第8話 跡をつけられた
この反応はレイナ=グラスカって人かな。
後ろを見てみるが、姿はない。隠れているのだろう。
なら、俺の跡をつけてることになる。その理由は直接聞いてみるか。
「なぁ、レイナさんだっけか?俺に言いたいことがあるんだったら出てきなよ」
そう言うが、彼女は出てこない。
(警戒してるのかな?)
このままだと埒があかないので、強硬手段に出ることにした。
俺は彼女がいるであろう場所の真上に雲を作る。
すると、雲から大量の雨が降った。
「きゃあ!」
レイナが飛び出してきた。
「やっと姿を現したか」
「もう!何するのよ!てか、あれは何なの?」
「あれは...そうだな。『天候変化魔法』とでも名付けるか」
「何よそれ、まるで今作ったような」
「そうだけど?」
「はあぁぁぁぁ??そんなの無理に決まってるじゃない!
魔法を作るのに、どれだけの労力と時間がいると思ってるの?」
「それが一瞬で出来るとしたら?」
「あなた、まさか試験の魔法も……」
「ああ。俺の今の魔力量であんな強力な魔法は撃てねーよ。あれは大気中の魔力を使って撃つ魔法だ」
「そんなことが……。まあいいわ。どうせ学校でも会うことになりそうだし。そのときはよろしくね」
そう言って彼女はどこかへ行った。なんだったんだ。
これ以上考えても無駄だろうから、ひとまず宿に帰った。
◇
次の日、合格発表を見るため俺は学校へ来ていた。
壁に貼られた試験結果から名前を探す。
(あ、あった。)
どうやら無事に合格していたようだ。
総合点数は……は?
魔術試験 300点 剣術試験 100点
剣術試験はまだいい。最高点数だからな。だが、おかしいのは魔術試験だ。何だ、300点って。オーバーじゃねーか。
「あら、リースじゃない」
「……レイナか」
「あなた結果はどうだった?私は合格だったけど」
「一応合格してたよ。点数が意味分からんけどな」
「ん?あなた何点だったの?」
「あれ、見てみ?」
彼女が俺の点数を見る。すると、どんどん彼女の顔が変わっていく。
「う、嘘でしょ?たしかに凄かったけど、いくらなんでも高すぎでしょ!」
彼女も俺と同じ反応をする。まあ誰だってそうなるよな。
ちゃんと学校に確認してみるか。