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第67話 圧倒的実力



 シグは学校の男子生徒4人組と『決闘』することになった。


 授業の成果の見せ所だ。いけっ、シグ!



「ふっふっふ。ボコボコにしてやるよ」


「ボコボコにされる、の間違いじゃないのか?」


「調子に乗んなっ!!」


 シグにも余裕があるみたいだ。あの様子なら大丈夫そうだな。


「準備はよろしいですね。……始めっ!!」


「風よ!」「火よ!」「水よ!」「闇よ!」


 男子生徒たちが詠唱を始めた瞬間、シグから放たれた炎が彼らを包み込む。


「「「えっ!?」」」


 周りがざわざわしている。平然としているのは俺たちだけーーじゃないな。俺たちのちょうど向かい側にいる2人組は驚いている感じはしない。むしろ感心してるみたいだ。学校の生徒のようだが、後で調べてみるか。


 試合の方はもう終わっている。シグの圧勝だ。


 それにしてもシグには才能があるな。正直、俺が教えたのは使い方だけで、まだ詳しいことは何もやっていない。だが、あそこまで使いこなせている。俺にはあまり才能がなかったからな。羨ましいよ。



 『決闘』に勝ったシグは笑顔で戻ってきた。


「よくやった、としか言いようがないな。この授業の量であれだけの成果を出せるとは。褒めるしかない結果だ」


「ほんとにすごかったよ!シグは自慢のお兄ちゃんだよ!」


「あ、ありがとな」


 ん?お兄ちゃん?あれ、この2人って双子じゃなかったっけ?


「2人って双子じゃなかったっけ?」


「ああ、そうだけど。なんでだ?」


「いや、メグが今お兄ちゃんって」


「それはね、生まれてきた順番の話だよ。シグの方が先に生まれたからね。たまにお兄ちゃんって言ってるんだよ」


 そういうことか。初めて知ったな。まあ、シグも満更でもなさそうだし、いいか。


 そうして俺たちが教室に戻ろうとした時のことだった。


「シグ=カロナールさんですね。私は生徒会長のサリアといいます。突然ですみませんが、シグさん。ぜひ生徒会に入りませんか?」


 おぉー、勧誘か。というか、生徒会があるんだな。たしか生徒をまとめる生徒って感じだったかな?


「お誘いありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」


「誘いを受けてくれて嬉しいわ。メグさんも一緒にどうかしら?」


「えっ、ぜ、ぜひお願いします」


 おー、メグも生徒会に入ったのか。なんか実力が認められたみたいで、俺も嬉しいな。


「ところで、そちらの方は?うちの生徒じゃないわよね?」


「私はこちらの2人の家庭教師をしています。リース=グレイアスといいます。隣国のレルフランド王国から来ました」


「あら、そうだったんですね。ということは、相当な実力の持ち主で?」


「いえいえ、それほどではありま……」


「とても強いです!なんせ、あの伝説の竜を撃退したくらいですから!」


 メグが突然口を挟む。そこは穏便に済ませるところですよ、メグさん。


「じゃあ、先日の竜騒動の英雄というのは……」


「はい、先生です!」


 メグは俺のことを先生と呼んでくる。別に嫌ではないし、間違いでもないのだが、少し恥ずかしい気もする。まあ、王城警備兵にも呼ばれてたけどな。


「へえ、そんなに強いのね。……あ、そうだ。今度授業の様子を見せてもらってもいいかしら?」


 シグとメグは顔を見合わせて、


「私たちは構いませんが、先生は?」


「ま、まあ大丈夫ですよ?」


 本当は乗り気ではないが、見られて困るわけでもないしな。


「じゃあ今度お伺いさせていただくわね」


 そうして生徒会長は帰っていった。


 はあ、なんか面倒なことになりそうだ。


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