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クロウのアンバー。

《で、前に連れて来た女性について、ですか》

『だってコレから先も誤解が有ったら、嫌じゃない?』


《それは》

「でもお仕事の関係ですと、こう、言えないご事情も有るかと」

『それで妾を5人も囲う事になりました、だなんて事を許せって言うなら、こんなのは捨てるべきよ?』


《言える事と言えない事の線引き、どれだけ、どこまでするかアンバーにはちゃんと言います》

「いえ、それで身が危なくなるのも嫌なんですが」

『ほら良い子、クロウには勿体無いわ?』


「でも男爵家の令嬢ですよ?」

『親の身分だけで子の良さが分かるなら、誰も苦労はしないわよ、ね?』

《ですね、そもそも身分差を考えるべきなのは力関係を考慮しての事、夫婦で格差が有ってはどちらかの不利益となる。ですのでアンバーは養子に行って貰います》


『それが何処の家か、は』

《アンバーは知ってます》

「すみません、それはお仕事関係なので、はい」


『どうしても、なの?』

「はい、私がお願いしたんです、色々とお世話になったので」

《気にしないで良いと言ったんですが》


『色々と、ねぇ』


 最後まで手は出して無いんですけど。

 面倒ですね、母親の、女の勘は。


《来歴も気にしての事なのは分かりますが、追々、どうにか口説き落として妻になって貰います》

『あら怖い、ちゃんと他に逃げ場も探すのよ?』

「あ、それも大丈夫です、はい」


 神殿と、この感じは多分、グレースの家ですかね。

 あの短時間にアンバーを落とすだなんて、やっぱり侮れませんねグレースは。


『それで、前回の子はどうしたのかしら?』

《もう終わった事なので話せますが……》




 この家かクロウさんに取り入ろうとした女性で、その裏を調べるのに敢えて手元に置く為、侍女として家に入れた。


『僕の大切な人なので、お願いしますね。だなんて本人を前にして、どうやってウチの子はこんな誑し込む様な男になっ』

《他の、使用人に怪しまれても困るので、だからアナタには言ったじゃないですか、暫く仕事で家に人を入れるって》


『でもこの子の時も同じだったじゃない?』

《好いてる相手であり仕事も、と、言わせて楽しむ遊びは程々でお願いします》


『ふふふ、だってアナタと話すのって楽しいし、それに嬉しいんだもの。ちょっと加減を弁えるまでに時間が掛かっちゃってるけれど、仕方が無いじゃない?』

《はいはい、そうですね》

「その言い方そっくり同じですね」


『いやねぇもう、ふふふ』


 大好きなんですよね、クロウさんの事。

 なのにずっと我慢してた。


 でクロウさんもクロウさんで、仕事の事とやり直しの事、それこそ恋愛のゴタゴタで忙しくて。

 どうして良いか分からなくて放置は、分かるんですけど、確かに嫌ですね。


「成程」

《何をどう納得しての成程、なんでしょうか》


「やっぱり、どうして良いか分からなくて放置、は嫌ですね」

『ほらね、そう、そうなのよ、ちょっとした違和感を無視しない。好きだから我慢する、だなんて本当は最低限であるべきなのだけれど。その塩梅が、説明が難しくて、つい疎かになっちゃうのよね』


《以降は放置する気は無いんですが、もし放置だと感じたなら》

『そうやって言うに任せてはダメよ?言って尚、取り合って貰えないって凄く嫌な思いをする事になるんだもの、良いわね?』


《はい》


『それで、モヤモヤは他に無いかしら?』

「はい、今の所は、いや、有りますね、後で良いですか?」

《はい》


『じゃあ、私はもう下がるわね』

「はい、ありがとうございました」

《ありがとうございました》


 まさか、とは思うんですが。

 本当に童貞なのか、を。


「クロウさんがそんな男性だとは思わないんですが」

《手出しする程、いえ、そう思われても仕方が無い様な行動は取りましたが。無いです、有り得ません、動く病原体かも知れないのに手出しはしません》


「じゃあ清廉潔白なら手を」

《清い身で僕が好きで婚約又は結婚している相手、だけとします》


「でも前は違ったんですよね?」


《母の家も父親の家もそれなりにお互いに調べ合って、大丈夫だろうと結婚してコレです。期待していなかったんです、どうせ裏切られるか愛されないか、利用されるか。ならどうでも良い相手と適当に結婚した方が楽だろう、と。母の気持ちに関しては、今回が初めてで、申し訳無かったなと思います》


「私も同じかも知れませんよ?実は全て嘘かも知れない」

《それでココまで裏付けが取れるなら、それもそれで1つの能力です。ただ、もしそれが本当に嘘なら、僕と結婚しない為に嘘だとした方が良いかと。流石にそこまで嘘が上手い相手とは、結婚する気は有りませんから》


「成程、確かに」

《本当に、僕の何がダメなんでしょうか》


「おモテになってらっしゃるので選び放題なのに私、私、凄い言われまくってきたんですよ。お前は安売りのパンだ、とか。パッとしないいつものスープだ、日常使いの皿の分際で」

《ぐっ、すみません、ついバラエティーに富んでらっしゃるので》


「7回って言ったのは控え目に言って、なんです、同じ人と何回もとかも有るので」

《あぁ、成程》


「雑巾に刺繍をしても所詮は雑巾、薪を着飾らせた所で所詮は薪だ」

《ぶっ、本当に、すみません》


「少しはニコリと笑え、貴様は失敗したレモンのジャムか」

《ふぐっ》


「お前とこの庭は同じだ、幾ら手入れをしても見所が無い」

《それは許せませんね》


「ぐふっ、何で、そこはダメなんですか」

《いや庭は植える草木次第で凄く変わりますし、いえ、すみません、笑ってしまって》


「いえ、寧ろ笑って貰えて楽になった気がします、アイツらはバカな事を言ってたんだな、私はバカな事を言われてただけなんだなって」


《僕はあまり食に興味が無くて、いつものスープとパンって逆に安心するんですよね。いつも通り、毎日同じ物を安定して食べれる、それは国が安定してこそ叶う事ですから》

「あー、それを貶し言葉として使うって事は、バカって事ですもんね」


《はい、無知で無教養でバカ、なのに語彙だけは豊富だな、と、つい》

「そりゃ同じ人が言ってたって思ってたら確かに、語彙が豊富なバカだなと、成程」


《ですけど、すみません》

「いえいえ、クロウさんが元気になる様に、折角ですから今まで言われた語彙集でも作ってみますね」


《ふふっ》

「早い、まだ書いても無いのに、どれが1番お気に入りですか?」


《やはり、日常使いの皿、ですね》

「雨に濡れた干し肉がっ」


《ぐふっ》


 こうして笑って貰えると、今までの苦労が報われると言うか、無駄じゃなかったんだって思えるだけで。

 凄く気持ちが楽になる。


 うん、また助けて貰っちゃいましたね。




「あの、お礼を形にしてみました」


 刺繍入りのハンカチと、コレは、今までアンバーが謗られた語彙を集めた小冊子。

 中身を確認し、再びハンカチに目をやると。


《ぶっ》

「ふふふ、気に入って頂けたみたいで何よりです」


 ハンカチには、私は雑巾だ!

 と。


 綺麗に刺繍されているのに、入っている文字との落差が、また。


《っありがとうございます》

「いえいえ」


 気を引きたい故の際どい文言や、それこそ暗号宜しく薔薇と名前と剣が刺繍された物だとか、そんな物は良く貰っていたんですが。

 こう、笑わせようとする物は初めてで。


 違う意味で自慢したいんですけど、コレはかなり人を選ぶ。

 グレースやアッシュ様には難しいでしょうし、マリー様もどう反応するか。


 となるとジェイドなんですが。


 凄い生暖かい目で見られるかも知れないですし。

 いや、でも分かってくれそうなのは、やはり。




『あー、コレ惚気って事で良いですよねお姉様』

『そうねぇ、2人にしか分からない秘密の暗号に近いわよね』

《そんなロマンスの欠片も無いんですが》


『そこよねぇ、もしかしたら結婚する気が無いんじゃないかしら?』


《それは、何故》

『捉え方によっては、私はアナタの道化になります、どうかいつまでも笑っていて下さい。って』

『あー、妻として傍に居るより、笑わせる事の方が良いって事かも知れないですもんね』


『そうそう、男女だからと言って必ず情愛が芽生えるワケじゃないんだもの。寧ろ男同士でコレなら、情愛を感じないでしょう?』

『確かに、良い友人だな、としか思いませんしね』


 姉のマリーと少しだけ、クロウを誂ってみたら、凄い絶望した顔をされた。

 不味い、やり直したいと思われたら困る。


『ふふふ、冗談よクロウ、アナタ本当に本気なのね』

《当たり前じゃないですか、こんなに特殊な事で分かり合える人は滅多に》

『それが妻で有る必要って有るの?友人じゃダメ?』


《ダメに決まってるじゃないですか、僕が、幸せにしたいんです。一緒に居て、安心して貰って、喜ばせたいんです》

『性的な意味で』

『本当にそうなのかしら、便利だから囲う、その願望を覆い隠して良い人間を気取りたいだけなんじゃない?』


《そこも考えました、でも例え予言の力が、寧ろ無くなって欲しい位なんです。楽になって欲しい、幸せになって欲しい》


『ハッキリ聞くわね?可愛いと思ってる?』

《勿論です》

『でも夜伽でハンカチの事を思い出して吹き出さない?』


《それは、困りますね》

『グレースが大変なんだよ、一旦思い出し笑いが始まると連日笑いっぱなし、どんなに良い雰囲気でも』

『あら、ジェイドはまだ18才にはなってないわよね?』


『そうだけど、兎に角、笑いって色気を吹き飛ばしちゃうから』

『分かるわ、私もなのよ。悪いとは思ってるわ、でも一旦思い出しちゃうとダメなのよね』


《ですけど、僕が笑うと喜んで追撃までしてくれるんですよね》

『あまり聞かない惚気だから許すけど、本当に可愛いと思って、本気でしたいの?』

『そこよね、恥ずかしいのは分かるけれど、アナタから可愛いって聞いていないからこそ、不安なのよね』


 僕らは気持ちを自覚するのが下手、だからこそ、もし勘違いなら。


《性的な意味で、可愛いんです》


『うん、解散』

『そうね』

《そ、ちょっと待って下さい、何か助言を》


『仕方無いわねぇ』




 私の事が好きだ、とは聞いてましたけど。


 まさか、避妊と妊娠のサイクル計算までされてたなんて。

 凄い、どれだけヤりたかったんですか、クロウさん。


《すみません、驚かせる気は無くて、ただ性的にも好きだと、本気だと分かって欲しくて》


「それで避妊具に薬まで、どんだけ私を好きなんですか」

《本当に、今直ぐにも色々としたい程度には、はい》


「色々、とは」


《結婚もですし、キスも、ハグも》


「だけ、ですか」

《そこそこ意地悪ですよね?》


「まぁ、良い性格はしちゃってますね、色々と有ったので」

《出来るなら全て上書きして、掻き消したいんです、全て》


「私、1番長い夢は、13才から18才まで婚約していた夢なんです。ゆっくり愛を育て合って、お互いに初恋だと思ってたんですけど、途中から裏で妹とデキてて、暴れたら妹に階段から突き落とされ、暫くして死んだんです」


《妹さんは先にご結婚なされてますよね》

「はい、相手は私の元婚約者です、でも夢のお陰で何事も無く直ぐに妹に譲れたんですけど。聞こえてたんです、寝たきりの状態で、結局は幼い女が好きなだけで、妹は捨てられる。それを黙ったまま譲ったんです」


《何か問題でも?》

「私より性格が悪いですよね?」


《賢いだけですよ》

「口も達者ですしね」


《結婚して下さい、それからゆっくり愛を育て合って、全て上書きしましょう》


「仕事をさせたくない?ですか?」

《すみませんが、はい》


 書類上婚約するだけで、問題が発見出来る私の能力には使い道が有る、なのに。


 国益最優先の方が、何故。

 いや、もしかしてお母様が言ってた、アレ?


「もしかして、嫉妬ですか?」

《はい、正直に言って他の男との淫夢を見られるのは嫌です、それが例え夢でも嫌なんです、見るなら僕との事だけ見て下さい》


「実は私も嫉妬してるんです、何でだと思いますか?」


 言うのが恥ずかしいから、当ててくれると助かるんですけど。


《少し、難しいですね。当てたら何かご褒美をくれませんか?》

「例えば?」


《キスかハグか結婚かヤらせてくれるか》

「選択肢が一部過激。ですけど、良いですよ、直ぐに当てたら過激なのもご褒美として考えます」


《成程、一発で当てたらヤれるんですね》

「考えます」


 目端に色んな道具が有るの、凄い恥ずかしいんですけど。


《もしかして、夢の中で、ですかね》

「はぃ、あ、ヒントをあげたのでヤるのは選択肢から消えました」


《成程、じゃあ、いやらしい夢ですか?》


 あ、コレ逆に恥ずかしいかも。


「はぃ」

《成程、じゃあ僕とアンバーとの事で、嫉妬したんでしょうかね》


「もう分かってるなら答えて下さいよ」

《ハグよりキスがしたいので粘ってたんですけど、もしかしたら違うかも知れないので、もう少しヒントを良いですかね?》


「キスしますから答えて下さい」

《いえいえ、ココは正々堂々と勝負しましょう》


「いや勝負じゃないですし」

《いえ、何か賭けている時点で勝負ですよ》


「ぅう」

《お願いします、全然分からないのでヒントか答えを下さい》


 困る、こんなの夢に無かった。


「むりぃ」

《じゃあ、僕が代わりに答えるので、キスとハグで手打ちにしますけど、どうしますか?》


「ぉ願いしますぅ」

《僕の夜伽が上手で酷く乱れた淫夢だった》


「もう、分かってるならさっさと言って下さぃ」

《可愛かったのでつい、すみませんでした》


「はぁ」


 ぁあ、ソファー柔らかい。

 新調して下さったんですね、真新しい木の匂いもする。


《ハグとキスはまだですか?》

「ちょっと休憩しませんか?」


《そのままで結構ですよ、僕がソチラに行きますから》


 クロウさんはテーブルを挟んで目の前の椅子に居た筈が、私が横になっているソファーに。


「近い、早い」

《ご褒美が早く欲しいので》


 何ですかね、この色気は。

 やっぱり、絶対、ヤ◯チンですよねこの人。


「どっちが先が、良いですか」

《ハグで》


 食い気味。


「あの、起きるので退いて頂けると」

《このままで大丈夫ですよ》


「いや私が大丈夫じゃないので」

《なら顔を見ない様にしますから、それでどうですか?》


「それなら、まぁ」

《では失礼しますね》


 食い気味に返事をされつつ、ソファーと体の隙間に手が滑り込んだかと思うと、あっと言う間に抱き締められてしまった。


 と言うか、当たってる。

 クロウさんの何か、当たってらっしゃる。


「あの、クロウさん」

《あぁ、気付いちゃいましたか、すみません。それでなんですが、キスは僕からの方が、その真っ赤な顔を見られずに済みますよ》


「余裕な口振りですけど、凄くドキドキしてますよね」

《はい、ついでに興奮もしてます、それに欲情も。どうしますか?僕からかアンバーからか》


「じゃあ、お願いします」

《喜んで》


 うん、私1回だけとか言いませんでしたしね、うん。


 いやいつまでする気ですか、と言うか、息が荒い。


 もしかして、本当に私で興奮してる?


「あの、いつまで」

《手を退けるまで、ですかね、それともキスしてくれますか?》


「あの、もしかして本当に私で興奮して、欲情してます?溜まってるだけとかじゃ」

《溜まってるだけではない証明が必要なら、見せますよ》


「どう?」

《本当に可愛いですねアンバーは》


 うん、気が動転して良く考えずに尋ねるものじゃないですね。

 特に、クロウさんには。




『嬉しいわ、娘も欲しかったのよ』


 マリー様とジェイドの助言で、性的に意識して貰うべきだ、と。

 少しやり過ぎだとは思ったんですが、彼女なら、アンバーなら引かずに真摯に受け止め考えてくれるだろう。


 そう少しだけ、考えて貰うつもりが。


「ありがとうございます。でもお母様もお若いんですし、いっそ離縁して再婚なさっては?」


『そう、そうね、確かに。もうこの家は安泰なのだし、でも』

《僕も良いと思いますよ、何もあんなクソ野郎に一生振り回される必要は無いんですから》

「クロウさ、クロウやご友人の方々も協力してくれる筈ですから、次こそは間違い無い筈ですよ」


『ふふふ、ありがとう。もし女の子だったらアンバーにしようと思ってたの、ありがとうアンバー、クロウの奥さんになってくれて』

《成程、昨今流行りの運命の片割れでしたか》

「かもですね、不思議な位にピッタリですから」


『このまま末永く仲良くして頂戴ね?』

「はい」

《勿論ですよ。さ、行きましょうか、新居へ》


『いつでも来て頂戴ね!』

「はーい!」


 少し手を出すつもりが、つい、調子に乗ってしまい。


 いや、最後まではしてませんよ。

 ですけどアンバーはその日のウチに、結婚を承諾してくれて。


《コレで心置きなく楽しめますね》


「あの、本当に、ワザと手を抜いてたワケじゃ無いんですよね?」

《前にも言いましたが、今世は童貞ですからね?》


「でも夢とかなり違ったんですよね、初めての夢と」


《下手、と言う意味では》

「いえ、あんなに早くは、あ、いや、本当にそうじゃなくて」


《夢は、飛び飛びなんですよね?》

「はい、あ、アレが初夜じゃないって事ですか、確かに、成程」


《コレから初夜ですからね》

「ですよね、うん、確かに」


《折角ですし、詳しく教えて貰えませんか?》


「またそうやって、言わないと意地悪する気ですよね」

《はい勿論、慣れたら赤くなって貰えないかも知れませんから、見溜めしとこうかと思って》


「あのですね、アナタみたいに情愛溢れる営みに慣れて無いんですから」

《僕もですよ、本当に、以前は全て義務的にこなすだけ。なので教えて下さい、色々、僕の方が初心者なんですから》


「教えるも何も、私も無知の極みなので」


《なら、僕が良いと思った事でも、黙っていた方が良いですか?》

「あ、狡い」


《良く言われます》

「えっち、すけべ」


《そんなに淫語を並べて、もしかして煽ってます?》

「いや、違っ、もー」


《可愛いですね本当に。子供は何人に、いえ、居なくても良いですよ、その分ゆっくり出来ますし》

「せめて女の子は欲しい、お母様に見せたい」


《名前は何にしましょうか》


「ふふふ、夢で見たんですよ、それ。だから頑張って考えて下さいね」

《外れても怒らないで下さいね》


「勿論、当たっても外れても嬉しいですし」


《でも、暫くは避妊しますからね、楽しみたいので》

「どスケベ、こんなに性欲が強いとか聞いてないんですが」


《騎士団に居る者で、性欲が弱い者なんて殆ど居ませんよ》


「つまり、グレース様も」

《かもですね、また鍛えたいなら鍛えて差し上げますよ》


「無理」

《ですよね、僕もあんなには無理ですから》


「でも意外と筋肉が有りますよね」


《おや、初夜は未だの筈では》

「もー」


《本当にアンバーは可愛いですね、愛してますよ》

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