新学年と留学生
新学年になり2年生となった舜達。しかし早々に問題が発生する。担任は昨年と同じく原田だったり、編入してきた留学生が絡んできたりして・・・・・・
4月7日、桜は満開だ。校門付近に植えられた桜はまるでトンネルのようである。その校門は
今年、晴れて河原高校に入学する新一年生でごった返していた。各々が真新しい制服に身を包み、夢と希望に満ち溢れた表情をしている。
「初々しいなぁ」
「オヤジくさっ」
そんな中、何故か祐二と舜がいる。というのも前担任の原田が名指しで指名したからだ。理由はというと、
「お前らどうせ暇そうだから」
という納得のいかないものであり
「ウチらのニートタイムに暇なんてないっての」
と、春休みは部活以外家を出ないと決めていた舜にとってはいやがらせでしかなかった。
「といっても、サボれば宿題倍増だからなぁ」
ペナルティも付いてくるなんともいやらしいなセットなのだ。
「あの、1年2組の15番です」
「へい、鈴木さんね。おめっとさんと」
仕事は受付および花飾りの配布である。
「もう1年経つんだね」
舜は1年前ここであったことを思い出す。
「だな。お前に会ったのもその日」
「いい出会いではなかったよね。第一声が「トイレどこですか」だったし」
「あん時はマジ焦ったわ」
と、昔話に花を咲かせている2人を大きな影が覆った。
「アー、トイレドコディスカ」
といったのは身丈190センチはあろうかという男だった。しかも外人だ。
「えっとぉ・・・・・・そっちかな」
舜はわかりやすくトイレの方向を指さす。
「Thank you」
といって大男は走り去って行った。結構危なかったようだ。
「留学生?」
「だろーな。にしてもかなりイカツイ奴だったな」
祐二がビビるのも無理はない。大柄な体格に加え、真黒な肌、スキンヘッドにぎょろっとした眼は某強暴格闘家を連想させた。
「あんなのが下級生になるのね・・・・・・」
「ああ、おそろしいな」
結局その後も真面目に仕事をする舜たちであった。
翌日、舜たちは始業式をすませ、新クラスの初顔合わせということで自己紹介付きのホームルームを行っていた。
「えー、担任の原田です。担当は数学、去年と引き続き担任の人もいると思いますが、まぁよろしくお願いします」
早くも舜(および上原)は厄介なクラスになってしまったと感じる。というのも、宿題が多い、授業中寝ることができない、変な絡みがあるという彼らが最も嫌う3要素を兼ね持つというのがこの原田である。
「やってくれるわ」
と、上原は頭を抱えていた。しかし、問題はそれだけではない。
「そして君たちには重大なニュースがあります。今年からうちの学校に編入する生徒がいます」
ざわざわと教室が騒ぎ始める。実は舜の後ろの席は現在人が座っていない。新年度早々休みかと思ったが、どうやら違うようだ。
「えー、名前はタンバ君と言います。部活動はバスケット部だそうです。おし、入ってこい」
ガラッと勢いよく扉が開く。
「こんにt・・・・・・(ガコッ)」
なんという出オチ。そいつはいきなり扉のサッシに頭をぶつける。
(ぶつける・・・・・・デカイ・・・・・・ってまさか・・・・・・)
そう、ヤツだった。昨日見た超巨大外人である。というか1年だったはずなのだが。
「アー、ワタシ、アレックス・タンバ、ディス ヨリシク、ネ」
とりあえず日本語は喋れるようだ。片言ではあるが十分である。
「アー、basketballトクイ、basketball clubハイリマス」
なるほど、確かに向いてそうな体格だな。
「よし、じゃぁタンバ君は高峰の後ろの席な。高峰、手上げろ」
手を挙げる。まぁ彼は自分のことなど知らないのでよしとしよう。そしてタンバはズカズカと歩いてくる。目が合った。
「オォーウ。ウフフ」
とだけ言って座った。
(な、何なのコイツ・・・・・・)
次の時限、春休みの課題を基にした課題テストたるものが行われている。わけだが、
ツンツン
先ほどから舜は後ろの席から何度も背中をつつかれていた。犯人はというともちろんヤツである。
ツンツン
とてもくすぐったいので舜は「んっ」と身をよじらせる。と、
「オオーウ。so cute フヒヒ」
などと気色悪い声を発している留学生ことタンバである。
(まちがいない!コイツ、ただの変態だ!)
なんともイカツイ風貌であるが、この行動からしてかなりフレンドリー?な性格のようだ。
ツンツン
(クーッ)
我慢できなくなったのでガタッと椅子を前にずらす。これで一安心、が
「オオウ、ニガサナイ、ヨ」
ガガッと今度は机を前に出すタンバ。今度はうなじを触ってきて・・・・・・
「ヒーッ!」
思わず声を上げてしまった。
「どうしました?高峰さん」
無論、監督の教師にこう言われるわけで。
「や、野郎~っ」
そう言って(すでに舜の中では)変質者を睨みつける。
「オオウ、sorry sorry モウシナイヨ」
申し訳なさそうに謝る変質者。それでよければ警察はいらない。
「タンバ君だっけ?大人しくしていなさい」
と、先生にも釘を刺されたので、とりあえずこの時限は手を出してこなかった。
「大丈夫だった?舜ちゃん」
テスト終了後、ミキが声をかけてきた。ミキはさっきのことを全部見ていたようだ。
「怖いよね・・・・・・あの人。どういうつもりなんだろう」
顔を青くするミキ。かなり心配してくれているようだ。
「わかんない。うん」
本当に何のつもりなのだろう。嫌われているわけではないようだが。ちらっとヤツの方を見る。
「アーウチッ」
ひとりでトランプでピラミッドを作っている。で、今崩れたところだ。外見のせいもあって、男子もなかなか近付けないようである。
「オウ?」
と不意にこっちを向いたタンバ。
「やべ。目が合った」
「うそ・・・・・・怖いよう、舜ちゃん」
ミキはそういって身を寄せてきた。そこに、
「アー、ワタシ アヤスィクナイ、ヨ コワクナイ、ヨ」
と、スロー再生の時のような低い声で言うタンバ、いつの間にか横にいる。
「よく言うよ。なんのつもり?」
できるだけこちら側も恐さを出して言う。
「アー、オコラナイデ。ハナシ、キィテクダサィ」
何故か知らないが向こうが泣きそうな顔をしている。「何よ」と返す。
「ダッテ、ダテ。舜チャン、カワインダモン」
「は?」
「へ?」
唖然とする舜とミキ。
「Yesterday ワタシ、キミトアッタ ニポンノヒト アマリヨクミタコトナイケドゥ キミ カワイカタ。ナカユクシタイ、ヨ」
(えーつまり・・・・・気に入られたってこと?)
「ホント?」
ミキが聞く。
「イエース。ユルシクネ」
親指を立てるタンバ。
何と言うか、愛らしいやつなんだろう。たぶん。
その後、休み時間一杯、タンバはひとりで母国アメリカについて語っていた。
どうも、甘党でございます。
春ですね~家の近くの桜の花もちょいちょいと咲き始めましたね。
新○○とか聞いちゃうといつも「初々しいなぁ」って思っちゃいます。
自分も髪形変えたりして気分変えたいですなぁ
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