Vol.014【バーンアウトサイン】
はぁ……
朝から漓久の大きなため息がその場に響き渡る。
ケンジ「どした?」
漓久「あー?」
ケンジ「なんかあった?」
漓久「うん……なんもねぇ」
ケンジ「アリアリじゃね?」
漓久「そう見えるか?」
ケンジ「見える!」
漓久「じゃ、正解だな!!」
ケンジの後ろから、明るく笑う沙羅と、
少し照れたように微笑むみつきが駆け寄ってきた。
沙羅「どした?今日の漓久わぁ!」
漓久「うるせぇ!!オマエは関わってくんな!!」
沙羅「機嫌わっるっ!
どしたの?
漓久。」
ケンジ「こういう時の漓久には関わるなよ、
沙羅!」
沙羅「あっ……またアレ?
なんだっけ?
アレ!
うーんと…
ネバーランド、だっけ?」
ケンジ「やめとけって、沙羅!」
沙羅「それが原因?
アハハ!
ウケる!」
漓久「沙羅……てめぇ!!」
みつき「も…もう……いいでしょ……
二人とも……やめてよ」
漓久「沙羅がムカつくような事言ってくっからだよ!!
てか、みつき!
オマエも、その陰気な雰囲気いい加減なんとかなんねーのかよ!!
ウザくてたまんねぇ!」
沙羅「ちょっと!
みつきに当たらないでよ!
ひょっとしてネバーランド彼女に振られた??
アハハハ!」
漓久「お前どこでその話を!
ケンジ!
お前コイツらに喋ったのかよ!」
ケンジ「違うって漓久!
そんなんじゃねぇって!
漓久がハマっているネバーランドの事をちょっと聞いただけなんだって!」
漓久「は!?
コイツら、俺がネバーランドやってるのを知ったら変に詮索してくるの目に見えてるじゃねぇか!
それでなくてもあのゲームは一部じゃいかがわしい出会いのアプリって思われてるのによ!」
沙羅「あら?
そうじゃないの?
私はてっきりそういうゲームだと思ってたけど?」
漓久「お前みたいな奴がいるからどんな健全なアプリでも出会い系アプリだと思われんだよ!」
ケンジ「まぁまぁ落ち着け、2人とも!
こんなしょうもない事で喧嘩するのはやめようぜ!」
沙羅「こんなしょうもない事で、そうそう嫌な気分にさせられるのも嫌だけどね!」
漓久「お前のせいだろうが、沙羅!!」
みつき「もうやめてよ!
違うよね?漓久君?
漓久君だって、そんな彼女いないもんね?
ね?」
漓久「は!?
お前に俺の何がわかるんだよ!
根暗な奴に分かるわけがねぇだろが!!」
沙羅「あんた言い過ぎだよそれ!!
たかがゲームにのめり込んじゃってさ!!
バカじゃない!?」
漓久「てめぇ……
言っていい事と悪い事があるぞ!
バカはお前だよ!」
みつき「沙羅ちゃん、漓久君……やめて」
漓久「たかがゲーム……
たかがゲームだと……
冗談じゃねぇ」
ケンジ「やめろって!!
漓久!!」
漓久「ったくどいつもこいつも……」
漓久の怒りが限界に達し、その場から立ち去ろうとする漓久を必死に止めようとするケンジだった。
ケンジ「漓久?
何処行くんだよ!!
おい!!
おい!って」
うぜぇ。
どいつもこいつも……うぜぇ。
現実世界なんて、人の顔見りゃああだこうだ、
勝手な妄想で人をバカにしやがって。
こんなにイライラするのはなんでだよ。
沙羅やみつきの言葉がイチイチ気に入らねぇ!
最近……自分でもひでぇ有様。
分かってるけど、このイライラした気持ちをぶつけるところがアイツらにしかない。
自分がイヤミったらしい言い方で人を傷つけてるのかさえ分からなくなってくる。
最悪だ……俺。
最悪だ。
ネバーランド、
ダイヤモンドダストの日記を投稿してから、さらに3日。
SoRaからまだ返事がない。
あの言葉は嘘だったのか?
写真を見たかったってのは……嘘だったのか?
俺がこんなにイライラしてる理由はわかっている。
だってSoRaは、毎日ある一定の時間帯にネバーランドにログインしてる。
その時間帯になるとアバター横の表示がONになってる。
毎日深夜に。
だけど
俺の日記に返信がないのは、
俺へのコメントや写真に全く興味がないから。
いったいSoRaは誰と交信してる?
10人の友達の誰か?
日記の中でいったい何が起こってる?
何も見えない。
何も感じない。
でも、でも
知りたい。
心の中で密かに思ってるんだ、俺。
SoRaがログインしている間はネバーランドの中のゲームをやってるって、そのゲームにハマってて欲しいって。
今日も★を送る。
俺が送った★は7個。
SoRaがくれた★は0個。




