そのころの祐二
リコの登場によりギクシャクし始めた祐二と舜の関係。リコの徹底的な煽り攻撃を目の前にした祐二は・・・・・・
(前話から1週間後の話)
今日もとても面倒な日だった。
マラソン終了後、リコはすぐにやってきた。好かれようとは思っていないのだが、どうやら気に入られたらしい。まぁ女の子に気に入られるというのはまんざらでもないのだが。
(すっきりしねぇな)
前から彼女が欲しいと上原をはじめ、舜(言うべきことではないのだが、なぜだろう)にもよく言っていたことだった。そしてついに、
「ねぇウチと付き合わない?」
帰り際、とうとう言われた。自分でも結構肉食系だと思うのだが、
「ちっと・・・・・・待ってくれないか」
と言って逃げてきたのだ。帰り道、いろいろ考えてみようと思ったのだが面倒になってやめた。
「かーっ」
クシャクシャと頭を掻く。頭の中に浮かんでいたのは、この先あるであろうリコと過ごす日々ではなく、電車の中で自分を枕にして寝る舜の姿だった。
(好きとかじゃなくて、残されたあいつがどうなるか気になるんだよな)
いろいろなことが噂されてきた2人の仲、(女子に聞いたら上原はないということだそうだ)知らないうちに、彼女を期待させたり、傷つけていたかもしれない。そして、今回のことをどう伝えたらよいのだろうか。勝手ながらこの関係は崩したくないのであった。
翌日、
「よぉ、舜チャン」
いつも通り挨拶を交わす。が、
「・・・・・・ん」
と言っただけでどこかへ行ってしまった。やはりここ1週間ろくに話せていないし、機嫌を悪くしてしまっているようだ。
「ま、そういうこともあるさ」
察したような口調で言う上原。
「お前に言われるようじゃ、おしまいだな」
(今日もだりーな)
席に着く。担任の原田が入ってきてホームルームを始める。
「祐二、昼休み。職員室な」
またお呼ばれされたようだ。まぁもはや日課なのだが。
「木本君、起きていますか?」
「木本君、起きなさい」
「祐二、起きろ。顔洗ってこい」
「お昼前で大変でしょうけど寝ないようにしましょうね。木本くーん」
午前のすべての教科で教師に起こされた。何もする気になれなかった。
(そういえば、リコが絡んできてからか・・・・・・)
いつものメンバーとうまくいかなくなっているのはわかっていた。リコと仲良くしていく上では仕方のないことなのだが。そして・・・・・・
カタカタカタ・・・・・・・
今日の昼食は無言だった。祐二は職員室行きを理由に抜け出すことができ、ほっとした。あとは頼んだ、上原。祐二は職員室へ向かった。
教室に入ろうとすると、教室は異様な雰囲気で満ちていた。窓から恐る恐る見てみると、
リコと舜が何やら口論をしている!?
「おい、何があった」
ベランダに避難中の上原に尋ねる。
「ヤツが来たんだが、やっぱり舜のやつ機嫌悪くしてな。やらしく尋ねられて舌打ちしたらムッときちゃったらしくて。このサマだ」
「何やってんだよ」
責任を感じ、祐二は止めに入ることにした。
「落ち着けってお前ら」
とりあえず2人の間に入る。
「祐二」
舜は一歩下がる。しかし血の気の多いリコはというと
「高峰さんはただの友達でしょ? なんでウチらの関係に入り込んでくるのよ!」
「落ち着けって」
しかし聞く耳をもたない。そして舜は黙り込んでしまっている。
「ほら、この子ったら何も言えないじゃない。やっぱりダメな子ね。ほんとは祐二クンが好きなんじゃないの」
「ち、ちが!」
「言いすぎだリコ!」
本当によく煽るやつだ。
「高峰さん、ウチたちが付き合うってこといったら、ものすごく怒っちゃうんだもの」
「おい、それはまだ・・・・・・」
なんなんだコイツ、腹たって来たな・・・・・・
「だって認めないんだもん。自分が祐二クンに何とも思われてないことがさぁ」
(・・・・・・)
今にも泣き出しそうな顔の舜 こっちを見ている。
「高峰さん、あなたはねぇ? お人好しのユージンに適当に相手にされてるだけなのよ?ね?」
ツッ
何かが切れるような音がした。
「リコ!いいか!・・・・・・」
祐二は気付かされた真実を胸に、大声を張り上げて言う。
どうも、作者こと甘党でございます。
今回は祐二回といったところです。視点を変えて、人物の状況がより詳しく書けたらと思いまして。
これから少し時系列が前後します。少し読みにくかもしれません。が、
2つのルートが、つながった!という場面がありますのでその時をお楽しみに!
なにかありましたらtwitterのほうまで! @amato_san