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【完結】2度愛された女  作者: ぺこりーの
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死後の世界

これまでのあらすじ



華は竜二が前世では誠という名前だったことを明かした。



そして華は女優であったこと。


誠が新聞記者であったことなども・・・・



住む世界が違う二人がどうやって知り合ったのか。


また誠と華が一緒に脱走したことなども話す華。



そして若くして死んだ誠の死の理由は・・・・・



生き残った華のその後の人生とは・・・・




白い霧のようなモヤがかかっている。


目を凝らして見ないと自分が今、どこに立っているのかもよくわからない。




『私は・・・・・・・


私はどうしたのかしら・・・・・・・・・・・』




華は自我があるようなないような・・・・


目が覚めているような夢を見ているような・・・・



華はそんな不思議な感覚のまま、モヤがかかった世界をフワフワと歩いていた。


ふとあたりが少し明るくなった。


モヤが少し晴れたようだった。




そのとき!


華の目に飛び込んできたものは、おびただしい数の人が雲でできたような階段をズラズラと、そしてゆっくりと上へ上へと昇っている光景だった。




『こ、これは・・・・・・・・・・・』




華はそこでようやく自分が死んだことを理解した。




『そうだわ。私は死んだんだわ。


じゃあ、ここにいる人たちはみんな死人?


この階段を昇るとどこへ行くのかしら。』




しかし死人にしてはみな若く見える。


世界中が高齢化社会だから、もっと老人ばかりのはずなのに・・・


華はそう思った。




ところが華も自分の手を見て驚いた。


あのしわだらけだった手が、まるで20代の頃のようなすべすべの手に戻っている。




『何年ぶりかしら!こんな綺麗な手を見るなんて。


嬉しい!』



華は驚きを隠せなかったが、それより自分は死んだというのに手がすべすべになったことを喜んでいる自分がおかしかった。




『きっとこれは自分の意識の世界なんだわ。』




華が思ったとおりだ。


この死後の世界で見えているものは、自分の意識が作り出しているもの。


要するに自分に都合よく見えているのである。




華はきっと20代の自分が一番好きだったのだろう。


あの美しい娘時代に戻りたいという華の意識が、すべてをそのように見せてくれているのだ。



しかしこの空間は気持ちがいい。


なんとも例えようのない居心地の良さだった。


これが死なのか?




だったら、なぜ人は生きているときにあんなに死を恐れるのだろう。


この心地よさを知ったら、死ぬことなどまったく恐るるに足らない。




華はどんどん雲の階段を昇りながら、生きているときにはまるで経験したことがない高揚感に包まれていた。




『三途の川だったかしら。


死んだら誰かがそんな名前の川を渡ると言ってたけどぜんぜん違うじゃない。


見たこともないくせに人っていろんなことを言うもんだわ。』




華が想像していたおどろおどろしい死後の世界とはまるで違っていた。


なんだか肉体も心も20代の頃に戻ってしまったみたいだ。


あの長い階段を昇ってもまったく疲れていない。




そしてついに華は階段の頂上まで昇り詰めた。




『ここは何かしら?』




華は、大きく開け放された入り口から真っ白なまばゆい光が刺すのを見た。


とても眩しくて目を開けてられないと華は思った。




そのとき!


そのまばゆい光を背に受けた人影が見えた。


しかし逆光に隠れて人影は黒い影にしか見えない。




その人影は恐ろしく背が高かった。


両手をこちら側に開いて見せている。



華はとっさに思った。




『神だわ。。。。。』




なんとなくそのシルエットは、教科書で見たキリストのシルエットに似ていた。


おそらく・・・




それも華の意識がそう見せているのであろう。


華が思う神の姿は、きっとキリストのイメージに違いない。




華は



『私ってなんて安易なのかしら・・・


しかもやっぱり神ってこんな神々しいイメージなのね。』




華は後光が刺す神を目の前にして少し笑った。



そして華は神に向かってこう言った。




『神様、はじめまして!』






ラスト2話!!

明日は『神との契約』へと続きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 華さんはやっぱり天国への階段を上れたのですね。 リアルな描写!! 作者様は臨死体験があるのかも?!と思いました。 [一言] 関東もぐっと寒くなりましたね。 小説が終わりに近づいていると思…
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