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第1話 学校に行きたい!

ベリル帝国第三公爵家の屋敷にて


その豪華な屋敷の豪華な一室で一人の少女が言った。


「決めた!私、学校に通うのよ!」

「諦めたらどうですか」


だが、すぐに無慈悲な声が彼女の望みをぶち壊した。だが、それも当然であろう。ここは帝国。そして彼女は、第三公爵家の長女サラ・フィールズなのだから。


若干9歳の彼女は平和の魔術師と呼ばれ、ベリル帝国の存在する南の大陸、そこで何十年とつずいていた戦争を止めた天才魔術師である。


そんな彼女に対し、不敬とも取られるようなことを言い放ったのは、黒髪黒目、黒い肌、そして黒い服に身を包んだ輪郭のぼやけた人間である。彼(女)の名は、ノア・クロフォード。帝国でも一握りの人間しか存在を知らないサラの友人兼【◼️◼️】である。


だが、不敬ではあるが、別にノアの言っていることが間違っているわけではない。


「そうよねえ、あーあ、なんで帝国に生まれてきたんだろう。どこか他の国が良かった」


学校は、この世界に一つしか存在しない。それは法国にあり、世界中の王族貴族の子女が通っている。だが、帝国はその学校に生徒を送っていなかった。理由は単純、紛争で教育にお金をかける余裕がなかったからである。

そこにサラが通うのは、公爵家としての力を使っても至難の業である。まず、学校に出資することから始めなければならない。それは不可能ではないが、2ヶ月後の入学式に間に合わせることは難しい。出来たとしても来年だ。しかし、それでは2年生への編入という形になってしまう。


「紛争の時には、「私は彼らを助けるために生まれて来たのよ!!」と言っていたではありませんか。「出来ないことを嘆いても仕方がない。」そう言っていたのもあなたですよ」


そう、サラが今年から学校に通うのは不可能な話だ。




……だが、それはサラならばの話だ。


「あなたなら出来るでしょう、ノア・クロフォード」

「……」


サラの目とノアの目がぶつかる。

どちらも、表情を変えず、じっと睨み合う。


ベッドとシャンデリア以外はほぼ何もない豪華だが殺風景な部屋で、バチバチと火花がぶつかり合う。しばらくして、ノアが口を開いた。


「この私に、助けを求める。と?」

「ええ、そうよ」


間髪をいれずに、サラが答える。だが、ノアの次の言葉を待たずしてサラは視線を外し、少し恥ずかしそうに言葉を続けた。


「実は、本当はノアにも一緒に行ってほしいの。」

「というと?」

「その……紛争のときは、「利用している」って言う理由で何もお礼を受け取ってくれなかったから……」

「ええ、それで?」


不思議そうにノアが言う。


「多分、ノアの【目的】に役立つと思うのよ。だから、改めてお礼……みたいな?」

「断られるとは思わなかったので?」

「ノアはチャンスを掴むのをためらうような人ではないでしょう」


サラの言葉に、ノアはニヤリ、とさも悪そうな笑みを浮かべて言った。


「仕方がないですね。これも【目的】のためです」

「本当!?ありがとう!!」


サラはその言葉を聞いてパッと笑顔になった。


「まずは、本当に【目的】に役立つかどうかを確かめてからですよ」

「それでも嬉しいの!あ〜学校、たのしみだなぁ」


ルンルンと効果音が聞こえてきそうなテンションでサラは言った。


「友達、できるといいなぁ〜」

「それは無理でしょう」


だが、そんなサラのことをノアはバッサリと切り捨てる。


「なっ!それが友人の言うことかしら」

「私は厳密に言えばあなたの友人ではありませんので、では」

「あっちょっと、待ちなさい!!」


ノアはそれだけ言うと姿を消した。


「はあ、わかってるわよ。私が人と接触できないって言うのは」


【睡眠】


残されたサラは、ベッドに体をあずけると、ポツリと一言呟いた後、自分に魔法をかけて眠りについた。




闇夜に、細く長い影ができる。月の僅かな光によってできるその影を捉えらるものはいない。


「【目的】か。本当にそれだけだっただろうか」


突如として、その影の持ち主が呟いた。珍しい独り言を呟いたその人物はノアである。先程屋敷を抜け出して、ノアの体は今、帝都の時計塔の屋根の上にあった。


そこからは、円形をした帝都の町並みが見渡せる。


(この世界に来てから3年。《《転生してから四年》》。私は知っているはずだ。家族を、友人を、他者を思う心など、《《これ以上増えても辛いだけ》》だと)


そう、ノアは転生者である。地球で死に、《《ある所》》で蘇り、この世界に来た世界唯一の転生者だ。


(これは、今の私になってから最初の仕事、最初の世界だ。だから必ず、必ずーー)


ノアの思いは、心の中でも言葉にならなかった。


(しかたがない。早く終わらせよう)


そして、ノアの能力が発動する。



問題なく発動されたことを確認し、ノアは時計塔からその姿を消した。




次の日の朝、サラはメイドたちに服を着せてもらいながら心の中で学校について考えていた。


(《《戻ってる》》わね。てことは、どうやらうまくいったようね。さて、それじゃあ……)


着替えが終わると、「一人にしてちょうだい」と言ってサラは人払いをする。

メイドたちが出ていくと、部屋の中にノアが現れた。


「終わったよ。これで公爵に言えば問題なく学校に行けるだろう」


「そうね、ところで昨日私に友達は出来ないとか言ってたじゃない?」


サラは昨日の一件を根に持っていたようで、少し悪い顔で言う。


「ノアはどうなのかしら?私よりもよっぽど友達が出来ないと思うのだけれど」


「私は友達を作らないのですよ。知っているでしょう」


だが、ノアがそう言うと、一転、サラは悲しい顔になった。


「そうね……」


部屋が一気に静かになる。


やがて沈黙に耐えきれなかったのか、サラが言った。


「私、朝食に言ってくるわ。」【転移】


一瞬でサラの姿が消える。一人残されたノアは、すぐに姿を消した。

主人公(二人)紹介


サラ・フィールズ

種族:人間

得意:魔法、料理、音楽、その他芸術全般

苦手:コミュニケーション、深く考える

肩書:ベリル帝国第三公爵家長女、宮廷魔法使い、平和の魔術師、時空の魔女、

実績:南の大陸における帝国と亜人族の生存戦争(通称は紛争)解決、帝国復興

説明:自分が「楽しむ」ことが第一、ノアが大のお気に入り(LOVEやLIKEではない)


ノア・クロフォード

種族:◼️◼️

得意:政治、経済、争い、その他《《色々》》

苦手:身近な人を嫌いになること、◼️◼️◼️◼️◼️◼️

肩書:サラの友人、転生者、その他《《色々》》

実績:《《色々》》

説明:ある意味何でもありの権化、秘密多すぎ

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