51 なかがき
ええっと、『あとがき』ではなくて『なかがき』です。
えっ? 『中書』ってのは、ご祝儀袋の中に入れる中袋に住所・氏名・金額を書くこととか、草稿と清書の中間の書写とかで、『まえがき』『あとがき』に対応するものじゃないだろうって?
まぁ、そうなんですけど。他に言いようがなくって。
というわけで『なかがき』です。
ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございます。
読んでも面白くなかったというあなた。
あなたの感性は極めて正常です。
読んだ方にはお分かりかと思いますが、この作品は、私が世の中に溢れる和製異世界ファンタジーの小説を読んだりアニメで見たりして、気になったことや納得できなかったことを吐き出すために、物語としての肉付けをしたものです。
言ってみれば悪口や陰口みたいなもので、できるだけ物語部分が面白くなるように努力したものの、まだまだ実力不足。そんなもの聞かされたって面白いわけがありません。
でもいいんです。
私は少しだけスッキリしましたから。
だってね、文句のひとつも言いたくなることってあるでしょ?
コミックで江戸時代の話なのに、障子の中央にガラスが入ってる絵とか見たら、何やっとんじゃこいつはとか思っちゃうじゃないですか。
江戸時代に建てられた重要文化財でも、電気の照明を取り付けたり、一部にガラス窓取り付けて有ったりするんですが、その写真見て、江戸時代の建物としてそのままトレースしちゃってたりするんですよね。
昭和の実写作品なら、仕方ないと、目を瞑ることは色々とあります。
将軍様の乗っている馬が当時の品種と懸け離れた姿だとか、当時は存在しないはずの外来品種の植物や生き物が映ってるとか、江戸城が姫路城になってるとか。
西洋の中世の建物なんてまさにそれ。
中世の建築物の写真だからって、それは昔の姿のままじゃないってのに、そのまま使っちゃってたりする。
特にガラスはね。
一般家庭用の窓ガラスに歪みのない板ガラスが使われるようになったのは、昭和末期になってからなんですよね。今じゃ当たり前になっている、歪みのない板ガラスは、本当に高度な技術の集大成なんですよ。
服装については詳しくないので本編では書きませんでしたけど、和製異世界ファンタジーでは、完全に近代の服装が当たり前になっちゃってますしね。
馬車も気になっちゃいます。たまに幌馬車が登場することがあるんですが、幌馬車はアメリカ開拓時代のもので、西部劇に登場するならいいんですけど、中世ヨーロッパで描かれると、ものすごく違和感があります。それに長距離移動する馬車なのに一頭立てなのもありえない。そこは二頭立てか四頭立てだろ、と突っ込みたくなります。
物語は本物らしければいいってわけじゃないことは分かっています。
日本の時代劇のように、お約束に従って嘘をつくことも必要でしょう。
でも、もうちょっとね、有り得る世界にして欲しいんですよ。
さて、このお話はこの後どうなるのかな。
私にもわかりません。
ユリも和製異世界ファンタジーの毒牙にかかって、有り得ない世界描写に染まって行くかもしれません。
そもそも文才のない私に続きを書けるのか?
もうちょっと頑張って見ます。
乞うご期待。
* * *
ユリ「なぁにが『乞うご期待』よ。
だいたいねぇ、主人公である私の体形を貧相にした時点で、
終わってるのよ。見た目が12歳とかならいいけど、見た
目17歳でって貧相って、何が悲しくて、こんな格好され
られなきゃいけないのよ。
それに、代わりにミラさんやマリエラさんやその他女性陣
のポロリとかがあるならともかく、女性を愛でるシーンが
皆無、ゼロじゃない。
入浴シーンもない、身体を拭くシーンもない、恋する女性
も出てこないし、巫山戯んじゃないわよ。
そんなんで読者が付くわけないでしょ。
なんか私、駄作に出演する女優の気持ちが分かる気がする」
元坊「そうは言ってもねー。
よそ様の作品で、そういうシーンを読むのは大好きなんだ
けど、自分で書こうとすると筆が止まっちゃうんだよねー。
自分の娘に彼氏ができるのが許せない父親の気分っていう
か、そんな感じで」
ユリ「なっさけないわねー。
女親がマネージャーだったら、娘のあられもないシーンを
どんどんやらせてるわよ。
というわけで、この作品に続きがあったら私、身体を張っ
て頑張っちゃいますねー」
元坊「絶対ダメー!!」




