第94話 不死の大魔術師
古城の主は『暁の翼』団長のアルフレッド=バークスだった。
「お前、なんでそんなのになってんだよ……!」
「そんなのとは心外だな。私はこの姿をなかなか気に入ってるんだが」
「そんな骸骨の姿がいいのか?意外とお前も物好きだったんだな」
「この偉大なる姿が物好きだと……?それは愚弄と受け取っていいのか?」
「ああ、もちろん。てか、よく俺だと分かったな」
「ちっ、まあよい。私も最初は気づかんかったよ。監視はしていたが、すごく強い子供がいる程度としか思っていなかった」
監視……?死霊術師や不死族の王がそんな魔法使えたか?
「だが、魔力を解析してみたら驚いたぞ。あのツカサと同じ魔力反応だったからな。君なら生まれ変わっててもおかしくないと思ったから、カマをかけてみたんだ」
まんまと策にはまったという訳か。それにしてもこの余裕はなんだ……?
「知り合いに会うのは久しぶりで少し舞い上がってしまったけど、もう終わりだな。ツカサ、君も僕を倒しにきたんだろ?」
「ああ」
「なら、決着をつけよう。あの頃は私の惨敗だったが、今はどうか分からないぞ?」
「今も昔も変わらないさ。結局俺は俺でお前はお前だ。本質は何も変わらない」
「そう思うのは私の力を見てからにしてもらえるかな?」
「こいよ」
「ああ、いかせてもらおう。絶望の苦痛」
アルフの手から無数の針が放たれる。
「避けろ、クレア!!」
クレアはポカンとしている。俺の声が聞こえてないみたいだ。俺は全力で走ってクレアを突き飛ばす。
「きゃっ!!」
なんとかクレアに攻撃が当たることは免れたが、俺は肩と背中にくらってしまった。
「くっ……」
針が当たった場所からどんどん痛みが広がる。しかも魔力まで減っているように感じた。
「ご、ごめんなさい!!私のせいで……」
クレアは今にも泣き出しそうな顔をしている。俺はそんなクレアに対して微笑む。
「大丈夫だ、気にするな。それに対策は施してある」
俺は指定反魔法で無効化する。おそらく針は取り除けたと思う。
「まさかツカサがその子を庇うなんてな。昔の君からは想像もできないよ」
「昔って2000年前だろ?そんだけあれば人は変わるさ」
「ふーん、そうか。まあ精々楽しませてくれ。災いの雷」
雷が束となって襲いかかってくる。俺はクレアを抱き抱えて雷を避ける。だが、これは……?
「お前、なんで普通の魔法を撃てるんだよ。その姿なら撃てないのが普通だろ?」
死霊術師も不死族の王も普通の魔法は撃てない。そう決まってるはずなんだが。
「まあ普通はそうだな。だが、私は違う。あの方から特別な力を授かり、不死の大魔術師となったのだ!死をも超越した魔術師にな!!」
アルフは変わってしまった。昔はもっと誠実で真面目な男だったのに何故こんな風になってしまったのか。
俺には聞く義務がある。