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モブに転生した原作者は世界を救いたいから恋愛している場合じゃない  作者: 霞花怜(Ray)
第2章:親密度アップのための甘々イベント『月の言霊』

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10.お仕置き

 ユリウスの顔が降りてくる。

 唇が触れて、ふわりと重なる。


「ユリウ、ス?」

「ノエルは、僕のものになるのは、嫌?」

「嫌じゃないけど、そうじゃなくて、意味がわからない」

「これ以上、誰かに横から持っていかれるなんて、耐えられない。魔族に食い物にされるのは、ウィリアムの婚約者にされるより嫌だ」

「私だって嫌だよ。だけど、ユリウスのものって、どういう……」


 既に婚約は承諾している。

 これ以上、ユリウスのものになる方法が、わからない。


「だったら、僕を受け入れて。ノエルが受け入れてくれれば、僕はもっと君を守れる」


 顎を上向かされて、唇を食まれる。

 薄く開いた口から侵入した舌が舌を弄ぶ。


「ぁ……ん、ぁ……」


 漏れる声が自分のものと思えないくらい、甘い。

 両腕を頭の上で拘束される。魔法が強くて、動けない。

 ユリウスの重みで、体も逃げられない。拘束されたまま、唇を貪られる。


「僕は今、かなり怒っているんだよ。君に対しても、君の血を吸った魔族に対しても。今すぐ殺してしまいたいくらいに」


 ユリウスが喉元に噛み付く。肌を舐めて、強く吸い上げる。

 ピリッと痺れが走った。

 見下ろすユリウスの瞳に、ゾクリとした。冷えた瞳の奥に、静かな熱が疼いて見える。


「だから今から、僕だけのノエルにしてしまおうね。もう誰も奪えないように」


 ノエルだけを映した瞳が間近に迫る。

 あまりにも真っ直ぐに歪んだ瞳の色に、身動きが取れなくなった。

 ユリウスの手が胸に伸びる。

 ノアに『呪い』を仕掛けられた時より深い場所に、指先が触れた。


「ぁっ……」


 漏れかけた声を思わず飲み込んだ。


「ちゃんと僕を感じられるように、気持ち善くなれる魔法をかけてあげるよ。自分が誰のものか、体が覚えるようにね」


 ユリウスの声だけが、頭の中に木霊する。

 耳に吐息が掛かるだけで、全身が痺れて気持ちがいい。


「ぁ……、ぁ……、ユリウ……まっ、ぁ!」


 はだけた胸の真ん中に、ユリウスが顔を埋める。

 ねっとりと舌が這って、肌が熱く濡れる。

 腹の奥が熱くなって、ノエルは足を曲げて耐えた。


「ぅ、ぅ……ぁ!」


 ユリウスがノエルの胸を強く吸い上げた。

 やけに気持ちが善くて、力が入った足の指が丸まる。

 胸に何かの紋様が浮かんでいるのが見えた。


(あの紋様、どこかで……。指輪、付けられた時の、魔法陣に、似てる)


 胸の紋様を一撫ですると、ユリウスが腹に触れた。


「次は、腹。気持ちイイ? ちゃんと耐えて。君の全身に僕の印を残すから」

「全身て、ぁっ! んんっ」


 臍を舐め上げた舌が、ノエルの下腹を丁寧に舐め上げる。

 何度も同じ場所を舐めて、最後に強く吸い上げられる。

 胸より何倍も強い疼きと快楽が背中を駆け上がる。


「はぁ……はぁ……」


 下腹部にも胸と同じ紋様が浮いていた。

 ユリウスの手がノエルの足を持ち挙げる。

 大きく開かせると、内腿にキスを落とした。


「やぁ……、はずかし、ユリウス、やだぁ」


 自分でも驚くような甘えた声が出て、ノエルは口を閉じた。

 内ももを執拗に舐めて、何度も吸われる。

 腹が疼いて、ビクビクと体が震える。


「良い感じに敏感になってきたね。まだまだ終わらないよ。もう片方の腿にも、腕にも肩にも背中にも腰にも。それくらいしないと、僕の気が済まない」


 内腿の柔らかい場所を強く吸われる。

 快楽で腰が跳ねた。

 気持ちの善さが疼いて溜まって、体中が震えて目に涙が溜まる。

 力が入らなくて、足を立てていられない。


「ん……も、ダメ、我慢、できな……ゆるして」

「何が? 何が我慢できないの? 教えてごらん」


 腹から内腿にかけて、ユリウスが指を滑らせる。

 触れるか触れないかの指の感触を、肌が敏感に感じ取ろうとする。


「き、もち、良くて……。こんなの、しらな……」

「そう、ノエルは知らない気持ち善さなんだね。僕の指と舌の気持ち善さ、ちゃんと覚えて」


 反対側の内腿に、ユリウスがキスをした。

 這う舌で皮膚が濡れて、余計に敏感になる。

 腹にどんどん疼きが溜まっていく。


「僕でしか感じられないノエルになるまで、やめないよ」

「ヤ、ムリ……、も、むり……」



 くねる腰を押さえつけられて、身もだえる。

 目に涙がどんどんたまって、ユリウスの顔が見えない。

 舌や指の感覚しかわからなくて、余計に敏感になる。


「どんどん蕩けていくノエル、可愛いよ。今は、桜姫って呼ぼうか?」


 突然、唇と舌を吸い上げられて、喘ぎすら漏らせない。

 返事なんか、出来ない。


(これお仕置き、なのかな。ユリウス、怒ってる。こんなん、普通にお説教されるより、しんどい)


 ぼんやりとした頭はもう、与えられる快楽に支配されている。


「んぁ……、ぁ、はぁ……」


 たくさんの口付けと、知らなかった快楽が次々と体に刻み込まれていく。

 意識が蕩けて、何も考えられない。


「ユリ、ウス……ユーリ、ぁ……」


 普段なら出さないような甘い声で、普段なら呼ばない名前を呼ぶ。

 ずっと気持ちがいいのに、弱い刺激ばかりでじれったくなる。


「この体に、もっと、僕を刻んで……、君から僕を求めるように、躾けてあげるよ」


 目の前でほくそ笑んだ目が遠くなって、背中に同じ快楽と舌の感触が這った。

 意識が遠くなって、浮き沈みを繰り返す。



「んっ……、んぅ……もぉ、がまん、むり」

「じゃぁ、どうしてほしいの」


 耳元で聴こえる声が吐息にのって鼓膜を揺らす。

 体がビクビク跳ねて、肌がぞわりと粟立つ。


「もっと……、ほしぃ……」


 意識がぼんやりして、自分で話している気がしない。

 何も考えない頭が、素直な気持ちをどんどん零す。


「何が? 魔族の舌が? 牙が?」

「やだ、怖い……、もう二度と、あんなの……」


 震える手を伸ばす。

 ノエルの震える手をユリウスが握った。


「ユーリが、ぃぃ……きもちよく、して、もっと……」


 言葉を吐いた唇が、自分からユリウスの唇を食んだ。

 食んだ唇が重なって、舌が入り込んでくる。


「ん……、ぅ、んっ……」


 ほんの少し指先が触れるだけで震えるほど気持ちいいのに。

 こんなに深く口付けられたら、おかしくなる。


「君は僕のモノだ、ノエル。次、魔族に出会っても、指一本たりとも触れさせちゃ、ダメだよ。わかったね」


 小さく頷いたノエルに、ユリウスがまた囁く。


「大事な言葉を、言ってごらん。ノエル、言えるよね?」

「すき、ユリウスだけ、あいして、る……」

「ふふ……、良い子」


 ゆっくりと髪を梳かれた後は、ただ気持ちが善くて、何もかもわからなかった。


 どれくらい同じ行為を繰り返されたのだろう。

 零れる自分の吐息も、かかるユリウスの息も熱くて、頭は完全に麻痺していた。


「これで、全身かな」


 ユリウスの指が、最初の胸に戻った。

 浮いている紋様を指で一撫でする。

 全身に付いたユリウスの印が体の中に沁み込むように消えた。

 その様を眺めて、ユリウスが満足そうに笑んだ。


「これは只のおまじないだ。だけど、君が僕のモノである証拠の印だ」

「しょうこ、の……印……」


 気持ちが善くてずっと体に入っていた力が、やっと抜けた。

 ユリウスの指が首筋をなぞった。


「んん……」


 それだけで、体が全部、反応する。


「ノエルに不利益は起こらないから安心して良い。これはノエルを守るためのモノだから」

「守る……」


 感じすぎて疲れたのか、ウトウトしてきた。


「決定的な快楽がもらえなくて、辛かったろ。今日はお仕置きだから。僕を感じて体を疼かせながら、お休み」


 頬に優しいキスをされて、また気持ち善くなる。


(やっぱり、お仕置きなんだ。この人、ドSだ……。そうだよね、そうだった、知ってる……)


 焦らしプレイは現実だと辛いのだと実感した。


「次はちゃんと、気持ち善くなれるように、もう僕を怒らせないようにね」

「はい、ごめんなさい……」


 いつもより素直に謝った。


「もう、ユリウスを不安にさせたり、しない、怒らせたり、しない、から……」


 伸ばした手を握って、ユリウスが驚いた顔をしている。

 目を閉じる直前のユリウスが満足そうに笑んで見えたので、ノエルは安心して眠りに就いた。

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