第81話 悪魔の魔法
「はぁぁぁぁ!!」
俺は速攻で攻撃を仕掛ける。悪魔の特性上、戦いが長引くのは良くない。一瞬で決められたらいいのだが……。
「はぁ、遅いな」
悪魔は素手で俺の攻撃を殴り飛ばす。素手とはいえ、その衝撃は凄まじく、俺は軽々と壁へ吹っ飛ばされた。
「がっ……!!」
「おいおい、なかなかに期待外れだぞ?もっと私を楽しませろ」
前世では悪魔の存在を聞いたことはあるが、実際に戦ったことはない。戦ってみたいと思ってはいたが、召喚する奴もいないし、犠牲が必要となるので、俺も召喚しようとは思わなかった。
「まあ、そんな慌てんなよ。勝負はこれからだぜ?」
「なら、お前の実力を見せてみろ」
そう言って、悪魔は魔法を発動する。
「黒槍」
悪魔の手に巨大な黒い槍が現れる。
「この程度、防ぎきってみろよ?」
そして悪魔は槍を俺へと投げる。
「極光の斬撃」
光の斬撃で黒い槍を一太刀に斬り裂く。
「ほう、ならこれはどうだ?ーーー黒霧」
悪魔の周りから黒い霧が発生した。それは段々と広がり、やがて部屋全体を埋め尽くす。
体におかしなところはない。だが、この霧の恐ろしさにすぐに気付いた。
「……!? 吹き荒れる風!」
「こいつの効果に気付いたみたいだな。だが、ダメージは深いだろ?」
「黒霧」という魔法は、その効果範囲にいる生物の魔力と体力を奪う魔法みたいだ。少しなら問題はないが、戦いが長引くにつれて効果が出てくる。
「えらく嫌な攻撃をしてくるじゃないか。正々堂々と戦ったらどうだ?」
「生憎、こういう攻撃しか出来ないもんでな。まあ、さっさと死んだら楽になるぞ」
「うるせえよ……」
必死に策を練るが、いいのが思いつかない。考えてる間にも悪魔の攻撃は止むことはなく、徐々に体力が削られていった。
「……もう飽きたな。終わらせるぞーーー黒刃」
俺の二倍はある斬撃が放たれる。これを防ぐのは相当厳しいだろう。だが、この斬撃は魔法だ。
「かかったな」
「なに?」
俺に当たりかけた斬撃はクルリと反転し、悪魔へと向かっていく。
「ちっ、面倒なことを」
悪魔はもう一つの斬撃を放って相殺させる。
「どういうことだ、人間。お前、一体何をした?」
「なーに、ただ魔法を反射しただけだ」
「そんなことが出来る訳……いや、それが出来るから危険視されているのだな」
「そういうことだ」
俺は『自動魔法反射』を発動し、間一髪で悪魔の魔法を反射した。だが、正直もう反射は厳しいかもしれない。それは悪魔の特性上の理由だ。




