第77話 里を散策してみよう
更新が遅れています。
申し訳ありません!!
俺たちは調査を兼ねて、竜の里を見て回ることにした。
調査といっても魔力反応を探知するだけなので、作業自体は難しくない。人間と竜の魔力反応は大きく異なるため、俺たち以外の人間の魔力反応があれば犯人確定だ。
だが、これは相手も同じことだ。相手も『完全支配』で竜を操るぐらいなので、竜のことは調べてるはずだ。なら、魔力反応のことも知っているはず。俺たちが竜の里に入ってきたことはバレているかもしれない。
俺はそのことを頭に置きつつ、里の様子を眺めていた。
竜の家は、家というよりかは洞穴だった。山の斜面をくり抜いて作られているため、大きさも形もバラバラだ。
この感じは昔に来た時と何も変化はなかった。
そういえばと思い、俺はヴォルニクスに一つ尋ねた。
「なあ、ここ何百年かで人間の世界に異変を感じたことはなかったか?」
竜の寿命は人間よりも遥かに長い。もしかしたら、俺たちの世界に起きたことも知っているかもしれないと考えたのだ。
「そうじゃなぁ。……すまんが、なにぶん関わりがなくての。役には立てなさそうじゃ」
「そうか。分かった、ありがとな」
収穫はなかったな。まあ、人間と竜は関わらないようにしてるし、仕方がないか。
「後で竜神様にも聞いておこうか?」
どうやらヴォルニクスは気を遣ってくれたみたいだ。
「そうか。じゃあ頼むよ」
せっかくの好意だ。無碍にするわけにはいかない。
俺がそう答えると、
「そうかそうか。わしに任しておけば何も問題はないぞ?」
ヴォルニクスは自慢げにそう言った。俺に頼られたのがそんなに嬉しかったのかな?
「ねえねえ!リースくん!あそこ見て!!」
少し離れた場所にいたステラがそう言ってきた。
ステラが指す場所を見ると、竜同士が喧嘩をしている場面だった。
「おーおー、またやっておるのぉ。……ああ、心配しないでくれ。日常茶飯事だからの」
あれが、か?竜同士の喧嘩というのは大分迫力がある。なんというか、殺し合いをしているみたいだ。
「放っておいても大丈夫なのか?」
「まあ、直に収まるよ。気にしないでくれ」
うーん、気にしないのは無理だと思うが、まあ無視しておこう。
その後も俺たちは竜の里を見回る。竜の中にはフレンドリーに来る奴もいるが、そいつらは大体上から目線で話しかけてきて、少しイラっとした。人間のことをみくびっているみたいだ。
一通り見回りを終えた俺たちは竜神の元へと戻った。
「どうじゃった、何か分かったか?」
「一通り見回ったが、収穫はなかったな。だとすれば考えられるのはもうここにはいないか、とても潜伏の能力が高いかのどちらかだな」
「ふむ、ならこれからどうするというのだ?」
「方法はあるぞ」
そう、俺には武器がある。創生魔法という武器がな。




