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パズルのピースはハマらない!  作者: 湯呑み茶碗
第一章 最初の町と脳筋と魔法使い
13/43

piece.13 チウと呪い

 やあ

 忘れてたわけじゃないよ? 田中というなのソーマです。

 この世界、呪い憑きには厳しくないですかね。


 呪い憑きなんですよ? という彼女は続けて語る。


「私は魔法が使えない⋯⋯いえ、使っても意味がないんです」


 俺は魔法使いという職業について考えていた。

 一般的な魔法使いは体内の魔力を使い、色々な属性の超常現象を引き起こす。そういう認識だが、彼女がいった意味がないというのはどういうことなのだろうか。


「魔法の持続時間消失⋯⋯だの」

「流石にギルドマスターさんはご存知ですよね」


 困ったように笑う彼女は、爺さんのいう言葉にその通りと頷き肯定する。


「魔法の持続時間消失?」

「はい。その名の通りで、例えば⋯⋯」


 そう言い両手を祈るように組み交わし、しばし目を閉じる。

 ゆっくりと目を開き、彼女が発する。


「いきます。“ストーンエッジ”」


 彼女がそういうと俺たちの間に小さな石が生成され、すぐに机の上に落ちる。

 彼女は石を手に取ると俺に対し語る。


「“ストーンエッジ”は地の初級魔法で、狙った空間に石を生成し飛ばす魔法です」


 ですが、持続時間がないせいでこの通り。と石を見せながら笑う。


「作るまでは良いんですが、その後の飛ばすまで魔法が続かないんです」


 ここで魔法について整理しよう。彼女のいう魔法を俺なりにわかりやすく整理するとこうだ。


 ステップ1 石を生成

 ステップ2 石を射出


 このステップ1、2がセットになっているレシピのようなものに魔力を込めると、この場合“ストーンエッジ”が発動する。

 発動後はレシピ通りに上から順に実行されていくが、彼女の場合持続時間が消失する関係で、ステップ2まで魔法が持続せず、石の生成で魔法が終わってしまうみたいだ。

 中々に厄介⋯⋯いや、魔法使いとしては致命傷なのではなかろうか。


「なるほどな⋯⋯だから、前衛になるって言ったのか」

「はい。私は魔法使いであって魔法使いであることを否定された存在ですから」


 ヤダなんかかっこいい⋯⋯って不謹慎なことを言っている場合じゃないな。


「その持続時間消失は、すべての魔法に適用されてしまうのか?」

「少なくとも今私が使える、火・風・地及び補助の類は全て影響を受けますね」

「ふむ⋯⋯爺さん」

「何だの?」

「魔法を紙に付与して使用する技術⋯⋯なんてのはあるのか?」

「スクロールかの? あるにはあるがそれがどうし⋯⋯ぬ? なるほど」


 流石ギルドマスターと言ったところか。皆まで聞かずに俺の考える可能性を読み取ったらしい。


「スクロールがどうかしたんですか?」

「いや、スクロールを使用した場合は、持続時間消失は働くのかとな」

「⋯⋯盲点でした」

「まあ、自分で魔法が使用できるのにわざわざスクロールを使用する意味があるか⋯⋯まあ使い勝手によってはあると思うけどな」

「スクロールは魔力を込めるだけで即発動するの。なので普通に魔法を使うより早いの。そういう意味では複数ストックして持ち歩く冒険者は多いの」

「なるほど⋯⋯爺さん今すぐここで使えそうなスクロールはないか?」

「うーん⋯⋯あ、これがあったの」


 爺さんが5cm四方程度の正方形の紙を渡してくる。紙にはいわゆる魔法陣が描かれている。


「これがスクロールか?」

「だの。簡単な魔法だとこれぐらいのサイズで、規模や質が大きくなればなるほど大きく細かくなるの」


 王都なんかは壁一面に魔物避けの魔法陣が書いてあったりするの、と付け足す爺さん。やべえな王都、一回見てみたいな。

 俺はそれをチウに渡し、使用を促す。


「ほい。チウ使ってみな」

「わかりました! これって何が発動するんですか?」

「小さな光の玉を出すやつだの。照明代わりで使用されることが多い魔法だの」

「殺傷性能はないんだな」

「そりゃこんな室内で使う魔法だの。そんなものは渡さないの」


 そりゃそうか。と思いチウへ目を向ける。

 目が合った彼女は一度頷きスクロールへ目を向ける。


「⋯⋯よし。いきます! スクロール発動!」


 そうチウが口にすると、眩い光の玉が出現し辺りを照らす⋯⋯が。


「あっ」


 出現した光玉は一瞬で消え去ってしまう。


「⋯⋯ダメだったか」

「うーん⋯⋯私の魔力、いえ、発動したのが私だとダメなんでしょうか?」

「どちらにせよ、スクロールはダメだな」

「残念だったの」


 一度使用されたスクロールは白紙となるようで、白紙になったスクロールをチウから受け取り、爺さんに渡す。


「やっぱり私はダメダメですね〜」


 そう自虐する彼女は悲しいような困ったようなそんなのがこもった笑いを浮かべていた。


「チウが悪いわけじゃないだろ。それに⋯⋯」

「それに?」

「どうやら俺はお前がまだ魔法使いできる未来が見えてるぜ?」


 俺のその言葉にチウも爺さんも驚愕の表情を浮かべる。


「そ、それは、どういうことだの?」

「おっとこれ以上は企業秘密⋯⋯もとい呪い憑きが戦うための術だからな。俺のスキルだって詳細は話してないだろ?」

「確かにそうだの⋯⋯」

「ソーマ君ソーマ君」

「ん? どうしたチウ」

「ホントに私魔法使い出来るの?」


 チウが不安と期待の混じった顔で俺を見つめる。

 俺は目を逸らさず、じっとチウを見つめ返し告げる。


「ああ! お前は俺が立派かどうかはわからないが魔法使いにしてやる!」

「一抹の不安が胸を過りますぅぅぅ!?」

なんかアレね

爺さんの喋り方が適当すぎて変に特徴ついちゃってるね

作中で最もわかりやすいキャラが爆誕した

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