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第56話 体育祭大盛り上がり



 次の種目は俺の出る「棒倒し」だ。

 とは言っても、「棒倒し」はクラスの男子がほぼ全員参加なので、俺が出るのも当たり前ということだ。


 「棒倒し」はあらかじめ決められたクラスと一対一で戦い、勝った方に得点がもらえるという方式だ。


 ルールは簡単。相手クラスの陣地に立てられた棒を先に倒したクラスの勝ちだ。




「リースくん、頑張ってね」


「応援してるわ。絶対に勝ちなさいよ」


「……頑張れ。」


「おう、行ってくる」


 俺は準備を整えて、陣地へ向かう。


「羨ましいぞー!リース!」


 クラスメイトのアベルが話しかけてきた。


「何でだ?」


「当たり前だろ!この学校でも五本指に入る美少女の3人に応援されるなんて……。前世でどれだけいいことしたんだよ」


 あの3人ってそんな風に言われてるんだな。全然知らなかった。まあ、確かによく見れば、可愛い……のかな?




「全クラス準備が整ったようです。では、いきます。よーーい、スタート!!」


 審判の掛け声とともに棒倒しはスタートした。


 俺は守りを任せて、相手陣地に突き進む。


「ちっ、やはりきたか!」


「守りを固めろ!!」


 相手が守りを固めるのは想定済みだ。

 俺は『身体能力強化』と『速度上昇』を使い、隙を見つけて進んでいく。


 だが、相手も対策をしていたようで、思いのほか進むことができなかった。


 でも、相手が俺に気を取られているうちにクラスメイトが攻めてきていた。


「おらぁぁー!!リースに続けぇーー!!」


 アベルが先頭で進んでくる。あいつの叫びには別の意味も込められる気がするんだが。


「リースくん頑張ってー!」


「そんな奴らぶっ飛ばしなさいよ!」


「……負けたら承知しない」


 多分あいつらのせいだろう。というかルール上、人に暴力をふるうのは反則だし。


「くそぉー!リースめ!!ずるいぞー!!」




 まあ、攻めてきてくれたのはありがたい。おかげで俺への警戒が薄れる。


 俺は『気配遮断』を使い、相手の意識から外れる。


「ん?あいつどこ行った?」


「おい!リースがいないぞ!」


 相手は俺を探して周りをキョロキョロしている。

 だが、俺は既に棒のとなりにいる。


 そして、強化した体で棒を倒した。


「よっしゃぁぁ!!!」


「勝ったぞー!!」


 俺たちの勝ちだな。


「やったー!リースくん、すごいよ!」


「さすがね!」


「……おつかれ」


 俺はグッドサインを送った。これで優勝にまた一歩近づいたな。



 次の種目は「大縄跳び」だ。


 これにはステラが出場する。


「リースくん、いってくるね!」


「ああ、頑張れよ」


 ステラは満面の笑みで向かっていった。


「あれは1位を獲ってもらわないといけないわね」


「……多分ステラなら大丈夫」


レイナとミルはステラのことを信頼してるみたいだ。

まあ、ステラなら体力が尽きることはないだろう。



 大縄跳びがスタートした。全クラス一斉に跳び始める。


 10回を超えたあたりで、ちらほら引っかかるクラスが出てきた。まだ、ステラたちはまだ引っかかっていない。


 そして、ついに引っかかっていないのはステラたちだけとなった。尚も引っかかる気配はない。


 そして終了の合図が鳴った。

 とうとうステラたちはノーミスで大縄跳びを終えた。

 当然1位だ。


「理事長!これは総合優勝ありえますよ!」


「おぉ!そうだな!この先も頑張れば、充分いけるぞ!」


 ステラは笑顔でこっちに手を振ってきた。俺たちも手を振り返す。よく頑張ってくれたな。


 次は「綱引き」だ。


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