表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】2度愛された女  作者: ぺこりーの
25/28

華の死

これまでのあらすじ



華は竜二が前世では誠という名前だったことを明かした。



そして華は女優であったこと。


誠が新聞記者であったことなども・・・・



住む世界が違う二人がどうやって知り合ったのか。


また誠と華が一緒に脱走したことなども話す華。



そして若くして死んだ誠の死の理由は・・・・・



生き残った華のその後の人生とは・・・・



華がアメリカに来てからもう50年という長い年月が経とうとしていた。


すでに女優をやめ今はジョージアの片田舎でのんびりと余生を過ごす毎日だ。


華の結婚生活は幸せに満ちたものだった。




夫は俳優でありながら真面目で、生涯華のことを愛してくれた。


しかしその夫も3年前に他界した。



二人の間に子供はできなかったが、華が何不自由なく暮らせるほどの財産を夫は残してくれたのだ。


そして夫が生まれ育ったジョージアに墓をたてそこに埋葬した。


華は夫への感謝をこめてジョージアに移り住み、毎日夫の墓に祈りを捧げ花を添えるのが日課となっていた。




華の退屈な老後は二人の男からのプレゼントだった。


華は、毎日何をするでもなく二人の男に感謝と祈りを捧げながら生きていく。




思えば楽しい人生だった。


戦後の動乱を誠と生きたあの時代。


いろんなことがあったが、誠という男と出会い愛し合ったことで華は人生の意味を知った気がした。




そしてまさか自分だけがアメリカに渡り、アメリカ人として生きるようになるとは・・・




映画スターとして世界中から注目される人生。


それを望んだわけではないが、女優という仕事は自分の天職だと思った。



そしてその仕事のおかげで出会った夫。


本当に優しい夫だった。


誠のように心が燃え尽きるような愛ではなかったが、私も夫を愛していた。




こんなに穏やかな人生を過ごさせてくれたのは夫のおかげだ。



アメリカの国籍を取得してアメリカ人となった華。


あれから日本へは一度も帰っていない。



日本は変わったのだろうか。


日本へ帰ってみようかと何度も思ったが、誠のいない日本はもうただの外国に過ぎなかった。




アメリカ国籍を取得したのも誠が死んでしまったからだ。


もう日本人でいる必要などない。


華はそう思っていた。




それから何度目かの春が訪れ、華の家の前の庭に真っ白なマーガレットの花が咲き庭一面を埋め尽くした。




そんな春の暖かい日に華はこの世を去った。


享年88歳だった。



華はひとり静かに眠るように息をひきとった。





真っ白なマーガレットは、まるで華がこの日のために自分で用意した祭壇のように見えた。





ラスト3話!!

明日は『死後の世界』へと続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 華さん、幸せに生涯を負えられてよかったです。 今回は初めて笑わずに、しんみりと読ませて頂きました。 [一言] 次回では、思いっきり笑わせてください。 誠さんと竜二さんとそして作者様とそ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ