6話 月夜の素材集め
この話には少しだけ生々しいシーンがあります。読み進めにご注意してください。
バザーに出品してから10分が経過したけど変化なし…。素材集めに行きたいのでハヅキに場所を聞き一緒に取りに行くことにしました。
「この時間だからちょっと危険だけどまぁ平気かな?私から離れちゃダメだからね?」
「うん、そもそも暗い場所でハヅキと離れる事は絶対ないから平気」
宿の外に出てフィールドのある門まで向かう。今思うと色んなプレイヤーが居るなぁっと周りを見るけど特に目を引くものがないのでハヅキの手を握り離れないようにした。
「手を繋ぐとはいいけどフィールドに出たら離してよ?モンスター出てきたら戦えないから」
「うん、たぶん離すね」
「多分じゃなくて絶対がいいなぁ…本当に怖がりだね」
「初めて見るものは何でも怖いよ、ゲームの中だってわかってもなんか現実みたいで…」
ユキナの言っていることは何となくわかる。私も最初はゲームだとわかっていても実際にフィールドに出ると足がすくんだし、まるでもうひとつの現実みたいだと思うことはあるかな。まぁこの世界で食べても現実じゃお腹は膨れないんだけどね…。
「ユキナはデバフはわかる?」
「確か毒とか麻痺系だっけ?」
「そう、それ以外にも色々あるけどここらへんで使ってくるのは毒くらいかな。そろそろフィールドに出るからね」
「うん、気を付けながら歩くね」
フィールドは暗いけど星や月明かりでうっすら明るい。草の香りが風に乗って来る中他の匂いも混じっているような気がした。
「ねぇ何か変な臭いしない?」
「獣型モンスターかな、私はそこまで感じないけどユキナあっちでも鼻いいもんね」
「確かそれって関係あるんだっけ?」
「関係あるね、PSに含まれているからね。向こうで得意な事はこっちではさらに上手くする事が出来るけど慣れるまで時間はかかるけど…どうやら話し声でモンスターが寄って来たみたいだね」
「あれって野犬?」
中型犬くらいのモンスターみたいだけどめっちゃよだれ垂らしてて牙むき出しとか可愛くないしめっちゃ怖い!よく見ると後ろの方にあと2匹居るのかな。正直犬には少しトラウマがある…。
「ユキナ気を付けて!こいつらはヘビードッグってモンスターで弱点は火、雷、光が効きやすいから近寄ってこられたら何とかファイアで頑張って!私は他の二匹を引き付けるから!」
「何とかって!!出来るだけ頑張ってみる!」
ハヅキが前衛に出てくれてるけど私めっちゃ足手まといだよね?相手が近寄ってきたらファイア近寄ってきたらファイア…。私ならできるはず!…たぶん。こんなこと思ってたらこっちにめっちゃ走って来る!めっちゃ速いし怖すぎる…。犬好きだけどこれは別!
グルル…っと言いながら走って来る。
「こ…こっちに来ないでっ!〘ファイア〙!うっ…いたた。当たったのに止まらないのね」
走って来るヘビードッグの足元に向けて放つと燃えながらもこっちに突進してきてた。私は防ぐ事が出来ずそのまま突き飛ばされて㏋が15あったのにもう㏋5しか残ってない…。回復ポーションを取り出そうとしたら回復させまいと火傷を負ったヘビードッグがジャンプで襲い掛かってきた。よだれを垂らしながら大きく口を開け噛みつこうとしてきた。
「……っ!」
流石に間に合いそうにないと感じたので手に装備していた頑丈な杖を飛び掛かってきた方に向ける私は目を伏せた…たぶんきっと。杖が急にずっしりとした重みが来たと思ったら…キャインっと声が聞こえた。目を開け杖を見ると突き刺さりもがいていた…。私はその光景で少し吐きそうになった。だって目の前で命が消えかけてるって思うとものすごい罪悪感が…でもそれと同時にここはゲームであって現実ではないと言い聞かせ気持ちを落ち着かせた…。血しぶき設定が初めからオフになっていてくれてよかった、そうじゃなかったら私は確実にこのゲームを続けられなかっただろう。血は自分ので見慣れてるけどこれは全く違う…。
「うっ…血は流れてないように見えるけどめっちゃ血の匂いする…でも本物よりかはかなりマシかな。ゲーム内だから安心だけどあんなのは二度とごめん…」
ヘビードッグを倒すとその匂いも消えアイテムとしてインベントリーに入っていった。通知もいくつかあるけど何が入ったかは後で確認しよう、今はハヅキの方を見に行かなきゃ!私はその場から立ち上がりハヅキが戦っている場所に走った。立ち上がる際こけそうになったのは内緒。
「もぅ!さっき2匹倒したのに遠吠えで呼ばれるとか運ないなぁ、ユキナの方は平気だったかな?っと!この攻撃は毒爪だから食らいたくないかな。装備的に受けても耐えられるけど毒がやばいんだよね、あと3匹を連続で倒すしかないか…〘ファイヤーボール!〙」
まず遠くで風魔法を使ってくるヘビードックを倒して…〈魔剣〉スキルの〘光剣斬〙光り輝く剣でヘビードックの目をくらませ見えていない隙に2匹を倒した。光剣斬は魔法剣士の称号を持っていないと使えないスキル。MP消費がでかいから連発は避けたい。私のLvでも夜と足の速いモンスターは相性が悪いかも…いくらダメージを受けなくても油断で死亡とか笑えないよね。
「はぁ、まず勝利かな?戦利品を確認したいけどユキナが心配だから…?あれってユキナ?!」
暗闇から人影が走って来る、杖を胸元に抱えながら走ってくる姿は遠くからでも何となくわかった。
「ハ、ハヅキ大丈夫だった?…はぁ…はぁ…うっぷ…」
「私は大丈夫だけど…ユキナの方が大丈夫?顔色めっちゃ悪いけどHP平気?」
「あ、今HP2しかないよ?」
「はぁ…ちゃんと回復しなきゃダメじゃない〘ヒール〙」
光のエフェクトが体を包み込んで体力が徐々に回復していった。
「すごい!HPが回復してくよ!」
「ヒールは教会クエストをクリアすると入手出来るからユキナも時間あったらとっておいた方がいいかもね」
合流できたのでユキナが欲しそうな素材がある場所に向かった。さっき倒したヘビードッグは夜の注意モンスターらしく油断しているプレイヤーや初心者がよく食べられているらしい。死亡するとデスペナルティが発生するので出来るだけ死亡したくはないらしい。
「それでそのデスペナルティは何が起こるの?」
「基本的にはモンスターにやられた場合はお金を少し落としてしまうのとステータスのダウンかな?」
「なるほど、ステータスのダウンって主に何があるのか聞いていい?」
「いいよ、モンスターの警戒は忘れないでね?」
「うん!」
ハヅキが言うには攻撃力や防御力などが一時的に10下がるみたいだけどLvに応じて違うとか?本当は他にもあるけど私にいま説明してもわからないだろうからわかりやすい二つにしたとか。
「ふむふむ、ステータスにあるこのATKが攻撃力だよね?」
「そうだね、ユキナは初期装備だけどさっきのでLvも上がったんじゃない?」
「そうなの?」
「え?Lvアップの通知とか出てなかった?」
さっきは急いでいたので確認せず何か来てたけど閉じちゃったからあれかな?
「たぶん確認しないで閉じちゃいました…」
「なるほどね、まぁあとで見る事も出来るけど基本ステータス開けばわかるからね。街に帰ったらステータス確認してみるといいかもね」
「そうする、そろそろ素材の場所着く?」
「うん…と言うか話してる間に着いちゃった」
あたりを見ても草木と岩しかない…からかわれてたりするのかな?
「一応真面目だよ?」
「人の心を読まないの…何もないよ?」
「鑑定眼か観察眼のスキルがあれば違いが判るよ、それに今日はいい月だからレアな薬草が見つかるかもね」
「ん?レアな薬草?」
とりあえず観察眼で手当たり次第の草を触っていくといくつか見つけた。
「これは薬草…毒草…雑草…魔力草…が見つかったけどこの中にレアな薬草ってある?」
「残念だけどなさそうかな、光月草って言う特定の月が出てる時にだけ出現するレアな薬草なんだけど売れば1500G位するし薬にも使えるけどレシピを知らないとそもそも使い物にならないんだけどね」
「そんなに高いんだね、それじゃ見つけないと!次は鑑定眼の方で探してみる!」
「…ってユキナもう鑑定眼持ってたんだね、私ですらまだ持ってないのに…」
「ハヅキはてっきり持ってると思ってた」
「うぐっ…私一ヵ月しても手に入ってないんだけど嫌味かな?嫌味なのかなぁ?!」
あ、何か地雷ふんじゃったみたい…聞き流しておこ…。それでも一緒に光月草を探してくれた、結構探してるけどなかなか見つからない。本当にあるのだろうか?流石に嘘だとは思いたくないし…。
「ん?なんか???の草花があるけどこれかな?」
「見つけたの?」
「わかんないけどこれ…」
少しだけ青白く輝いているような気がしたので私が摘んでハヅキに見せたけど???の草花と書かれているようだった。
「多分だけど私達の鑑定眼や観察眼のLvが低いからわからないんだと思う、…詳しくは鑑定屋に持ち込んだ方が速いかな」
「なるほど!でもその前にもう少しこの綺麗な…名前がわからない草花を摘んでいきたいかな…ダメ?」
「いいけど、売れるかわからないよ?」
「売れなくてもいいの!綺麗だから摘んでいきたいの!」
「わかった、一度見つけたから見つけやすいはずだけど近くにあるとは限らないからね?」
「そっか、でもほんの少しだけ青白く輝いてるよ?」
「残念だけど私にはそう見えなかったからユキナにしか見えてないかも!たぶん何かの条件があるんだと思う」
なにかの条件って…なんだろう。その後も数10分探して私が5本見つけハヅキが2本見つけたのだった。ハヅキはどう見ても光ってないって言うんだけど私の目には確かに薄く光っているように見える。流石に疲れたので街に帰りながら私はとりあえず帰り道に落ちている物を手当たり次第にインベントリーに入れていった。現実だとよく男子が色々落ちてるもの拾って帰っていたのを思い出した…今私がしてるのと同じように…ね。流石にゲームだからするけど現実じゃする気にはなれない、だって汚そうだし…。
「はぁ…はぁ…やっと…街に…着いた!」
「ユキナめっちゃ疲れてるね、スタミナもあまりないかな?」
「たぶん…だって基本本しか読まないし…」
「ユキナ宿屋に帰ろ、少し早くね」
何故か急にハヅキが私の手を引いて速足で宿に向かった。宿に入り泊まっていた部屋に行くと深くため息をついた。
「はぁ…何とか逃げ切れたぁ」
「ん?何かに襲われそうだったの?」
「まぁね、ユキナの息遣いによって来た男共から逃げてたってだけかな、出会い中とかたまにいるから面倒なんだよね」
「うわぁ…それは相手したくない」
多分今の私の顔はめっちゃ引いてる顔してる。
「もうここは安全だからユキナのステータス確認しちゃお」
「うん、詳しいステータスを開くね」
〘ユキナ〙Lv4 性別 ♀︎
〘HP50〙〘MP120〙
〘ATK:15〙〘DEF:25〙〘INT:30〙
〘MGR:5〙〘MAT:30〙〘MDF:12〙
〘AGL:10〙〘Luck:20〙
〈残りスキルポイント15P〉
「こんな感じだね、Lv3も上がったんだ!この下のステータスって自動的に上がるの?」
「一応そうだね、それとスキルポイントもあると思うけどどれに振るかは本人次第だね」
「なるほど、ハヅキのステータスも見せてもらってもいい?」
「いいけど参考にはならないからね?」
〘ハヅキ〙Lv30 性別 ♀︎
〘HP520〙〘MP200〙
〘ATK:153〙〘DEF250〙〘INT30〙
〘MGR50〙〘MAT200〙〘MDF63〙
〘AGL78〙〘Luck10〙
「私よりめっちゃ数値高いね、DEFやMATにAGLがすごいね」
「まぁ戦闘特化だからね、接近戦と魔法で相手と戦う編成だからね」
「私はどうしようかな…このLuckってどういう効果なの?」
「これは幸運値で上げれば戦闘ならHPがギリ残って助かったり、モンスターを倒してレアドロップが落ちやすくなるかもしれないし…今のところ私は全然落ちないけど。物作り系なら成功率が上がったりするかな?INTを上げれば運じゃなくてちゃんと成功率と作業効率とか上がるよ」
「なるほど、勉強になります」
「今見えているステータスがもし死亡しちゃうとデスペでステータスの全10ダウンだから、さっきは二つしか伝えてなかったけど見たらわかりやすいでしょ?」
「確かに…」
知らない事は聞かなきゃそんだからね!えっと聞くのは恥だが聞かぬは何とかって言葉なかった?…違ったかな?
「アレなんだっけ…聞くは恥だが聞かぬは何とかって…」
「それって聞かぬは一時の恥知らぬは一生の恥ってやつ?」
「そう!それ!知らない事は早めに知っておければそのあと役立つから」
「そうだね、私は聞くことをしては来たけどほとんどβの時に実践して知っているってだけなんだけどね…正式版で色々変わってたりもするから全て知っている訳じゃないしね」
そりゃそうだよね、このゲームには公式攻略サイトとかないって言ってたはずだし実践あるのみなのかな?あとは弟の見てた…なんだっけ?掲示板?を見たらわかると思うけど…そもそも見方知らないからパス!
「それじゃLuckに5振って後はMATとINTに5ずつ振るかな」
「いいんじゃないかな?ユキナは戦闘もだけど主に錬金術の作業がメインって感じでしょ?」
「そうなるかな、戦闘は出来たらあまりしたくないかな…血しぶき設定オフじゃ無かったら確実に吐いてたよ…」
「そっか…もしかしてあの時の事思い出しちゃった?もしそうだったら本当にごめん!!」
「ううん、平気…流石にもう…ね。」
〘ユキナ〙Lv4 性別 ♀︎
〘HP50〙〘MP120〙
〘ATK:15〙〘DEF:25〙〘INT:35〙
〘MGR:5〙〘MAT:35〙〘MDF:12〙
〘AGL:10〙〘Luck:25〙
「こんな所かな」
「内職メインなら全然ありかな」
「後で鑑定屋に拾ってきたアイテム見せに行こうか」
「うん!」
若菜本当に大丈夫かな?あれは中一の時だったかな、若菜と一緒に帰っていた時私が学校に忘れ物を取りに帰ってた時に起こった出来事で詳しい事は結構経ってから聞いたんだよね、若菜は私を待ってる時に道路を渡ろうとしてた野良犬がいたらしいんだけどトラックが来てるのに走って渡ろうとした野良犬が目の前で轢かれちゃったのを見てその場で倒れちゃったみたいなんだよね。あの時は本当に心臓潰れるかと思った、だって救急車も来てたし。周りを見たら血まみれの何が倒れて色々飛び散ってた…。私は若菜の親に連絡を入れ救急車に一緒に乗って行った。もしあそこで私が忘れ物なんてしていなければって…ものすごい後悔した、一日で若菜が退院してきたから驚いちゃったけど暫くは外に出る事も無くなってトラックと犬を見るだけで倒れそうになってた…と言うか何回か倒れちゃってたけど。それ以降から私や若菜の両親がずっと見守ってたけ現在はかなり落ち着いたみたい。今も一応病院に行って診察してもらってるみたいだけどね。私はもう忘れかけてるけど若菜からしたらトラウマだもんね。
最後少し暗めになってしまいましたがたまにこんな話が入るので苦手な方は読み飛ばして頂いても構いません。




