番外編:リース不在中の話 クレアの場合
クレア編です。
番外編は以上です。本編をお楽しみください。
「はぁーー」
最近、リース様に会えてません。体育祭の日以来です。
あの日、執事のバースに出ていったことがバレて、それからというもの私の外出を禁止しているのです。
勉強の量も多くなり、私自身が自分のことで手一杯になってます。リース様から会いにきてくだされば……なんて妄想ばかりです。
お父様の情報によれば、リース様は体育祭に優勝して、そのご褒美でクラスの皆様と旅行に行っているようです。行き先は我が国と友好国であるカロナール。マルスおじ様が国王を務める国です。
リース様はマルスおじ様と会うようなので、王城に行くのでしょう。なら、おそらくシグとメグにも会うはずです。シグは男なので関係ないですが、メグの方がどうなるか……。リース様に興味を持たなければよいのですが。
◇
翌日、お父様から衝撃の話を聞きました。
「リースがシグとメグの家庭教師を引き受けたそうだ」
(な、なんですってー!!)
ずるいです。私も教えてほしいのに……。
色々なことを話したり、どこかへ行ったり、出来ることならずっと一緒に……。
って、そんなの無理ですよね。これでも私は王女です。そんなワガママが通るわけない。
分かっています。分かっているけど……。
おっと、いけません。私は笑顔でいなければ。それがお母様との約束ですから。
「クレア!」
「お父様、なんでしょうか?」
「そのだな、リースが帰ってきたら私も魔法を教えてもらおうと思うのだが、クレアも一緒にどうだ?」
「お父様!!ぜひご一緒させてください!」
やった!リース様といられる!うふふ、思わず笑みがこぼれてしまいましたわ。
リース様、早く帰ってこないかな。
◇
我が娘、クレアの様子がおかしい。原因はおそらくリースだ。クレアは多分リースに惚れている。いや、絶対だな。
クレアは時々独り言が口に出る癖があるのだ。さっきも「リース様」と呟いているのが聞こえた。
最近はバースがクレアの外出を禁止にしているから、リースに会うことなんて滅多に出来ない。まして、リースは現在国外におる。会いたいのだろうな。
仕方がない。クレアも年頃の女の子だ。恋の一つや二つあるだろう。わしが一肌脱いでやるか。
だが、交際となれば話は別だがな。
その時は直々に見極めないと。