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番外編:天使の思惑



 ここは地上の人間が住む世界のずっとずっと上にある世界、通称天界。ここに住むのは天使と呼ばれる。天使の仕事はあらゆる生命の輪廻転生の管理をすることだった。


「はい、次の人どーぞー」


「し、失礼します」


 この天使の業務は死んだ人間の生涯を確認して、次の転生先を決めることだった。


「うーん、君はえらく充実した生涯を送ったみたいだね。なら、次は別の動物になってもらおうかな」


 こうして彼は今日も淡々と仕事をこなしていく。充実した生活を送った者には別の生き物としての生を、苦しい生活を送った者には望んだ生を渡していた。


 彼にとって地上に住む生き物は不憫で憐れな生物だった。決められた生を送り、ある程度の自由はあるものの運命は決まっている。永遠に生きる自分たちとは正反対の位置にいた。



 そんなある日、天界に一つの緊急事態が発生する。ある世界の魂の数が他の世界と比べて少なくなってしまったのだ。なぜそれがダメかというと、世界は魂を基準にして均衡を保っているのだが、その数に差ができてしまうと魂が多い世界が少ない世界を取り込もうとするのだ。そうなると両方の世界がめちゃくちゃになってしまう。それだけは避けなくてはならない。


 なぜ魂の数に差ができてしまったのか。それはその世界の人間の多数が同じ世界に転生することを拒んだからだ。


 そうというのも、その世界には大きな階級制度があった。位の高い者は優遇され、低い者は淘汰される。平民はそれは酷い目にあったそうだ。だから、その世界の平民は同じ世界への転生を拒んだ。たとえ望んだ生でも同じ世界だけは嫌だと。天使はその望みに応えてしまった。それが数の差の原因だった。


 天使はある一つの案を考えた。それは別の世界の魂を転生させることだった。ただし転生者たちには一つの使命と力を与えて。


 こうして何とか世界は均衡を保つことが出来た。だが、(くだん)の世界に一つ問題が起きた。それは転生者の一人が授けた使命に背いたことだ。


 天使は怒りに震えた。自分は憐れな魂に対して精一杯の施しを与えたのに、その恩を仇で返すとは。天使はその魂を決して許さないと誓った。その魂の名は神城寺司。


 天使は他の転生者に新たな使命を授けた。それは神城寺司の始末。そして、もしものために自分の召喚を。


まもなく天使は召喚される。強い怒りの気持ちを持って。


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