piece.25 図書館とボイン
こんにちは!
もっとキャラ立ってた方がいいかなと最近思うチウです!
金髪と魔法使いだけじゃキャラが弱いと思うんですよね
脳筋? 貧乳? おーけー、今言ったやつ表出ろ
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「いえ、結構です」
右手を差し出す自称ギルドマスターに俺は素っ気なく言い放ち、受付へ向かう。
チウはチウでやり取りをあわあわしながら見ている。
「え、いや、結構とかそういうんじゃないんだけど」
「うるせーな、開幕ギルドマスターと出会すなんて、悪い予感しかしねえよ」
チウがせっかく潰したテンプレにハマってたまるか。
「ギルドで何か発生からのメインストーリー開始なんて、使い古されてる上に第一章でやってんだよ。俺たちは路頭に迷った呪い憑きがいねーか聞きにきただけだ、さっさと教えろコラ」
「ソーマ君、言ってる意味がわかりませんし、やたら早口で捲し立てるからこの人固まってますよ」
「良いんだよ、こうやって変なこと言い出す前に止めとけば面倒ごとに巻き込まれることもないだろ」
そう適当にあしらいつつ、回答を待つこともなく受付へ向かう。
「ちょっちょっちょっ! あれ? 僕ギルドマスターだよね? この扱い? あれ?」
「あ、再起動しましたよ」
「ちっ」
「今舌打ちしたね!? 君らを暴行罪でしょっ引いても良いんだよ!?」
「あ、やるならこの娘だけにしてください。俺関係ないんで」
「即答っ!? 少しは庇うそぶりとかあっても良いんじゃないですか!?」
あーもう、めんどくせ、収集つかなくなってきやがった。
「で? 何だよ王都ギルドマスター。なんかあんのかよ王都ギルドマスター」
「さりげなく馬鹿にしてるね? ⋯⋯ゴホン! いやまあ、特に用という用は無いんだけどね」
「はーい場面遷移場面遷移」
*****場面「ちょっ待って! やっぱり用あるんで聞いてもらって良いかな!?」
「初めてっすよ場面遷移に割り込んだ登場人物」
「流石王都ギルドマスターさんですね」
「話を進めてもいいかなぁ!?」
「あ、はいどうぞ」
そうしてギルドマスターから他愛もない話を聞いた俺た「だから話をさせろって言ってんの!」
「初めてっすよモノローグに割り込んだ登場人物」
「流石王都ギルドマスターですね」
「もうこの流れいいだろ!? 話すからね!?」
顔を真っ赤にしてツッコミ続けるギルドマスターに若干好感を持ってしまったので、少し話を聞くことに。
「君たちは呪い憑きを探している⋯⋯そうだね?」
「厳密には行き場のない呪い憑きをだな、現状幸せなら俺らがとやかくいう必要ないし」
「うーむ⋯⋯ならば人族の王に謁見してみるのはどうだろう」
「王様ですか!? 何で呪い憑きから王様に繋がるんですか?」
突飛なワードに驚き理由を訊ねるチウ。俺としても王に会ったところで何か活動に利があるとは思えないが。
「いや、王主導で各国に君たちの名前を広めて頂き、活動しやすくしてはどうか⋯⋯とね」
「あーなるほどね。いやでもCランクの冒険者程度が話を聞いてもらうどころか、頼みなんて聞いてもらえないと思うんだが」
「そこはあの街、ビギナックを救った英雄としての功績が使えるんじゃないかな?」
あの街ビギナックって言うのかよ。[ビギナックは真っ白 始まりの色]みたいな看板なかったぞ。というかもっと別にあったろ、初心者冒険者の街アク○ルとか。
「つってもな、俺はお偉いさんに対する礼儀やら何やらなんてねえぞ?」
営業先やら現場先にはペコペコしてたけどな!
「そこも大丈夫。いきなり首をギュっとしたり、脳天かち割ったりしなければ、話し言葉ぐらいは許容してくれるよ」
「だとよ、気を付けろよ暴力娘」
「王様にはそんな事しません!」
どうかなースイッチ入ったら誰にでもやりそうだけどなー。
俺は必死な顔で訴えるチウを訝しげな目で見てから、視線をギルドマスターへ移す。
「それにしたって寛容な王様だな」
「いや、これは功績あっての謁見かつ許容だね。ただの冒険者が失礼なんて働いたらコレだよこれ」
そう言いながらサムズアップの親指で首を切るモーション。おそらく地球的な意味じゃなく、リアルにそうされるんだろうな。
「え、ソーマ君王様に会うんですか?」
「あー⋯⋯まあ。ここまで場が整っていて、利が見えてるなら一応な」
「じゃ、じゃあ私は留守番してますね!」
苦笑いしながらそう言うチウ。
まあ俺としても爆弾抱えて謁見なんてしたくないし、別に構わないんだが。
「いいのか? 多分二度とない機会だぞ?」
「私多分緊張して変な事しちゃうかもしれないので⋯⋯」
「まあ、そう言うなら⋯⋯」
まあ王様の首をギュッとされるのも、ドタマかち割られるのも勘弁だし、いいけどさ。
「じゃあ謁見するのは君⋯⋯ソーマ君一人でいいかな?」
「ああ⋯⋯ってアンタが執りなしてくれるのか?」
「まあ提案した手前ね。日時は⋯⋯後日また来てくれるかな?」
「わかった。じゃあ頼んだわ」
俺たちはギルドマスターに軽く頭を下げ、Uターンしてギルドから出る。
その足で図書館へ向かおうとすると、不意にチウが俺に問う。
「図書館で何をするんですか?」
「あの街、ビギナックだっけ? あそこでも調べたんだが、一応呪い憑きの発祥とか、初代とか、そこら辺の諸々の情報が知れたらなと」
「でもでも、それって解決に結びつくのでしょうか?」
「わからん。だが知らないよりは知っときたい。無知は罪だ、という言葉もあるぐらいだしな」
「ほー? なるほど?」
聞き覚えがない様で、首を傾げるチウ。地球の偉人の言葉だし知らんよね。
そんな話をしながらも、やってきました図書館。
「でけえ」
「でっかいですねぇ」
かなりの大きさに足が止まる俺たち。例えるならば東○ドーム⋯⋯やめよ、○京ドームの大きさよくわからんし、言われた方もわかんねえだろ。
「とにかく中に入るか⋯⋯」
「そうですね!」
チウは割とあっさり、俺は若干気が引けつつも中へ入り、司書さんを探す。
「あ、あの人って」
「ん? 変わった耳飾りだな⋯⋯ってかあれ耳聞こえてんのか?」
司書さんの代わりに見つけたのは、スタイルの良い黒髪の女性、耳に異様な大きさの装飾をつけている。
耳の様に伸びる無機物は、ヘッドフォンの様にも見え⋯⋯待て。地球であんなん見た事ある気がするぞ。
「ソーマ君、あの方は恐らく機人族の方ですよ」
やっぱりあれメカミミだ! うお初めて見た! いや当たり前なんだけどさ!
極めて冷静に、声を荒げず返す。前科があるからな。
「キジンゾク? ⋯⋯ああ、機械の人って事か」
「解。その通りです」
俺たちの声が聞こえたのか、女性がこちらへ近付き、そう答える。
「ああ、すまん。読書の邪魔をするつもりはなかったんだが」
「否。気になさらないでください」
「そうか? ならいいんだが」
「えーっと⋯⋯機人族さんは⋯⋯」
「提。私のことは、RX-F型とお呼び下さい」
「むしろ呼びづらいわ!!」
俺のツッコミにシュンとしてしまう女性。しまった、つい身内のノリに対するツッコミを⋯⋯。
せっかく提案してくれたってのに、否定だけってのはあんまりだよな。
「悲。せっかくカッコいい名乗りをしたのに、その返しはあんまりです」
「いや、そこかよ」
「ず、随分ユニークな方なんですね」
チウが若干引きつつそう言う。ユニークって事は他の機人族はこんな感じじゃないって事か?
「というと?」
「えーっと、機人族の皆さんは、良く言うとクールな方が多いと聞いてましたので」
「悪く言うと?」
「解。感情がないとよく言われますね」
「あー⋯⋯なんかすまん」
「否。気になさらず」
確かに、見た目だけは超クールビューティだな。これで淡々と受け応えをしていたら⋯⋯うーん、ちょっと寂しいかな。
「じゃあ君⋯⋯あーっと⋯⋯」
RX-F型⋯⋯呼びづらいな。
「さっきのはおふざけじゃなくて本当に名前がRX-F型なのか?」
「解。名前ではなく、型番です」
「じゃあアールエックスさんはお名前が無いんですか?」
「疑。名前というのは型番とは違うのでしょうか」
そう言われると型番って、人間で言う名前⋯⋯になるのか? でも製造番号とは違うんだよな?
「うーん⋯⋯多分? 俺的には製造番号とかその個体しか持たないもの⋯⋯だと名前ではないか」
佐藤やら鈴木やら、同姓同名が存在するしな。製造番号とは違うか。
「問。名前は無いと困るのですか?」
「そりゃ個体を判別できんしな」
「はー、確かに」
「あれ? 今アールエックスさん普通にしゃべって?」
「否。聞き間違いです」
おい、嫌な予感がしてきたぞ。
「⋯⋯呼びづらいから、あだ名みたいになるが、アールエックスエフからアルフって呼んでもいいか?」
「それだとエックス要素なく無いですか?」
「あだ名だから良いんだよ。で、どうだ?」
「⋯⋯がる」
「なんて?」
ボソッと呟いたアルフ(仮)の声が聞き取れず、聞き返してみると。
「あがる!」
「「えっ」」
「あだ名とかマヂあがる↑↑ 今まで無かったからチョ→嬉しいんですけど!!」
あーやべえのきた。
いい歳したおっさんがギャル語とか理解できるわけないのに、なんでこんなキャラが爆誕してしまったのか
絶対コレジャナイ感出るからな!!