第69話 オルドレッド家
次の週、俺たちはサリアさんの家に行った。
サリアさんの家、オルドレッド家はカロナールでは有名な名家らしく、家もそれなりに大きかった。
俺たちは敷地の入り口にある大きな門を通ると、庭園が拡がっていた。庭園は広い上に、丁寧に整えられており、とても綺麗だった。
玄関の前にはサリアさんがいて、俺たちを見つけると大きく手を振っていた。
「いらっしゃい。歓迎するよ」
「おじゃまします」
「おじゃましまーす」
普段俺とメグ以外の人とあまり話さないシグは、会釈で応えた。こいつの性格も直していった方がいいかもな。
サリアさんは俺たちを客間に案内した。客間もそうだが、廊下にも高そうな絵画や彫刻などがあった。サリアさんの父親が趣味で集めているらしい。...うっかり壊さないようにしないとな。
座って話していると、メイドさんが紅茶を持ってきてくれた。
「この紅茶はグレア公国の最高級のものなんだ。とても美味しいから遠慮せずに飲んでね」
グレア公国って紅茶で有名な国なのか。昔は別の国だったから、あまり分からないな。地理の勉強が必要だな。
さっそく紅茶を飲んでみる。……こ、これはとても美味い!口に入れた瞬間、芳醇な香りが口いっぱいに広がり、その後でほんのりとした甘みが舌先を駆け巡る。まさに至高の逸品だ。
「めちゃくちゃ美味しいです!これなら何杯でも飲めますね」
「……ほんとだ!とっても美味しい!」
シグは話さないが、口元にわずかに笑みを浮かべている。美味しいんだろうな。
「喜んでもらえて嬉しいよ」
今度ステラたちにも飲ませてあげよう。きっと喜ぶだろうな。
「さて、本題なんだが……」
サリアさんが話し始めた時、急に客間の扉が開いた。そして、とても綺麗な女の人が客間に入ってきた。若いな、サリアさんのお姉さんかな?
「どうも〜、いつもこの子がお世話になってます。母のミレナです。この子ったら、全然友達を呼ばなくてね〜」
「も、もう母さん!そんなこと言わなくていいから!」
ん?母?母さん?ってことは……母親!?若っ!!
「え!サリア先輩のお母さんなんですか?若いですね!」
「あら、ありがと〜。そう言ってもらえて嬉しいわ〜」
ミレナさんは二十代と言われても分からないくらい若く見える。それにサリアさんと顔がよく似ている。サリアさんは母親似なんだな。
それにしても二人とも、とても綺麗だな。ぱっちり開いた目に長いまつ毛、そしてブロンドのロングヘアーが美しさを引き立てている。
そして、その見た目は「暁の翼」のメンバー、ユリナ=オルドレッドによく似ている。やはり、その一族なのだろう。
「おっと、そうだ。話の続きだが、そろそろ神器『覇弓リヴィエラ』を見に行こうか」
お、とうとうご対面だな。




