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凪と広樹が、イケメン兄弟が経営するカフェに行った話

番外編として1話完結のストーリーを書いて行きます。

今回はイケメン兄弟が経営するカフェに凪と広樹が行く話です。

「ヒロさん、今日もありがとう! いいものたくさん買えたよ」

「良かったな、(なぎ)なら絶対似合うよ」

凪と広樹(ひろき)、2人は恋人同士であり今日はショッピングデートである。

広樹は海外ブランド衣料品の輸入販売をする会社に勤めており、まるで雑誌から出て来たようなスタイリッシュなファッションに身を包む、ワイルドな男性である。


そのような姿に一目惚れした凪は自分よりもかなり年上ではあるものの、広樹と付き合うことを選んだ。もともと女性が苦手で自信のなさげな凪であったが、広樹に出会って自分自身も変わることができたと思っている。透明感があり綺麗な顔立ちをしているが、笑うと可愛いくて‥‥広樹はその笑顔を守りたいと思っている。


毎回広樹に服を選んでもらっている凪もお洒落なので、広樹と並んで歩くとそこそこ目立つ。

「ちょっと疲れたな‥‥カフェにでも寄るか」と広樹。

「うん! あそこにお洒落なお店あるよ」


『イケメン兄弟が経営するお洒落カフェ〜僕達と素敵なひとときを〜セプタンブル』

雑誌に掲載されました、という看板があるそのカフェでは、兄の碧人(あおと)、弟の健人(けんと)が今日もお客様に最高の時間を過ごしていただこうと張り切っていた。

「いらっしゃいませ、お2人様ですね!」と明るい笑顔で健人が凪たちを案内する。


「うわぁ。女性客ばかりだね、まぁだいたいカフェってそうだけど」と凪。

「雑誌にも載ったぐらいだから人気あるんだろうな。それにしても‥‥あの店員2人、モデルか何かか?」と広樹。

「そうだよねぇすごくカッコいいから、女性に人気なんだろうね。でもどう見てもヒロさんの方がカッコいい」

「おい凪‥‥」

いきなり何を言い出すのかわからないのが凪である。大体愛情表現なので嬉しいといえば嬉しいが。


キッチンにて。

「おい兄貴。あの2人すごいセンス良くない?」と健人。

「そうだな‥‥あの感じはまさか‥‥ファッション雑誌の編集者か?」と碧人。

「うそ! 俺たちファッションモデル、デビューできるかも?」

「いや、健人。話が飛躍し過ぎだ。でもあの服が大量に入った紙袋は‥‥モデルに着せるために調達して来たっぽいな」

「すげぇ‥‥ひょっとしたらこのカフェがロケ場所になるか偵察しに来たとか?」

「あんまり期待しすぎるのも良くないけど‥‥とにかく粗相のないように丁寧にもてなすんだ」

「了解」



※※※



「ブレンド珈琲2つですね、少々お待ちください」と健人が注文を取る。

「ああ、お願いするよ。ところで君達は雑誌に載ったって書いてあったけどどんな雑誌なんだ?」と広樹。

「地域雑誌のカフェ特集になります。おかげ様でお客様にも好評でした」

「そうか。兄弟揃ってモデルでもやっているのかと思ったよ」

「いえいえそんな‥‥」


碧人の元に戻った健人。

「兄貴、雑誌のこと聞かれたよ。モデルかと思ったって」

「そうか、あんなセンスいい人に言われると嬉しいな。何者なんだろうな」

「もう1人の子もセンスいいから仕事の上司と部下かな?」

「そうだな‥‥どうにか職業を聞けるといいのだが。場合によっては何かしらのコラボとか‥‥宣伝できるかも」

「兄貴‥‥うーん。あの2人ブレンドしか注文していないから、次行く時に何か聞けるといいんだけど」

「健人、僕が行こう」

碧人がそう言ってブレンド珈琲を持って行く。


「お待たせいたしました。ブレンド珈琲です」と碧人。

「ありがとう、君がお兄さんの方か? さっきも言ってたけど本当にモデルみたいだな」と広樹。

「いえいえ。モデルさんと関わりがあるお仕事でも‥‥されているのですか?」

「ああ、たまにモデルとも会うけど、俺は衣料品を扱ってるだけだから」

「そうでしたか。先ほどからお洒落なお客様だと思っておりました」

「僕も今日、服を選んでもらったんです」と凪が紙袋の方を見ながら言う。


「そうですか‥‥お2人とも素敵なファッションですね」

「えへへ‥‥ヒロさんのおかげ♪ この後ヒロさん家でコーディネート教えてもらうんだぁ‥‥ヒロさんに着替えを手伝ってもらいながらね」

「お‥‥おい! 凪!」

「だから‥‥ヒロさんの選んだ服のモデルは僕なので」

凪は碧人をじっと見て言う。


碧人は何となく察したようで、

「そうなのですね、それは楽しみですね」と笑顔で言い、去っていった。



※※※



シーン

「凪‥‥嫉妬してたのか?」と広樹。

「ヒロさんがモデルみたいって言うから‥‥僕のこと飽きちゃった?」と凪が拗ねている。

「そんなわけないだろう? 俺の選んだ服を凪が喜んで着てくれるのが幸せなんだから」

「‥‥確かにあの店員さんの方が洋服は映えるかもしれないけどさ。僕は‥‥ヒロさんによく似合うねって言ってもらえると嬉しいから‥‥」

「そうだな‥‥ごめん。凪の気持ちはよくわかったよ」

「じゃあ‥‥ヒロさん家、すぐに行きたい」

「いいよ」


キッチンに戻った碧人が言う。

「あの人、衣料品販売だってさ」

「確かに‥‥言われてみれば。あぁー雑誌編集者じゃなかったか」

「しかもあの子と‥‥付き合っているようだ」

「は?」

「買った服を試着しながら仲良くするんだろうな」

「おお‥‥そうきたか。兄貴、俺たちもそういうのやる?」

この兄弟、カフェではイケメン兄弟ということになっているが、実は家では愛し合う仲である。

「健人‥‥また今度な」


広樹が会計を済ませて凪とカフェを出た。

「ありがとうございました!」

凪は広樹と腕をギュッと組んでちらっと兄弟の方を見た。

「あの店員さん、ヒロさんのこと絶対カッコいいって思ってたよ」

「そうか?」

「だって結構見てたし‥‥あ、そうかヒロさんはこれまでもみんなに注目されるぐらい‥‥カッコ良かったんだった」

「凪‥‥恥ずかしい」

「ふふ‥‥」


広樹の家に到着した2人。

「どの服から着てみる?」と広樹。

「ヒロさん‥‥先に‥‥」

凪がそう言って広樹の首に手を回してキスをした。甘えた目元が麗しい。

「ふふ‥‥わかったよ‥‥凪‥‥」


結局その日は買った服の試着はせずに‥‥時間だけがゆっくりと過ぎていくのだった。





終わり


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