第66話 授業の成果
翌日から本格的に魔法の授業を始めた。
クラスのみんなは期限が来てしまったので、先に帰ったが俺は一人残って、家庭教師を続けた。
授業を始めて思ったのは、二人とも成長が早いということだ。無詠唱魔法を教えたら、一時間ほどで使いこなせるようになっていた。これは俺が見てきた中ではダントツで早い。やはり優秀なんだろうか。
そして休みが明けて、メグとシグは学校に行くというので、俺も特別についていくことになった。俺自身、別の国の教育も気になるので、しっかり見ておこうと思う。
学校に行くと、シグはとても暗い顔をしていた。今まで周りからひどいことを言われたんだ。仕方ないのかもしれないな。
俺は黙ってシグの隣を歩く。すると、男子生徒のグループが話しかけてきた。
「おい、出来損ない。お前何しにきたんだよ。ここはお前の来る場所じゃねーよ。さっさと消えろ!」
メグが反論しようとするが、俺はそれを止める。
ここで俺たちが言うのは良くない。シグが自分で言わなければ意味がない。
「おい、黙ってんじゃねーよ!」
グループの一人がシグに殴りかかろうとする。
が、それをシグは受け止める。
「うるさいんだよ。俺は今までの俺とは違うんだ。出来損ないなんて言わせねえ!」
よく言ったな、シグ。俺がシグの成長を喜んでいると、
「生意気なんだよ!」
そう言って、男子グループは魔法の展開を始めた。なんて卑怯な。四対一で戦おうとするとは。
さすがに止めようとした時、
「待ちなさい、君たち!」
男の人がこちらにやってきた。おそらく学校の教師だろう。
「君たち、学校内での無闇な戦闘は校則で禁止されてるよ。もし、戦いたいのなら『決闘』をしないと」
『決闘』?何かの制度か?
気になったので、メグに聞いてみた。
「なあ『決闘』ってなんだ?」
「『決闘』っていうのは、学校内で認められている試合のことだよ。お互いの同意の上で行うことができるの。『決闘』以外での戦闘は禁止されているんだよ」
なるほど。戦いたければ、教師の前でってことか。
どうやらシグたちは決闘を行うみたいだ。シグは一人で戦うみたいだが、相手は詠唱魔法を使うだろうから簡単に勝てるだろう。
それにこの戦いはシグの名誉の戦いでもある。先程もそうだが、俺たちが口出ししてはいけない。シグを信じて見守るだけだ。
シグたちは決闘場に移動する。俺とメグも観戦することにした。
さあ、シグ。授業の成果の見せ所だぞ。