翔と拓海が日向と凪と一緒に、イケメン兄弟が経営するカフェに行った話
番外編として1話完結のストーリーを書いて行きます。
今回は翔と拓海と日向と凪が、イケメン兄弟の経営するカフェに行く話です。
「よっしゃー! 俺の勝ち♪」
「拓海‥‥最近強いって‥‥」
翔の家でゲームをする拓海。2人は附属高校時代からの親友であったが、大学生の時にお互いの想いに気づき、恋人同士となった。それでも大体は家でゲームをして過ごしている。
翔は端正な顔立ちをしており、若干キザである(それでもモテる)。彼女が途切れることがなかったが、最終的には身近にいる拓海を選んだ。拓海は明るくノリの良い性格で、翔の親友ポジションを守っていたが、やはり彼が好きだと気づいた‥‥といったところ。
ピンポーン
「お邪魔しまーす」日向と凪がやってきた。
この4人は同級生であり、日向の年上の恋人である怜のバーの常連であったことから、仲良くなった。そして4人とも同性愛者でありそれぞれ恋人との仲は順調そうである。
「いらっしゃい、ひなくん、凪くん‥‥ゲームしよ! さっきから拓海が勝ってばかりで困ってたんだよ」と翔が誘う。
「わぁーい! ゲームやる♪」と日向。
「仕方ないね‥‥拓海の弱点はわかってるから任せて」と凪。
そんな感じで4人で一通りのゲームを楽しんだ後、日向が話し出した。
「ねぇ、このカフェ知ってる?」雑誌を取り出す日向。
『イケメン兄弟が経営するお洒落カフェ〜僕達と素敵なひとときを〜セプタンブル』
カフェ特集で今話題のイケメン兄弟のカフェが掲載されており、優しい兄の碧人と明るい弟の健人のインタビューが中心である。
「あ! ここヒロさんと行ったよ」と凪。
「え、凪くん行ったの? どうだった?」
「この兄弟本当にカッコよくてさ‥‥でもヒロさんの方がカッコいいでしょ? この2人もヒロさんのことばっかり見てたから‥‥この後ヒロさんの家に行く風に見せかけといた」
ヒロさんとは凪の年上の恋人。お洒落で確かに目立って格好いいが‥‥いつも落ち着いた凪が熱心に喋るので、珍しいなと日向たちは思った。
「凪、ヒロさんに惚れすぎ」と拓海にも言われる。
「凪くん、そんなことがあったんだ‥‥僕も怜さんと行ったんだけど、あの2人からメッセージカードもらっちゃってさぁ。怜さんが微妙そうだった」と日向。
「え、メッセージカードって‥‥確かイベントの時にしか渡さないってSNSに書いてあったけど」と凪。
「うん‥‥なぜか『会えて嬉しい』みたいなカードと、サービスで抹茶ラテ出てきた」
「うわ‥‥日向くん、それは好かれてるよね‥‥」
「だから怜さんに1人では行くなって言われちゃって‥‥けどここの抹茶ラテ、結構美味しかったんだよね。だからさぁ、一緒に行かない?」
「へぇ‥‥可愛いひなくんを狙うイケメン兄弟か。面白そうじゃないか」と翔。
「ここって女性多そうだけど大丈夫か?」と拓海。
「慣れたら平気」と凪。
「じゃあ行ってみようか」と拓海が言い、4人で兄弟のカフェ「セプタンブル」に行くことにした。
※※※
4人が「セプタンブル」の前に到着した。
「おっと‥‥女の子が多いね」と翔。
「翔、ナンパするつもりか?」と拓海にからかうように言われ、
「するわけないだろ、たくみん」と言う。
「その呼び方、外ではやめろって言ってるじゃん」と言いながらまんざらでもない表情の拓海である。
兄弟カフェ「セプタンブル」では今日も碧人と健人が一生懸命お客様対応をしている。
「いらっしゃいませー! 本日のスイーツはレアチーズケーキのブルーベリーソース添えですよ。兄貴の名前、碧人の『あお』ということでブルーベリーにしてみました」
「碧人くんの『あお』でブルーベリーって可愛いわね!」
イケメンが言えば何でも許されるらしい。
「ん?」健人が日向たち4人に気づく。
あれは‥‥年上のおじさんと付き合ってる可愛い子(日向)と、お洒落なおじさんと付き合ってる綺麗な子(凪)、そしてあとの2人は‥‥初めて見る顔だ。
「いらっしゃいませ、4名様こちらへどうぞ」と笑顔の健人。
「うわぁーほんとにイケメンだ」と拓海が小声で言う。
「僕の隣でそれ言う?」と翔が少し不機嫌になっている。
席についてメニューを見ながら日向が言う。
「本日のスイーツと抹茶ラテお願いします!」
他の3人も本日のスイーツと飲み物を注文していた。
「かしこまりました!」と健人。
碧人の元に戻る健人。
「フフ‥‥あの可愛い子(日向)、また来てくれたんだ。彼氏(怜)に内緒でといったところか」と碧人。
「兄貴、変なこと考えてない? 今日は4人いるからあの子だけにアピールするのは怪しまれるよ」
「そんなこと考えてないよ。4人まとめて可愛がりたい気分」
「ハハ、冗談やめてくれよ兄貴。俺がいるのにまだ物足りない?」
この兄弟、カフェではイケメン兄弟ということになっているが、家ではお互い愛し合う仲である。
「健人‥‥あれはもしかすると4人とも同性愛者かもしれないね」
「ああ‥‥なるほど。確かに」
「可愛いの(日向)と綺麗なの(凪)以外の2人、付き合ってたりして」
「ということは余計なことは言えないね」
「そうか‥‥」
「ガッカリしないでくれ、兄貴‥‥」
そしてスイーツを運ぶ健人。
「お待たせいたしました」と言ってレアチーズケーキのブルーベリーソース添えを置いていく。
「美味そう‥‥」と拓海。
碧人も飲み物を持って来てくれた。
「やったー抹茶ラテだ♪」と喜ぶ日向を見て可愛い‥‥と思いながら見ている兄弟。
「ねぇ、お兄さん達‥‥ひなくんのこと好きなの?」
唐突に翔が尋ねた。
「ああ‥‥以前もお越しいただきましたので、また来ていただきありがたく思っておりました」と碧人が言う。
「そうなんだ、ひなくんさっきまで‥‥うちにいたから」と翔。
「そうですか」と健人が言い、
「ごゆっくりお過ごしください」と碧人が言って去っていった。
※※※
キッチンにて。
「あの彼(翔)に明らかにマウント取られたな」と健人。
「まぁ、あそこまで可愛い子だからね。もしかして‥‥他の3人ともあの子(日向)と付き合ってたりして」と碧人。
「どれだけモテるんだよ‥‥確かに俺たちも気になってたけどさ」
「フフ‥‥想像はこのぐらいにしておいて、次のお客様のデザートの準備を」
「はーい兄貴」
拓海が翔に言う。
「さっきの言い方‥‥誤解されたんじゃない? 翔と日向くんが付き合ってるみたいに聞こえたんだけど」
「拓海‥‥それは嫉妬?」
「おい、からかうなって‥‥」
「あの兄弟がひなくんを狙ってるなら、守るのが僕の役目さ」と翔。
「それにしてもここのデザート美味しいな」と凪。
「うん! 抹茶ラテも美味しい」と日向。
「ヒロさんは甘いもの控えているから‥‥こういう時しか食べられないし」
「そうなんだ」
「おい‥‥何かあの兄弟、まだこっち見てるけど」と翔が気づく。
「男4人が珍しいからじゃない?」と拓海。
そしてしばらく4人でカフェで過ごして‥‥
「ありがとうございました」と健人が言う。
「あ! あの‥‥」と日向。
「どうかされましたか?」と健人。
「さっきまでこの4人で翔くんの家にいたので‥‥僕の恋人は怜さんだけなので‥‥」と日向が言っている。
「フフ‥‥そうですか」と健人。
「またぜひお越しください」と碧人。
カフェを出た4人。
「ちょっとひなくん‥‥正直だなぁ。そういうところがいいんだけどさ」と翔。
「だって‥‥怜さん以外の人の家に2人きりって思われたくないし」
イケメン兄弟ではあるが、カフェの店員にまで正直に話すって‥‥どれだけ怜が好きなんだと思う3人である。
「はぁ‥‥抹茶ラテもいいけど、やっぱり怜さんの抹茶オレが一番♪」
「日向くん、結局そうなるんだ」と凪に言われる。
するとそこに怜が歩いているのが見えた。買い物帰りのようだ。
「あ! 怜さーん!」日向が走っていく。
「おう、ひな。お疲れ。随分ゆっくりしてたんだな」
「ちょっと翔くんの家でゲーム盛り上がっちゃって」
「そうか」
「あ! じゃあねみんな。また今度」と日向が翔たちに言う。
「またね、ひなくん」翔たちも帰って行った。
「怜さん‥‥やっぱり僕‥‥怜さんの抹茶オレ飲みたい‥‥」
日向が怜と腕を組みながら甘えている。
「ん? やっぱり‥‥って?」
「あ‥‥いや‥‥その‥‥抹茶といえば怜さんだから」
「何だそれ‥‥フフ‥‥分かったよ」
カフェにて。
「あの子(日向)、素直で正直すぎる‥‥」と健人。
「あの子の可愛いさにこっちが翻弄されそうだ」と碧人。
「兄貴‥‥俺は?」健人が碧人を見つめている。
「‥‥お前が一番可愛いに決まってるだろ?」
「フフ‥‥嬉しい」
「よし、今日あと少し‥‥頑張るか」
「おう、兄貴」
終わり