?あんなそっけないなんて・・・・・・」

 目も合わせず断る祐二を思い出す。まるで他人のように。

「深く考えすぎよ。あなたは大切にされてるから」

「それが伝わってこないもん。あやしいよ」

 完全に機嫌を損ねている舜にジジイはため息をつく。

「ホント、独占欲が強い子ねぇ。わがままなだけに見えてきたわ」

「だって恋人だよ?もっと大切にするものだよ」

「はぁ・・・・・・、かなり重症のようねぇ。全く、あなたが女の子じゃなかったらどうするつり?」

「え?・・・・・・それは・・・・・・」

 そう、舜は元々女性なのではない。9割超の時間を男として過ごした身なのだ。仮にそのままだった

として、これほどまで祐二のことを気にしているとなると・・・・・・なかなか危ない。

「ワタシに感謝しなさいよねっ。あなたを立派なオンナにしてあげたんだから」

「クーッ」

 こればかりは反論できない。今の幸せはこの変態ジジイによって与えられたものだ。

「まぁ、ようは祐二クンも女の子とイチャイチャしてばかりはいられないってことよ。あなたも祐二クンばっかり見てないで、女友達を増やしたらどう?」

「・・・・・・そっか。やっぱり束縛しすぎかな。反省するよ」

「よろしい」

 そう笑ってジジイは去ってく。と同時にあたりは明るくなり朝を迎えた。

アヴリルが可愛すぎて泣いた。What The Hell

どうも、またまたお久ぶりです。

最近ちょくちょく暑い日があったりしまして夏がくるなぁと感じます。

夏と言えばクーラーですよね。そうです、わが県にある原発が停止しました。つまりは夏に電力不足が懸念されるわけです。ああ、クーラーの無い夏なんて・・・・・

と思うわけですがそんなことは言ってられませんね。

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