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その後、優斗は立ち直った。
あけみは“頼れる存在”になり、咲子は――不要になった。
「霊能力者の真似事、もうやめなさい」
そう言い残して、あけみは去った。
もし真実が広まれば、咲子はすべてを失う。
居場所も、役割も。
――一人になる。
ユキコのように。
ねえ、ユキコ。
私だけは、あなたが分かる。
誰にも見てもらえない怖さ。
何もできないのに、必死に誰かに縋る気持ち。
私たちは、同じ。
咲子の長い髪が、風もないのに揺れた。
「お払い、上手くいった?」
数日後。
開かずの間で、あけみに咲子は声をかけた。
「それが……おかしいのよ。ここには、もう何もいない。あんなに強烈だったのに、どこ行ったのかしら」
「……帰ったんじゃない?」
「あの世に? 未練だらけだったのに?」
あけみが首を傾げた、そのとき。
「ねえ、最初に優斗くんの前に現れたのが“髪”だった理由、知ってる?」
「え?」
「ユキコね。優斗くんに最初に言われた言葉が『髪が綺麗ですね』だったんだって」
だから、そこから現れた。
認めてもらいたかったから。
「この気持ち、分かる?」
「……なんで、そんなこと知ってるの」
二人は、微笑った。
「わたしがおしえてあげたから」
――バタン。
教室のドアが、ひとりでに閉まった。




