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【完結】2度愛された女  作者: ぺこりーの
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銃弾

これまでのあらすじ



華は竜二が前世では誠という名前だったことを明かした。



そして華は女優であったこと。


誠が新聞記者であったことなども・・・・



住む世界が違う二人がどうやって知り合ったのか。


また誠と華が一緒に脱走したことなども話す華。



そして若くして死んだ誠の死の理由は・・・・・



生き残った華のその後の人生とは・・・・




華は誠の強い口調に抗えず、貨物船に向かって走った。


涙で前がよく見えない。


しかし貨物船からは絶えず水蒸気が吹き上がる音がしていた。




華はその音を頼りに涙も拭かずにひたすら走った。


後ろを振り向いたら走れなくなると華は思った。





『誠・・・・・・・・・・・


どうか命だけは助かって・・・・』





その時誠は、大量の警察車両と一人で対峙していた。


ジリジリと警察車両が近づいてくる。




しかし警察の目的は華だ。


ここで俺を捕まえたらすぐに華の後を追うだろう。





そうなれば俺も華も二人とも留置所行きだ。


それだけはなんとか阻止しなければ・・・・



誠はそう思った。




その時、1台の車両のドアが開いた。


ゆっくりと長身の男が警察車両から降りてくる。




黒田寛次郎だった。


いかつい顔をさらにしかめて鬼の形相となっている。



黒田は胸ポケットからタバコを1本取り出すとライターで火をつけた。


この時代の喫煙率は恐ろしく高い。


なんせ国がタバコを売っていたくらいだから・・・




しかもどこでタバコを吸おうが自由。


道路は灰皿。


タバコのヤニ落とし専用歯磨きが売られていたくらいだ。



今考えると恐ろしい時代だった。




黒田は誠に声をかけた。


低く腹の底から響くような声だった。




『おい、荒川。


お前は荒川頼三の息子だろ。


財閥の子供がなぜこんなことをやっているんだ。』





誠は黒田の問いかけに答えない。


誠は黒田の顔は知っていたが、署内で話をしたことはなかった。


それにうっかり荒川財閥のことを話して、親父をこの事件に巻き込ませたくない。





『答えないならいい。


どっちみちお前たちはもう袋のネズミだ。


あとでゆっくり警察署で話を聞いてやる。』




そう言うと黒田は、部下の一人にこう指示をした。




『お前たちは女を追え!


なんとしてでも貨物船に乗る前に捕まえるんだ!


貨物船の中はアメリカだ。


貨物船に乗り込まれたらもうどうしようもない。』




そうだ。


日本は戦争でアメリカに負けた。


アメリカ船籍の貨物船の中はアメリカなのである。


たとえ事件の容疑者だろうがなんだろうが、貨物船の中に逃げ込まれたら日本の警察はどうすることもできないのだ。




なんとかその前に華を捕まえなければ・・・・・・



黒田は今度失敗したら、間違いなく署長からクビにされると焦っていた。




黒田から指示を受けた部下の警察車両数台が、華の方へと動き出す。



誠はちらっと華の方を見た


華は貨物船に近づいてはいたが、さすがに車ならすぐに追いつかれる距離だ。




誠は咄嗟に考えた。


そしてすばやく内ポケットに手を突っ込むと、黒田に向かってこう言い放った。




『車を停めろ!!


俺の内ポケットには銃がある。


車が停まらないなら俺はお前を銃で撃つ!!』




誠の言葉を聞いて、警察官たちが一斉に腰を低くして身構えた。


黒田も一瞬怯む。




本当にあいつが銃を持っているのか?・・・・・・


黒田は誠が銃を持っていることを疑っていた。


しかし万が一銃を持っていたら・・・・・




黒田は一番近くにいた部下に何かを指示する。


その部下は警察無線で華の方へ向かった警察車両へ、一旦車を停めて待つように指示をした。




華を追いかけようとしていた車両は静かに停まった。





そのときだった!


1台の警察車両ではない車が猛スピードで華の方へ走り出した。


その車を運転していたのは誠に鼻を折られた新聞記者の畠山だった。




物陰で様子をじっと見ていた畠山は、警察車両が動かないのにじれて自ら車を発進させ華を捕まえようと華の方へ向かったのだった。




『しまった!!』



誠が叫ぶ。




誠は一瞬どうするか考えた。


そしていきなり誠は内ポケットから銃を抜く仕草をしてみせた。




パーン!


パン、パン、パーン!




4発の銃声が一斉に鳴り響いた。




銃声にビクッと体を震わせ華は立ち止まった。



華の方へ車を走らせていた畠山も銃声に驚いて車を停める。



そこにいた全員が銃声の方を見た。






銃弾を浴びて倒れていたのは誠だった。



誠の右手には何も握られていない。


誠は最初から銃など持っていなかったのだ。




一方、黒田をはじめ4人の警察官が銃を手にしていた。


この4人が誠に向けて銃を発射したのだ。




華はその様子を遠くから見て膝から崩れ落ちた。


華がいるところからは、誠が生きているのか死んでいるのかはわからない。



しかし誠はピクリとも動かなかった。






『誠!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・』





『死んじゃ嫌だ・・・・・』




華も畠山も警察も誰一人その場から動けなかった。





貨物船のタービンの音がより一層激しく鳴り響き出した。







ラスト6話!!

明日は『出航』へと続きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 緊迫感のあるシーン。 一気にクライマックスですね! 華さん、早く、早く、 貨物船まで走ってーーー。 c(`・ω´・ c)っ≡つ ババババ
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