表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊少女  作者: 蓮田 れん
10/11

11

「今井さんって、本当は何も視えてないわよね?」

蒼白な優斗を保健室へ連れて行ったあと。

人気のない中庭の影で、あけみは咲子にそう言った。

「……意味がわからないわ」

咲子は冷や汗をかきながら答えた。

無駄だと分かっている。さっき、あけみが“本物”であることを、この目で見た。

「どうして、何もできないくせに優斗くんに関わろうとしたの?」

いつもの騒がしいギャルとは別人のように、あけみは凛と立っていた。

「あなたこそ、どこまで知ってるの」

「質問する立場だと思ってる?」

鋭い視線に、咲子は言葉を失う。

霊感少女という仮面を剥がされた咲子は、ただの、取るに足らない人間だ。

「……まあいいわ。教えてあげる」

あけみは溜息をついた。

「あの教室には、女生徒の霊がいる。私たちが入学する前、彼氏に振られて、あの教室で首を吊った生徒がいたの。祈祷して封じた結果が“開かずの間”」

「そんな話、初めて聞いた」

「私は、インチキのあなたと違って、ちゃんとしたツテがあるの」

腕を組み、あけみは続ける。

「優斗くんだけが憑かれた理由? 一つは、私が“気づいてしまった”から」

「……気づいた?」

「霊は弱い存在よ。でもね、“存在を認められる”と、力を持つ」

だから、本当に視える人は、見えても気づかないふりをする。

軽々しく口にしない。

「でも、それだけで、あそこまで……?」

あけみは首を傾げた。

「それだけじゃない。あの霊、優斗くんに強く執着してた」

________________________________________

「俺、あの人知ってる」

保健室で、優斗は震える声で言った。

「中学の時、塾帰りに公園で知り合った。年上の高校生で……相談とか、よくしてた」

やがて、彼女は来なくなった。

忘れていた。

でも、教室で見た幽霊は、確かにあの人だった。

「名前……ユキコ、だったと思う」

「きっと、優斗くんが好きだったのね」

あけみは静かに言った。

「最初から、想いはあった。そこに私が“見た”。それで一気に現世に干渉できるようになった」

咲子は理解した。

地味で、誰にも選ばれない少女。

――それは、自分だ。

「俺、どうすればいい?」

「忘れなさい」

あけみはきっぱり言った。

「お払いをする。そして、私たち全員がユキコを忘れる。そうすれば、存在は薄れて消える」

「……それで、助かるのか」

「ええ。彼女はもう、生きていない」

優斗は、深く頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ