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社畜OL、過去の妄想の産物を”黒歴史界”のえんま大王に裁かれる 〜おまえの黒歴史、救済します  作者: mono
裁き① 自分をモデルに!?ご都合ストーリー満載のオリジナル小説編
4/7

4.社畜OL、自分が作り出したキャラと対面する

 「美園まち、こいつらに見覚えは?」




 「・・・・・・・・・」




 「おいお前たち、どうやらこいつはお前たちのことを一切覚えていないようだぞ」




 「い、いえ! ありますあります! 私が書いた小説のキャラクターです!!」




 覚えていないはずがない。だって、そこにいたのは昔私が書いた小説のキャラクターたちだったから・・・。





 ”えええええええ!?”

 ”え、まってどういうこと”

 ”妄想のキャラクターが実在した????”

 ”女の子めっちゃかわいいんだけど”

 ”男も美形すぎる”

 ”さすが妄想 美男美女で作り上げてやがる”

 ”あの子たち本当に生きてるの?”

 ”他人の妄想上のキャラクター連れてくるっていったいどうやって?”





 「ま、まってください!! その子たちは私が作ったオリキャラです! 実在するはずがない・・・」




 「お前は一体何を聞いていた? だから言っただろ、私は”黒歴史界”の王だと。そしてここは人間界と黒歴史界の狭間・・・。お前が作り出したキャラクターのように、いろんな人間の妄想の産物たちがこうやって黒歴史界には実在しているのだ。そして皆、勝手気ままな妄想主に振り回されて困っている・・・原告、登壇しろ」




 えんま大王に促され、2人は私の隣にある証言台に立つ。




 「原告、女の方から順番に名を名乗れ」




 「は、はい・・・私はカリナ・フォーリュと申します。ミンジュ国の第一王女です」




 「ユウリ・ロビスタ。ミンジュ国内にある村の村長の息子だ。今は王宮でカリナの側近をしてる」




 「うぅ・・・!!!!」




 2人の自己紹介を聞き、私はさらにダメージを負った。

 本当に信じられないことだが、私が作った小説の設定のままだったから・・・






 カリナ・フォーリュ

 

 年齢:16歳

 誕生日:9月14日

 身長:156cm

 赤茶色の髪の毛を耳の下の方でふたつ結び。

 空色のきれいな瞳が印象的な整った顔立ちの少女。

 膝上までの黒ローブを着用している。(下は少し長めのスカートに茶ブーツ)


 ミンジュ国の第一王女。強大な力を持つカリナが生まれたことを聞きつけた盗賊に国を襲われ、王様にカリナを逃がすよう託された乳母とともに国外へ避難した。避難後は自身がミンジュ国の姫だと知らされずに育ったため、どこにでもいる普通の女子学生として生活する(乳母のことを本当の母親と思っていた)。16歳まで成長したある日、学校帰りのカリナのもとへ村長の息子であるユウリが迎えに来る。ユウリから自身がミンジュ国の姫だということを聞き、そして国が16年前と同じ危機に晒され、危険な状態であることを知る・・・。ミンジュ国を守ることを決意したカリナは、ユウリとともにミンジュ国を目指して旅に出る。






 「やばい・・・本物のカリナめちゃくちゃかわいいんだけど・・・」




 自画自賛である。かわいいのは当たり前。

 なんていったってカリナのモデルは、小学校の頃に色白でほわほわした雰囲気が印象的なとてもかわいい天然の女の子なんだから・・・。




 「気持ち悪い目でカリナのこと見んな」




 私から守るように、ユウリがカリナの前に立ちはだかる。






 ユウリ・ロビスタ

 

 年齢:18歳

 誕生日:3月16日

 身長:178cm

 金髪、緑目の恐ろしいほど顔立ちが整った美少年。無表情か不機嫌顔がデフォ。

 慣れた相手には毒舌を吐くなど、クールに見えて案外喋る。

 カリナと同様、膝丈ほどの黒ローブ着用。


 カリナの相方。ミンジュ国が16年前と同様の危機に陥っていることから、父親である村長とその友達である国王直々にカリナを連れてくるよう命令され、カリナのもとへやってきた。父親が国内でもなかなかの腕前の魔法使いであるため、その息子であるユウリも国内上位の魔法使いと成長している。カリナや旅先で出会った仲間とともにミンジュ国を目指して旅をし、盗賊に打ち勝った今はカリナの側近として王宮専属の魔法使いとなる。






 「うわあああああああああ!!!! ユウリが動いてる!!! 私の推しキャラ!!!!」





 そう、私はユウリが大大大大好きであった。

 ユウリは友達がモデルではなく、その時にハマっていた漫画のキャラクターをモデルとしている。

 私のその頃の好みドンピシャに作ったため、それはそれは楽しく小説を書いたものだ。




 「・・・・・・気持ち悪いんだけど、こいつ」




 「ありがとうございます!!!!」




 ユウリに蔑まされた目で思いっきり見下される。

 自分で作ったキャラクターとはいえ、まさか推しからそんな目で見てもらえるとは・・・。

 ありがとうございます、私にとってはご褒美です




 「・・・・・・」




 「こらユウリ! 初めて会った人にそんな顔しちゃだめっていっつも言ってるでしょ!」




 「なにそれかわいい」





 ”かわいい”

 ”かわいい”

 ”かわいい”

 ”なにこの子可愛すぎないか・・・”

 ”やばい、射貫かれた”

 ”カリナちゃんまじ天使”

 ”好き”

 ”俺もユウリにあんな目で見られたい”

 ”草”

 ”妄想主がガチすぎてわろた”





 私のこと見下すユウリのローブを引っ張り、めっ!と窘めるカリナ。

 そしてそんな2人の可愛さをくらう私とコメント欄。




 そうだろう、そうだろう。私のカリナ、めちゃくちゃ天使だろう?




 「えっと、美園さちさん・・・でしたよね?カリナ・フォーリュと申します。よろしくお願いします」




 「はい! かわいい笑顔ごちそうさまです!!!」




 「やっぱこいつ殴っていいか?」




 「だからだめだってば!」




 「で? 本当にお前が俺たちのことを作り上げた妄想主なのか?」




 自分のことを窘めるカリナの頭をよしよしと軽く撫でた後、私のことを一瞥するユウリ。




 「え、えっと・・・一応そうです・・・。でも、2人は本当に私やこのえんま大王とやらが言ってることを信じられるの?妄想主だの、黒歴史界だの、普通だったらよく分からないことばかり言われたと思うんだけど・・・」




 私だったら一切信じない。

 ある日突然現れた怪しい奴に『お前らは他人の妄想で作られた存在だ』なんて言われても、そりゃあ信じられるわけがない。




 「まぁ最初は戸惑ったけど・・・『自分は“黒歴史界の王“だ』とかよく分かんねぇことも言われたし。でもたとえここが誰かに作られた世界だろうと、俺らが生きてる世界には変わりないからな」




 「うん。私たちは私たち、だね」




 「はー・・・適応するのが早いねぇ・・・」




 「不思議なことが起こるのには慣れてますからっ!」




 えっへん! と胸を張るカリナを見て、私は素直に感心した。

 普通は私みたいにすぐには適応できないはず。

 こんなことが起きても動揺しないくらいには、日頃から鍛えられてきたのだろう。

 そこはさすが様々な冒険をしてきた魔法使いなだけある。




 「あともう1つ気になってた。なんであんたはマチと同じ名前なんだ?」




 「え、えっと・・・それには深い事情がありまして・・・」




 「この女と同じ名前だという仲間は、こいつをモデルとして作られたからだ。こいつが自分のことを魔法つよつよクール系少女に書き上げたんだ」




 「・・・だからあいつあんなに強いの? 自分のことモデルにして小説書いてるって、こいつやばくね?」




 「あはは・・・」




 「うぐぅ・・・!!!」



 

 言い淀む私の言葉を遮り、えんま大王が説明する。

 その言葉を聞いたユウリの冷たい視線と、カリナの苦笑いが私に思いっきり突き刺さった。





 ”これはつらい・・・”

 ”思いっきり刺してくるな でもこういうの嫌いじゃない”

 ”むしろ好き”

 ”俺も好き”

 ”ドM多すぎわろた”





 「だからこそ、この作られた小説がこいつの黒歴史ってわけだ。こいつは自分の好きな要素を好きなだけ詰め込んだご都合スト―リーを書き上げ、そしてそのまま放置している極悪人だ。お前ら知ってるか、こいつはその書き上げた小説の束をシュレッダーにかけてこの世から消し去ろうとしているんだぞ!!!」




 「え!?」





 ”!!!??”

 ”!?”

 ”え!?”

 ”シュレッダーだと!?”

 ”妄想主、なんてむごいことを・・・”

 ”これは文句なしに有罪”

 ”は? 俺らのカリナを消し去るつもりだと?”

 ”黒歴史を消したくなる気持ちはわかるが、この美形たちを消すのは・・・”





 えんま大王の言葉にカリナやユウリ、そしてコメント欄までもがどよめいた。




 「え!? ちょ、ちょっとまって! 確かに書いた小説の束は親に見つかる前に処分しようと思ってたけど、カリナやユウリたちまで消し去ろうとは・・・」




 「その認識が甘いのだ!!!」




 「いった!!?」




 えんま大王の手に持っている笏が、突然伸びて私の方に向かってきた。

 そして思いっきり私の頭を叩く。




 「お前からしてみたらただの紙の束かもしれん。だがこいつら黒歴史の世界の住民たちからしてみたら、いきなり自分の住んでる世界を消されるようなもんなんだぞ? ただでさえ自分たちの国を盗賊に襲われ、やっとの思いで戦いに勝てたのに、次は国だけじゃなく世界まで消されるのか!? こいつらが可哀そうだろうが!!!」




 「!!!!」




 えんま大王に大声で喝を入れられ、ハッとする。




 そうだ、私からしたら消し去りたい黒歴史の1つだけども、この子たちからしたらあの世界が全て・・・

 この子たちを盗賊と戦わせたのも、危険な旅をさせたのも、全部全部過去の私じゃないか・・・

 



 「その顔はどうやら気づいたようだな」




 えんま大王が私の顔を見てため息をつく。




 「とりあえずお前は文句なく有罪1つめだ!!!」




 そして私に向かって思いっきり「有罪!」と書かれた白い札を投げてくる。

 な、なんだこれ!? おでこにくっついて取れない!!!




 「さて、前置きが長くなったな。そろそろ本題に入ろうか」


読んでいただき、ありがとうございます。

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