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【完結】2度愛された女  作者: ぺこりーの
18/28

貨物船

これまでのあらすじ



華は竜二が前世では誠という名前だったことを明かした。



そして華は女優であったこと。


誠が新聞記者であったことなども・・・・



住む世界が違う二人がどうやって知り合ったのか。


また誠と華が一緒に脱走したことなども話す華。



そして若くして死んだ誠の死の理由は・・・・・



生き残った華のその後の人生とは・・・・




貨物船の巨大な船体の横には長い長い階段があった。


その階段を船員や荷物を運ぶ港湾労働者たちが忙しく昇り降りしている。



いよいよ出航が間近のようだ。


しかし誠たちが貨物船に乗り終えるまでは船は動かない。


そう船長と約束をしてある。




船長はアメリカ人。


実はその船長は誠の父の友人だった。


船乗りだったこの友人は、しょっちゅう日本にやってきては誠の家に遊びにきていた。


誠が幼い頃から誠のことをよく可愛がってくれていた。



そんな長い付き合いだから、今回の脱走・亡命という危ないことも引き受けてくれたのだ。




船長の名前はロバート・ロックウェル。


何を隠そう、あの世界的に有名な画家ノーマン・ロックウェルの実の兄だ。




そしてそのロバートは、映画スターの華のこともよく知っていた。


ロバートは、ハリウッド映画に出ていた華の映画を何度もアメリカで見ていた。



ロバートの親友の息子である誠と、自分が何度も映画で見た華が付き合っていると誠から聞いて、ロバートは天地がひっくり返るほど驚いた。



『オーマイガー!!!


マコト!ジジツハショウセツヨリモキナリネ!』



外人のくせに難しい言葉知ってやがる。


しかもショウセツヨリモ・・・ってこれ小説だし。




ロバートは出航時間が迫るなか、船員たちに出航は少し遅れるだろうと事前にアナウンスしていた。



ロバートは実は胸騒ぎがしていたのだ。


誠と華がうまく警察の目を盗んで果たして貨物船まで辿り着けるのか・・・


貨物船の甲板から見ても、遠くでパトカーがひっきりなしに走っているのが見て取れる。




その様子を見ながらロバートはつぶやいた。



『ナカナカイチロジュンプウトイウワケニハイカナイ』



一路順風?


お前、本当に外人か!!


日本人でもそんな4文字熟語知らないぞ。




その頃、誠は4本目のタバコに火をつけていた。


華が貨物船に行くためには、必ずこのコンテナの横を通らねばならなかった。


しかしまだ華の姿は見えない。




警察はまさか誠たちが貨物船で逃げるとは思っていないのだろう。


だからこのあたりを通るパトカーはいなかった。




『遅い・・・・・・・』



『まさか警察に捕まってしまったか。


嫌な予感が誠の頭をよぎる。』




その時だった!


目の前を華が大きなスーツケースを引きながら走り抜けたのだ。




慌てて誠が呼び止める。



『華!ここだ!』



誠は声を押し殺してごく小さな声ではあったが、確実に華の耳に届くように叫んでいた。



その声に気づいた華は、一目散に誠の方にやって来た。




『遅かったな。


大丈夫だったか?』




と聞く誠に華は・・・




『友人に匿ってもらっていたの。


でも、そこら中に警察がいるからなかなか出られなくて・・・』



二人は短く言葉を交わすと、まるで何日も会えなかったかのように激しく唇を重ねた。


生きていることを確かめるようにお互いの体をしっかりと抱きしめながら。




そして誠が口を開く。



『よし貨物船に急ごう!』



華も短く『うん!』と答える。




暗闇でよく見えなかったが、誠は華が真っ赤なハットをかぶっていることに気がついた。


きっと顔を隠すためにかぶってきたのだろう。




帽子のつばが広く波打っている。


世間で女優帽と言われている帽子だ。



透き通るような白い顔にその赤い帽子がよく似合っていた。



誠は華の手を引いて走りながら、帽子のつばが揺れるのを見て思った。




何かの花に似ている。







明日は『警部補黒田寛次郎』に続きます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんな時にも赤い帽子なんて、華さんは女優魂のかたまりですね。 スーツケースの中にも豪華なドレスがいっぱい (〃^∇^)o_彡☆ [一言] もう少し竜二さんの寿命を延ばしてください。
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