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社畜OL、過去の妄想の産物を”黒歴史界”のえんま大王に裁かれる 〜おまえの黒歴史、救済します  作者: mono
裁き① 自分をモデルに!?ご都合ストーリー満載のオリジナル小説編
2/7

2.社畜OL、妄想出来てた時代を懐かしむ

 


 「あー・・・・・・疲れた」




 社畜OLである私、美園まち(28)の精神は極限状態であった。

 ついでに毎日パソコンと睨めっこしている目も限界。

 首も肩も腕も、身体中のどこもかしこもバッキバキである。




 そんな疲れ切った身体を癒やすため、私は家に着いて早々ベッドにダイブした。




 就職を機に、地方から都会に出てきて早8年。

 入社して早々社畜と化した私は、毎日毎日パワハラ上司にこき使われていた。

 寝ても覚めても仕事。夢の中でさえ仕事をしている始末。

 こんなんじゃ身体が持たない。冗談抜きでいつか死んでしまう。




「・・・寝て起きたら学生時代に戻ってる、なんて奇跡起きないかな」




 あの頃は良かった。

 毎日毎日妄想出来てたから。





 ――――そう、私は妄想するのが大好きである。


 



 幼い頃から大学生くらいまでは、自分自身と色々なキャラクターが大活躍するような妄想をしていたものだ。

 王道ほんわかお姫様、癒やし系治癒少女、魔法使いのクール系少女、かけられた呪いを解く方法を探している絶世の美少女、人魚属性の王宮専属の踊り子ちゃんなど・・・。

 自分が好きな属性の女の子たちを様々作り出していた。




 そして手にかけたジャンルは数知れず。

 自分で小説も書いた。

 自分のオリジナルキャラを用いた【なりきりチャット】にも顔を出し、夜な夜な色んな人と交流したりもした。お互いのオリキャラを描き合うなどもした。神絵師が多くて幸せだった。

 あとは授業中の妄想だなー。長くて暇な授業中は、自分も能力高めの国家錬金術師となり、様々なアニメキャラクターの世界に行って共に戦ったり、また自分の通っている高校を敵から守る役目を担う等の妄想を繰り広げたりしていた。

 



 しかし社会人になるにつれ、忙しすぎて体力というものが皆無となる。

 アニメ、アイドル、Vtuber等オタクをする時間さえもなかなか取れなくなり、家ではほぼ寝てばかりという悲しい現実。




 人間、生きていれば人生を謳歌するための必須アイテムというものが生まれてくる。昔の私の必須アイテムは、頭の中の妄想物を文字に起こすためのノートパソコンだった。

 しかし最近の私の必須アイテムは、布団。重要な生命維持アイテムである。




 ちなみに妄想自体はできるのだが、布団に入りながら妄想すると頭が冴えてしまい、そのまま寝付けなくなるという悪循環に陥ってしまうため、社畜になってからはなかなか妄想する時間も取れずにいた。





 「子どもの頃は思う存分妄想できて楽しかったなぁ・・・」




 チラリと目線を横に向けると、大きなファイルの束が目に入る。

 中身は私が小学生だった頃に書いたファンタジー小説だ。




 あの頃はクラスの友達たちと、お互いをモデルにしたファンタジー小説を書き合っていた。

 私が書いたものは、よくある王道の魔法使いもの。

 自分がとある国のお姫様であることを知らずに生まれ育った主人公が、ある日自分を迎えにきた少年と冒険しながら自分の国を目指すという物語。

 



 設定も内容もなかなかにベタである。

 しかも長編。そして書きあげたらお互いの小説を読み合う。

 今考えると、とてつもなくエグい。

 しかし、あの頃の私は物語を完結させようと無我夢中で最後まで書き上げたのだ。その数、ルーズリーフ80枚分。

 おまけに物語の内容も嫌いじゃない・・・。

 



 そういった思いもあり、私はあの紙の束を大人になった今も捨てられずにいた。

 しかし就職して実家を出た今、あの小説たちを実家に置いたままにはしておけず、たくさんの荷物と一緒にアパートまで持ってきたのだった。




 あの小説の登場人物には、自分や友達の名前をつけている。

 私の母親は、小学生の頃の交友関係を全て把握していた。

 そしてその時の親同士の交流は今も続いている。

 そんな母親にあの小説の存在を知られてしまったら・・・。




 「・・・流石にあれを見られたら、死んでも死にきれんわ・・・」




 もし自分が突然死んでしまった場合、アパートの整理をしていた親があの小説を見つけてしまったら・・・と思うと本気でゾッとした。





 ――――今まで残していた黒歴史、絶対に今のうちに消しておこう





 あの小説は、近いうちに絶対自分の手でシュレッターにかけると決めている。




 「ん?」




 ふと視界の端で何かが光ったような気がした。









 ――――そして気がつくと、私は証言台の上にいた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

良ければブックマーク、評価等よろしくお願い致します。


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