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パズルのピースはハマらない!  作者: 湯呑み茶碗
第二章の様なもの
35/43

piece.34 変装と鍵の在処

 挨。

 メインヒロインのRX-F型、愛称アルフです。

 体の至る所が機械である私たち機人族ですが、他種族と子をなす事が出来るのかどうか。

 それがチウ様との勝負の分かれ目になりそうですね。⋯⋯え? 選ぶのはソーマ様?

 ⋯⋯嘲。当方、あんなまな板ボディに負ける様なスペックはしておりませんので。


********************


「解。心が⋯⋯いえ、胸、が痛いですが。必要ですね」

「おいなんでわざわざ言い直して胸を強調した」

「嘲。他意はありません」


 フイっと顔を背けるアルフさんを睨み付ける。確かにパッと変えることができる身体的特徴はそれぐらいだろうけども⋯⋯何だか納得できない。


「悩。ですが、一番目に止まるのはその手錠ですね」

「こればっかりは⋯⋯あ!」


 私は後ろ手に縛られた状態から、手錠をまたぎ前へ持ってくる。


「これで肘まで覆う何かがあればどうにかごまかせないでしょうか」

「解。身体が柔らかいのですね。それであればこの服の袖で隠せると思います」

「ありがとうございます⋯⋯ってなんで私は全裸から服を渡されているのでしょう」


 緊急事態とはいえ服は着ましょう服は。時には全裸で駆け出さなければ⋯⋯いけない場面が来たら私は大人しく射殺されます。


「解。勿論着ます。私は痴女ではありませんので」


 そう言ってサラシを胸に巻き付け始めるアルフさん。

 ⋯⋯ナニヲヤッテイルンデスカ?


「なにをやっているんですか?」

「解。私はこの豊満な胸部が目立ってしまうため、少しでも見た目に差をつけようと、豊満な胸部にサラシを巻いているのです」

「二回も言わなくていいです!」


 くっそこの巨乳が⋯⋯! と思いつつも私も準備を⋯⋯準備⋯⋯を?

 あれ? この腕じゃ耳飾りをつけるどころか服も着れないし、ぱ、パッドも入れられなくない?


「あ、あのアルフさん」

「存。皆まで言わないでくださいませ。私が耳飾りも服も、偽乳、もやってあげますから」

「ほんと喧嘩売ってますよね!? え? 貧乳に何か恨みでもあるんですか?」

「ピーガガガ⋯⋯エラーエラー⋯⋯っとすみません、今何か仰りましたでしょうか?」


 私は今ここにいる事を激しく後悔しております。

 ソーマ君、帰る人数が2人から1人になっても問題ないでしょうか。

 そんな事を考えているうちに、アルフさん(美乳)が出来上がり、私用のパッドを持ち近づいてくる。


「くそぅ⋯⋯アレだけ潰しているのにそんなに余るのか⋯⋯ってなんでジリジリ近づいてくるんですか!」

「照。他の女性の乳房に触るなんて初めてで⋯⋯ドキドキします」

「手つきがやらしい!!」


 腕を縛られている私に抵抗の術はなく、大人しく服と耳飾り、パッドを付けられるのであった。


*****場面遷移*****


 金髪美乳になったアルフさんと、金髪偽乳機人族となった私。なんだこの格差は⋯⋯。

 とと、そんな事⋯⋯どうでも良くないけど置いといて!


「さて、と。それではさっさとここから出て、手錠の鍵を探しましょうか」

「解。チウ様の偽乳に予想以上に時間がかかりました」


 もう私はツッコまない、ツッコミませんよぉ


「とりあえず出口まで案内をお願いします」

「解。わかりました」


 部屋から出て出口へ向かうアルフさんの後について歩く。


「それなりに時間をかけてしまいましたが、追っては大丈夫でしょうか」

「解。まさかこれだけ時間をかけてまだ中にいるとは思わないでしょう」

「うーん⋯⋯だと良いんですが」


 話しながら出口へ向かって歩いていると、質素なドアが目に入る。


「告。到着です。裏口から出ましょう」

「一応外をチラッと確認してから出たほうがいいですね」

「解。そうですね」


 アルフさんがドアを少しずつ開き、外を確認する。

 振り向いて頷き外へ出るアルフさんに続き、建物の外へ踏み出す。

 ドアから出た場所は細い路地の様だった。

 路地に中で見つかったら逃げ場がないため、ササっと移動を始める。


「疑。変装もしているのであまりこそこそしないほうが良いでしょうか?」

「そうですね、堂々と⋯⋯と言いたいところですが、どんな視点から変装がバレるかわかりません。なるべく人気のない道を、かつ普段通りに歩きましょう」

「承。それではチウ様、私の腕に抱きついて歩いて下さい」

「あ、手錠の違和感を薄めるためですね」


 アルフさんの腕を取り、手錠が周囲からなるべく見えない様に、服と体でうまく隠す。

 

「それでは行きましょう!」

「解。あ、チウ様は私の妹という事でお願いします」

「要ります? その設定」

「解。設定は大事です。忘れ去られつつある私のギャル設定だってどこかできっと復活します」


 何言っているのでしょうかこの機人族さんは。


「⋯⋯はぁ。わかりました」


 呆れた様に頷く私に満足そうにうんうんと頷く。

 なんだかなぁ、と思いつつも路地を歩いて進む。


「ところでこの手錠の鍵ですが、同じものが複数あるものだと思っていたのですが、あってますか?」

「解。その通りでございます。警備員の詰所に一つ、王が一つ持っているはずです」

「それであれば一番は詰所のものを拝借するのが良いですね」

「解。この街の入り口にある、警備員の詰所ですね」

「うーん⋯⋯中にいる人を外に出さないと取れそうにないですね⋯⋯」


 問題はどうやって外におびき出すか⋯⋯。というよりも、そう言った話であればおそらく⋯⋯。


「アルフさん、気づいてますか?」

「解。見くびらないでください。私とて話をしている最中にその可能性は考えておりました」


 最も高い確率でそうなるであろうとも、と続けて口に出すアルフさん。

 肝心の内容を口に出さずに私たち2人はなお歩く、街の入り口へ向けて。

 内容自体はとても簡単でシンプルな予想。私が手錠をしている以上、避けては通れぬその問題。路地から広い通りへ出る曲がり角から、入り口付近を確認してみると、やはりというべきか。

 詰所の前にはアルフの父、鎧の機人族が仁王立ちしていた。


「解。高い確率の悪い予測が見事的中してしまいましたね」

「甘くはないですよね。探す手間も省けるし、網を張って待っているだけで良いのであれば、これが相手の最善手ですよね」


 私かアルフさん、どちらか一方が捕まってもダメ。鎧に対応しつつ、詰所の中身を空っぽに⋯⋯結構無茶苦茶です。

 せめてソーマ君⋯⋯いや、何かもう一手有れば⋯⋯なんて都合が良いことは考えるだけ無駄ですね。


「提。私が詰所に行き、あわよくば鍵の奪取、最低限でも囮になります」

「気付かれなければ鍵を、気付かれた場合は囮⋯⋯でも機人族の特性上、普段出歩いている事なんてないですよね? すぐバレるんじゃ⋯⋯」

「解。管理している機械に不調が起きた事にすれば良いでしょう。人手が必要だと言って警備員を連れ出します」

「守るべき貴女を頼らなければならない⋯⋯悔しいですが、お願いします」


 歯がみしながらそう告げると、アルフさんは微笑むを浮かべる。


「解。私はチウ様に仲間として頼られて嬉しいです。ただの護衛対象ではなく、ちゃんと協力し合えている事実がとても⋯⋯」

「アルフさん⋯⋯はい! それではお願いします!」

「解。それでは行って参り「警!! 侵入者発見! 周囲で対応可能なものを集めろ!!」⋯⋯え?」


 私とアルフさんは機人族の怒声に近い叫びにビクッと体を震わせたのち、自分たちに対するものではないと理解し、詰所方向を盗み見ると。


「い、いえいえ! 侵入なんてとんでもない! 俺はただの行商人としてここにきただけなんですよ!」


 両腕を前に突き出し、両手を振りながらそう言う人物は、私のヒーロー、ソーマ君でした。

会話部が楽しくて先に進まねえってばよ

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