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【完結】2度愛された女  作者: ぺこりーの
8/28

白井華

これまでのあらすじ



竜二はある日通勤電車の中で偶然に赤い帽子の女を見かける。


マスクを外した女の顔を見た竜二はあまりの美しさに一目惚れしてしまう。


しかし同時にその顔はどこかで見たことがある顔だと思った。



デジャブのように・・・



そして同じ日の夜、また竜二はその赤い帽子の女を見つける。



竜二の前に何度も現れる赤い帽子の女・・・


この女はいったい誰?



クリスマスパーティでついに竜二は謎の女の正体を知る。







華は近くで見ると本当に美しかった。


ぴっちりしたミニのサンタ服からこぼれそうなほど胸がたわわだ。



竜二は目のやり場に困った。


そしてまたまたあいつがやってきた!!





そう!


また勃起したのだ。





俺は中2か!



なぜこの女を見ているだけで勃起するんだ!?


ったくこれじゃうっかり立ち上がることもできないじゃないか。





竜二は一気にビールを喉に流し込んだ。


早く酔っ払っちまえ!


そうすると少しは落ち着くだろう。


竜二はそう思った。





華は竜二の前から離れなかった。


スタッフは大勢いたからフロアにまで出る必要はないのだろう。



きっとカウンターを任されていてそのカウンターにいる客は俺一人!


華を独り占めできるという素晴らしいシチュエーションだった。





俺って本当についてる!


なんでこうも強運なんだろう・・・




華も竜二と一緒にビールを飲んだ。


白く透き通るような肌が少しだけピンク色に染まる。


人懐こい笑顔に名前の通り『華』がある人だと竜二は思った。





竜二は不躾に華にいろんなことを尋ね始めた。




どうして電車の中にいたのか。


どうしてあのおばさんがビアバーにいたのか。


どうしてこのチケットが自分の手にはいったのか。





竜二には知りたいことがたくさんあった。


そして一番知りたかったことが、なぜどこかで会った気がするのか。


そんなことを矢継ぎ早に華に質問した。





そんな竜二の質問に華は驚くほど的確に答えたのだった。




華は魅力的な女だ。


悪女のような可愛い仕草を見せたかと思うと、仕事のできるキャリアウーマンのようにズバズバ話す。


きっとこれまで多くの男が泣かされてきたことは容易に想像できる。





『電車の中にいたのは偶然。


最初は気づかなかったけどあなたの視線を感じたのよ。


私を見てるって。』




『私はいつも会社であなたを見ていたから知っていたけど、あなたはあの時初めて私を見た。


そうでしょ?


偶然だったけど、あの時にあなたが私に気があるって思ったのよ。』




『そしてあのおばさんがビアバーにいたのは、こっちは偶然じゃなくて私が頼んだから。


あなたにクリスマスパーティのチケットをうまく渡してってね。』





華が頼んだ?


竜二は鼻腔が開いた。



なんで華が俺にチケットを渡したかったのだ?


もしかして・・・





竜二が華に質問しようとするとまた華が被せて話し出した。




『なぜ私が竜二君にチケットを渡したかったか・・・?』


『そんなわかりきったこと聞く?』




『私が竜二君と仲良くなりたかったからに決まってるじゃない。バカ!


会社でいつも見てたけど、電車の中で会ってからもっと近づきたいって思ったのよ。』





『あのおばさんは保険のおばちゃんで、このバーのマスターがお客さんなのよ。


それでいつもお店に出入りしていて、マスターがまた保険にはいったお礼にってクリスマスチケットを何枚も買ってくれたの。


でも誰にあげようかと悩んでいたから、じゃあ私がチケットを渡したい人がいるからその人がよく行くビアバーに行って渡してってお願いしたのよ。』





華はチケットの経緯を一気に話してくれた。


しかし竜二は華の後半の話をよく聞いていなかった。


と言うか、華が自分に好意を持ってくれていることを知り、もうそれだけで竜二の情報処理能力は限界に来ていたのだ。





なぜ華が俺に好意を持っているのか竜二にはその理由がまったくわからなかった。


ただ、この際そんなことはどうでもいい気がした。





華は竜二が聞かずともなんでも話してくれた。



『私が竜二君を気になり始めたのは、私のオフィスのスケルトンの会議室で、あなたがうちの社長に必死で営業している姿をいつも見ていたからよ。


私の席からちょうど会議室の中が見えるの。


いつもあなたは真剣な顔をしていたわ。


そしたら3ヶ月前偶然に電車であなたと会った。


そしてあなたも私に気があるって思ったから、それで私からアプローチしてあげようと思ったの。


だって取引先の女子社員にあなたが手を出したことがバレたりしたら、取引は終わってしまうだろうしタダでは済まないでしょ?


だからあなたが私にアプローチする前に私からチャンスをあげようと思ったのよ。


どう?これで納得したかしら。』





竜二はハッとした。


そうか。


華は俺が取引先であることを知っていたから、今までわざと会わないようにしてたんだ。


だったら俺が華のマンションの前をウロウロしてたのはきっとバレている。





『だいたいわかった!でもひとつ質問していい?』



『いいわよ。なんでも聞いて。』





『俺がビアバーへ行ってることをなぜ知ったの?』



『ハハハハハ・・・・』



華はその質問を聞いて急に大笑いした。


しばらく腹を押さえて笑っていた華が今度は急に厳しい表情になって竜二を睨んだ。





竜二の顔が強張った。


なんだなんだ?


俺、なんか言ったか?





すると華は竜二の目を見据えたままこう言った。





『竜二君の会社の総務課の麗羅は私の友達の妹なの!』





ん?


麗羅?


麗羅ってレイラか!!!





『え〜〜!!あのロリ女は華ちゃんの友達の妹!?』


竜二はびっくりしすぎて飲んだビールをマーライオンのように華に浴びせそうになった。





『そうよ。竜二君がレイラちゃんをビアバーに誘ったでしょ。


それをレイラちゃんが話してくれたの。


しょっちゅうあのビアバーにいるみたいだって。


よく私の友達の妹に手を出さなかったわね。


それでもしかしてあなたは意外に真面目人なのかもと思ったのよ。』





ふぇ〜!



世の中は何が起きるかわからんもんだ。


今竜二はつくづくそう思った。



あのときレイラに手を出さなかったのは、どこかめんどくさそうな女だと直感が働いたからだ。


普通の女ならあの手この手でホテルにしけこんでいる。



よかった〜〜!!





竜二は自分は本当についている男だと確信した。


あのロリ女に手を出さなかったのは何かを感じたからだ。


誰かがそれを教えてくれている。





でももうひとつだけ華に聞きたいことがあった。


それはいつものデジャブのような現象のことだ。





しかしそれを聞いても華がわかるわけもないと思った。





今はいい。


今はただ華と話していたい。





竜二は今夜華に会ったことに、何か強い運命のようなものを感じていた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くて2~7話も一気に読みました。 時々、しょっちゅう?作者様のツッコミΣ\(゜Д゜;)が入り、思わず声を立てて笑ってしまいました。 赤い帽子なんて、広島カープか?とか九州のお爺さんが…
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