第78話 久しぶりの創生魔法
「その案とはなんじゃ?」
「新しい魔法を作って、その魔法で炙り出す作戦だ」
「新しい魔法って、そんな簡単に作れる訳がなかろう!」
「そ、そうじゃ!見つからんから言っとるだけじゃ!」
側近の竜たちが俺の作戦を否定してくる。まあ、創生魔法を使えば楽勝で出来るからなんて言われようと構わないんだけどな。
「鎮まれ!!」
竜神の声が響く。側近の竜たちは一斉に黙り込んだ。さすが竜神だな。
「新しい魔法か……。本当お主は昔から訳の分からんことを言いおる。だが、やってのけるんじゃろうな」
やはり竜神はちゃんと俺のことを分かってくれているみたいだ。長い付き合いだしな。
「昔から?そういや、リースくんっていつから竜神様と知り合いなの?」
感心してる場合じゃなかった。竜神の一言で俺の素性がバレそうになっている。
「そういえばそうね。リースって自分のことをあまり話してない気がするわ」
「……私たちのことも教えるから、リースも教えてよ」
(やっばぁぁ!!……これはもう話すしかないのか?)
俺が困っていると、
「すまぬが、後にしてくれ。さっそく魔法を使ってほしいんじゃ」
竜神からの助け舟が来た。元はと言えば、こんな状況になったのもこいつのせいなんだけどな。
「じゃあさっそく始めるぞ」
俺は創生魔法で新たな魔法を作る。作ったのは探知魔法の派生版なので、『探知魔法・改』と名付けた。普通の探知魔法より効果範囲を広げて、さらに探したいものを特定しやすくしてある。今回は人間の魔力だ。
俺は『探知魔法・改』を発動する。そして人間の魔力を探す。この近辺から範囲ギリギリまで、さらに上空から地下まで全てを調べ、見つけた。
「見つけたぞ。ここから南に30kmの地下だ。今も何人かいる」
「さすがじゃな。……ヴォルニクス、送ってやれ」
「かしこまりました。リースたち、行くぞ」
俺たちはヴォルニクスに乗り、敵の潜伏場所へと向かった。ヴォルニクスはとても速いので、30kmはあっという間だ。
「ヴォルニクス、ここら辺だ!」
ヴォルニクスは急降下をする。すると、真下に人を見つけた。
「ん?な!竜だと!?」
そいつはヴォルニクスに気づいたが、もう遅い。ヴォルニクスが勢いのままに踏み潰す。足は直撃していないので、死んではいない。だが、身動きも取れない。
俺はヴォルニクスから降り、話しかける。
「おい、潜伏場所の入り口はどこだ?」
「は?言うわけねーだろ。って、いてててて!!!やめろ!言う!言うから!」
ヴォルニクスが強く踏んでくれたおかげでうまくいったみたいだ。
「その木の真下に穴がある。そこからアジトには入れるぞ」
(ふむふむ、これは嘘だな)
俺は読心魔法を発動し、心を読んだ。そしたら、全然違う入り口が浮かんでいたのが分かった。俺を騙したいなら考えないようにしないとな。
「みんな、こっちだ!」
俺は読心魔法で聞いた入り口へと向かう。
「な、なぜそっちが本物だと!?」
「俺のことは騙せねーよ」
そして俺たちはアジトへと侵入する。ヴォルニクスは入り口の前で待機だ。
侵入すると、そこには王城を襲撃した奴らと同じ格好をしていた。どうやら今回の黒幕はサトゥルヌスみたいだな。
「な、貴様はリース=グレイアス!やはり来たか!だが、邪魔はさせんぞぉ!!」
俺たちとサトゥルヌスの戦闘が始まった。