番外編:リース不在中の話 ミルの場合
今回はミル編です。
次回はクレア王女編!
カロナールに旅行に行った初日、リースから家庭教師をするから、しばらくここに残るという話を聞いた。
家庭教師か……。私にも教えてくれないかな。私はもっともっと強くなりたい。いや、強くならないといけない。
その夜、ステラとレイナと3人で話をした。
「リースくんと旅行楽しみたかったなー」
「リースはいつもあんな感じよね。自覚はないだろうけど、スーパー鈍感だから」
「……直接言わないと分からないよ。今から行こう」
そう言って、リースの部屋に向かおうとするとステラとレイナに止められた。
「ミル!ダメだよ。これはリースくんが決めたんだから、私たちが口出しすることじゃないよ!」
「そうよ、それに今から行っても迷惑よ!」
むーっ!なんで止めるの。……まあ、確かに二人の言うことも一理あるけど。私は頬を膨らませながら、
「……仕方がない。我慢する。」
ステラもレイナも思い切りが足りない。リースは超鈍感だから、これぐらいしないと気持ちも伝わらないと思う。
「ま、まあ今は明日の話をしようよ」
それから私たちは明日のことについて話し合った。
◇
旅行期間を終え、私たちはレルフランド王国へ帰る旅客機に乗っていた。私はひとまずアイマスクを着けて、寝る体勢に入った。すると、ステラとレイナの話し声が聞こえてきた。
「はぁー」
「なにため息ついてんの」
「そういうレイナだって、さっきついてたじゃん」
「む、聞かれてたのね。仕方ないんだけどね。家庭教師のことは。カロナールの国王の直々の頼みらしいし」
「そうだよね。ひとまずは帰ろうか」
ふむ、カロナール国王の頼みなのか。それは初耳だな。
それはそうと、最近よく眠くなる気がする。やはり人工神器の副作用か……。早くしないと……。
◇
それから1週間とちょっと経った、放課後のこと。
「……そうだ、リースから連絡が入ったらしい。明日には帰ってくるみたいだ。これでやっと揃うな。ふー、しかしあいつもよくやるよ。他国の国王の子供の家庭教師なんて、俺なら断るな。うん。……よし、じゃあ今日は解散!!」
やっと帰ってくるのか。長かったな。やっと会える。
ふふ、楽しみだな。
◇
翌日、頑張って早起きをして、いつもより早く教室に向かった。だけど、教室には既にステラとレイナがいた。
くっ、負けたか……。でも、その後ステラの提案で三人で一斉にリースに話しかけることにした。
リースが帰ってきたら、私の気持ちを伝えよう。
そして……。